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魔物と魔女編
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「じっ……けん……」
「そう実験って言い方であってるかしらね?貴女の魔力を、その体に流れる血を私に頂戴?」
「血を何にするつもりですか」
時間稼ぎとか抵抗とかじゃなく、ただ疑問に思った事が口から出た。明確な答えなんて期待していなかったけど、魔女は愉しそうに目を細めた。
「暇潰しに教えてあげるわ」
そう言いながら魔女はもう一度、私の腕にナイフを刺し更に流れ出す血がガラス容器に溜まる様子を笑って見ている。ボタボタと沢山の血が流れているのに不思議と痛みは感じなかった。
「魔力は何処からくると思う?」
ポコポコと不思議な音が響く室内で、容器に溜まる血。魔女の言葉に私が何も答えず容器を見つめていると、腕に爪をたてられ視線を魔女に戻した。
「何回実験しても新しい体に魔力は宿らない。そして、やっと気付いたの……魔力は血に宿り体を巡る事が」
血を抜かれる不快感から顔をしかめ体を捩ると、寝かされていた台から黒い紐のような物が飛び出して絡み付き台に固定されてしまう。
「動かないで。下手に動くとその子達、間違って貴女を殺すかもしれないわよ?」
首を傾げて笑顔で言われた言葉に再びゾワゾワと鳥肌がたつ。仮面のような笑顔を貼り付けた魔女が手を伸ばすと、私の顎に指先が触れた。
「震えているのね……大丈夫よ。死んでしまうと魔力が消えるの。だかは貴女には移し終わるまで生きててもらわなくちゃね」
その名の通り氷を思い出す冷たい指先が顎から首に移動してゆっくりと離れると、手首の光る魔力封じを二本の指で軽く摘まむと引っ張っる。糸がほどけるように手首からスルリと抜け目の前で砂のように細かく崩れて床に落ちていった。
「さぁ、見せて頂戴、人の器にはあり余る貴女の本当の力を」
魔女の言葉に反応するように私の体から魔力が吹き出し、制御出来ない力がカタカタと周囲の物を揺らした。
「あらあら、まだ有り余る程あるのね。もっと頂戴……貴女の血を魔力を私に頂戴ね」
ニタリと口元にだけ笑みを浮かべた魔女は更に私の腕にナイフを向けたけど、腕に触れる前にナイフはパンと弾けるような音の後で霧散した。
「……ぐっ……がは!!」
喉の奥から競り上がる不快感を息と共に吐き出したつもりが、口の中に別の何かが溢れ出る。混乱する頭では何か分からず口元を手で触れるとヌルッとした感触と鉄臭い臭いが鼻についた。
「……ち……が」
呆然と自分の手を見詰めていたけど魔女が何かしたかと思って視線を向けた。驚いたのか魔女が動きを止め私を見ている時、斬られた腕に初めて痛みを感じて視線を向けた。
「い、たい」
「あら?魔具の回復が切れたせいかしら?」
魔女が首を傾げながら何か言っても私は身体中の痛みで理解できなかった。そんな時、ミューの呼ぶ声が頭の中で聞こえたけど、返事をする事も儘ならなかった。
「あら……契約者が気付いたの……邪魔ね」
魔女が私の目の前に手を伸ばすと、何かを摘まむように指を折り曲げると私に視線を向けて右の口端だけ上げた。
「さようなら契約者さん」
折り曲げた指が光りプツンと何かが切れたような音がしたあと、ミューの声が届かなくなった。急に消えた声に心の中で驚きと同時に嫌な予感がした。
「今……な……にし……た」
カタコトな言葉しか出せない私の姿に少し焦る素振りを見せた魔女は、私の質問に答えることなくガラス容器に眠る女性に私の血を魔力で固めて口の中に入れた。
「こんなにも人間の体は脆弱なのね。器がもたないわ」
魔女の独り言を聞いた私の意識は真っ暗になった。
「そう実験って言い方であってるかしらね?貴女の魔力を、その体に流れる血を私に頂戴?」
「血を何にするつもりですか」
時間稼ぎとか抵抗とかじゃなく、ただ疑問に思った事が口から出た。明確な答えなんて期待していなかったけど、魔女は愉しそうに目を細めた。
「暇潰しに教えてあげるわ」
そう言いながら魔女はもう一度、私の腕にナイフを刺し更に流れ出す血がガラス容器に溜まる様子を笑って見ている。ボタボタと沢山の血が流れているのに不思議と痛みは感じなかった。
「魔力は何処からくると思う?」
ポコポコと不思議な音が響く室内で、容器に溜まる血。魔女の言葉に私が何も答えず容器を見つめていると、腕に爪をたてられ視線を魔女に戻した。
「何回実験しても新しい体に魔力は宿らない。そして、やっと気付いたの……魔力は血に宿り体を巡る事が」
血を抜かれる不快感から顔をしかめ体を捩ると、寝かされていた台から黒い紐のような物が飛び出して絡み付き台に固定されてしまう。
「動かないで。下手に動くとその子達、間違って貴女を殺すかもしれないわよ?」
首を傾げて笑顔で言われた言葉に再びゾワゾワと鳥肌がたつ。仮面のような笑顔を貼り付けた魔女が手を伸ばすと、私の顎に指先が触れた。
「震えているのね……大丈夫よ。死んでしまうと魔力が消えるの。だかは貴女には移し終わるまで生きててもらわなくちゃね」
その名の通り氷を思い出す冷たい指先が顎から首に移動してゆっくりと離れると、手首の光る魔力封じを二本の指で軽く摘まむと引っ張っる。糸がほどけるように手首からスルリと抜け目の前で砂のように細かく崩れて床に落ちていった。
「さぁ、見せて頂戴、人の器にはあり余る貴女の本当の力を」
魔女の言葉に反応するように私の体から魔力が吹き出し、制御出来ない力がカタカタと周囲の物を揺らした。
「あらあら、まだ有り余る程あるのね。もっと頂戴……貴女の血を魔力を私に頂戴ね」
ニタリと口元にだけ笑みを浮かべた魔女は更に私の腕にナイフを向けたけど、腕に触れる前にナイフはパンと弾けるような音の後で霧散した。
「……ぐっ……がは!!」
喉の奥から競り上がる不快感を息と共に吐き出したつもりが、口の中に別の何かが溢れ出る。混乱する頭では何か分からず口元を手で触れるとヌルッとした感触と鉄臭い臭いが鼻についた。
「……ち……が」
呆然と自分の手を見詰めていたけど魔女が何かしたかと思って視線を向けた。驚いたのか魔女が動きを止め私を見ている時、斬られた腕に初めて痛みを感じて視線を向けた。
「い、たい」
「あら?魔具の回復が切れたせいかしら?」
魔女が首を傾げながら何か言っても私は身体中の痛みで理解できなかった。そんな時、ミューの呼ぶ声が頭の中で聞こえたけど、返事をする事も儘ならなかった。
「あら……契約者が気付いたの……邪魔ね」
魔女が私の目の前に手を伸ばすと、何かを摘まむように指を折り曲げると私に視線を向けて右の口端だけ上げた。
「さようなら契約者さん」
折り曲げた指が光りプツンと何かが切れたような音がしたあと、ミューの声が届かなくなった。急に消えた声に心の中で驚きと同時に嫌な予感がした。
「今……な……にし……た」
カタコトな言葉しか出せない私の姿に少し焦る素振りを見せた魔女は、私の質問に答えることなくガラス容器に眠る女性に私の血を魔力で固めて口の中に入れた。
「こんなにも人間の体は脆弱なのね。器がもたないわ」
魔女の独り言を聞いた私の意識は真っ暗になった。
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