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学園復帰編
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学園を卒業したから暇になるかと言うとそうではなくて、サリーナ先生が纏めた魔石の作り方を再編したり、リュカ様を始め皆が使っている魔石を作り直したりと忙しく過ごしていた。
「リュカ様の剣で最後ですね」
「そうだね。新しい石には回復ははずしておくかね」
「回復をですか?怪我した時に困りませんか?」
「そりゃ、回復するのに剣で刺さないといけないんじゃ本末転倒じゃないかい」
あっ!そこまで考えなかった。そうだよね。回復するのに一々、剣で刺すとか不便だわ。
「回復薬があるから問題ないだろうよ。それよりは浄化系を増やせないかい?」
魔物との戦闘後、瘴気や魔物の体液で汚染された土地は、作物が育たなかったり動物が魔物化するから少しでも早く浄化したい。ソフィア様と話し合って魔石に刻む魔法を減らす替わりに威力の高い攻撃魔法と浄化魔法を増やした。魔石に刻む魔法を減らしたり陣が接触しない様に調整した結果、魔法の発動時間の短縮と使用魔力を減らす事に成功した。
「おぉ、何か最強って感じがしますね」
「これで完璧だねぇ。後は過程を纏めて陛下に提出すれば終いだよ」
「う……ガンバります」
魔石の作り方を纏めながらもミューと魔法の練習したりして過ごしていたけど、とうとう陛下との謁見の日を迎えた。
今日の予定は陛下から卒業証書を受け取って、城内にある訓練場で現役の騎士団員や魔法師団員と実戦形式の訓練をする。緊張しながら城門を潜り馬車から降りると、カイト団長とケビン団長が待っていた。
「やぁ、久しぶりだねルナ嬢。大魔法使い殿、陛下より会議が終わらないゆえ、先に訓練して頂けないかとのお達しです」
カイト団長の話しから私達との謁見前に定例会議をしていたけど、対立グループを乱闘とか野次で会議が紛糾。いまだに収拾の目処が立っていないらしい。うわ……乱闘って警備の騎士様達も大変ね。ソフィア様も事情を聞いて肩を竦めてため息を吐いただけだった。
「仕方ないね。そっちの準備は終わっているのかい?」
「そちらは抜かりなく。希望者は既に場内にて待機しております」
準備は終わっていてリュカ様とアラン先生も待っているって事で訓練場に向かうと、入口の近くで四人の騎士様達が集まって話をしていた。
「またフリューゲルだけ優遇されて腹が立つ。龍人だからって言っても"大魔法使いの出来損ない"だろう?」
「あー、その話は俺も聞いたぜ。魔力はあるけど剣がないと使えないって話だろう」
「じゃあ、先に剣を叩き落とせば楽勝じゃねぇ?」
「「確かに!ハハハ」」
楽しそうにリュカ様の悪口を言う騎士様達に三人の空気が一気に変わって、側に立っているだけの私とミューだけど寒気がする。この寒気っていうか殺気に気付かない時点でこの人達、終わっているわよね?
「……えっと行きましょうか」
無言の三人に話し掛けると一斉に視線が集まり、騎士様達も私達に気付いてぎこちない動きで私に視線を向けてきた。
「お、お、お疲れ様です!」
一人が慌てて挨拶したけどソフィア様筆頭に三人は無言で彼らの顔を見ていた。他の人達も頭を下げているけど、身体の横に付けられた手は震えていた。そんなに怖いなら言わなきゃ良いのに。
「ルナ、この人達なぁに?」
気不味い雰囲気の中で声を上げたのはミューだった。今から何をするかよく分かっていないらしい彼女は、入口に人がいる事が不思議なのか首を傾げていた。うーん、悪口だって気付いてないのかな?それとも訓練自体、理解していないのかも。
「さぁ?私もわからないわ」
なんて説明して良いかも分からなかった私は惚けて首を傾げると、私を真似てミューも首を傾げてから頬に擦りよった。
「お婆ちゃん、私は早くルナと練習したいわ」
「そうかい。待たせて悪かったね。思いっきり殺って良いんだよ」
ソフィア様、やってが"殺って"になっていませんか?カイト団長、笑顔で頷かないで下さい。ケビン団長も止めて!!
不穏な空気を感じたのか彼らの顔は青ざめて足も震えている。こんな状態で訓練の参加は不可能だと思ったけど、カイト団長は辞退を認めなかった。
「剣がなければ楽勝と言うならフリューゲルと一対一でやってみろ」
「あ、はい」
話を聞かれた事に気付いた彼らは、気まずげに視線を彷徨わせながらも頷き了承してから訓練場の中に入って行った。
「嫌な物を見せてしまったね」
カイト団長が少し眉を下げて申し訳なさそうに、今の騎士団の現状を教えてくれた。
騎士団の中にはソフィア様の孫で魔力も強いのに騎士になったリュカ様へ対する嫉妬や妬みから陰口悪口が横行。団長が諌めようが実力を認めない人が一定数いて、今回のミューの護衛もソフィア様のコネで抜擢されたと噂になってしまっているらしい。
うーん、まぁ、騎士様だって人間だから嫉妬や妬みはあるけど剣がなければ楽勝?でもリュカ様って確か……
「体術の方が得意じゃなかったですか?」
私の言葉を聞いてカイト団長が少し驚いた表情を見せたあと、何故か嬉しそうに笑った。
「そうだね。だが訓練で実力を出した事のないフリューゲルは見下されているのも事実なんだ。だからこそ今日の訓練なのだよ」
あー、何となく察しました。文句言う人達に実力を知らしめたいと。だから朝からソフィア様が楽しそうに準備運動していたのですね。
……今の人達、大丈夫かな?
「リュカ様の剣で最後ですね」
「そうだね。新しい石には回復ははずしておくかね」
「回復をですか?怪我した時に困りませんか?」
「そりゃ、回復するのに剣で刺さないといけないんじゃ本末転倒じゃないかい」
あっ!そこまで考えなかった。そうだよね。回復するのに一々、剣で刺すとか不便だわ。
「回復薬があるから問題ないだろうよ。それよりは浄化系を増やせないかい?」
魔物との戦闘後、瘴気や魔物の体液で汚染された土地は、作物が育たなかったり動物が魔物化するから少しでも早く浄化したい。ソフィア様と話し合って魔石に刻む魔法を減らす替わりに威力の高い攻撃魔法と浄化魔法を増やした。魔石に刻む魔法を減らしたり陣が接触しない様に調整した結果、魔法の発動時間の短縮と使用魔力を減らす事に成功した。
「おぉ、何か最強って感じがしますね」
「これで完璧だねぇ。後は過程を纏めて陛下に提出すれば終いだよ」
「う……ガンバります」
魔石の作り方を纏めながらもミューと魔法の練習したりして過ごしていたけど、とうとう陛下との謁見の日を迎えた。
今日の予定は陛下から卒業証書を受け取って、城内にある訓練場で現役の騎士団員や魔法師団員と実戦形式の訓練をする。緊張しながら城門を潜り馬車から降りると、カイト団長とケビン団長が待っていた。
「やぁ、久しぶりだねルナ嬢。大魔法使い殿、陛下より会議が終わらないゆえ、先に訓練して頂けないかとのお達しです」
カイト団長の話しから私達との謁見前に定例会議をしていたけど、対立グループを乱闘とか野次で会議が紛糾。いまだに収拾の目処が立っていないらしい。うわ……乱闘って警備の騎士様達も大変ね。ソフィア様も事情を聞いて肩を竦めてため息を吐いただけだった。
「仕方ないね。そっちの準備は終わっているのかい?」
「そちらは抜かりなく。希望者は既に場内にて待機しております」
準備は終わっていてリュカ様とアラン先生も待っているって事で訓練場に向かうと、入口の近くで四人の騎士様達が集まって話をしていた。
「またフリューゲルだけ優遇されて腹が立つ。龍人だからって言っても"大魔法使いの出来損ない"だろう?」
「あー、その話は俺も聞いたぜ。魔力はあるけど剣がないと使えないって話だろう」
「じゃあ、先に剣を叩き落とせば楽勝じゃねぇ?」
「「確かに!ハハハ」」
楽しそうにリュカ様の悪口を言う騎士様達に三人の空気が一気に変わって、側に立っているだけの私とミューだけど寒気がする。この寒気っていうか殺気に気付かない時点でこの人達、終わっているわよね?
「……えっと行きましょうか」
無言の三人に話し掛けると一斉に視線が集まり、騎士様達も私達に気付いてぎこちない動きで私に視線を向けてきた。
「お、お、お疲れ様です!」
一人が慌てて挨拶したけどソフィア様筆頭に三人は無言で彼らの顔を見ていた。他の人達も頭を下げているけど、身体の横に付けられた手は震えていた。そんなに怖いなら言わなきゃ良いのに。
「ルナ、この人達なぁに?」
気不味い雰囲気の中で声を上げたのはミューだった。今から何をするかよく分かっていないらしい彼女は、入口に人がいる事が不思議なのか首を傾げていた。うーん、悪口だって気付いてないのかな?それとも訓練自体、理解していないのかも。
「さぁ?私もわからないわ」
なんて説明して良いかも分からなかった私は惚けて首を傾げると、私を真似てミューも首を傾げてから頬に擦りよった。
「お婆ちゃん、私は早くルナと練習したいわ」
「そうかい。待たせて悪かったね。思いっきり殺って良いんだよ」
ソフィア様、やってが"殺って"になっていませんか?カイト団長、笑顔で頷かないで下さい。ケビン団長も止めて!!
不穏な空気を感じたのか彼らの顔は青ざめて足も震えている。こんな状態で訓練の参加は不可能だと思ったけど、カイト団長は辞退を認めなかった。
「剣がなければ楽勝と言うならフリューゲルと一対一でやってみろ」
「あ、はい」
話を聞かれた事に気付いた彼らは、気まずげに視線を彷徨わせながらも頷き了承してから訓練場の中に入って行った。
「嫌な物を見せてしまったね」
カイト団長が少し眉を下げて申し訳なさそうに、今の騎士団の現状を教えてくれた。
騎士団の中にはソフィア様の孫で魔力も強いのに騎士になったリュカ様へ対する嫉妬や妬みから陰口悪口が横行。団長が諌めようが実力を認めない人が一定数いて、今回のミューの護衛もソフィア様のコネで抜擢されたと噂になってしまっているらしい。
うーん、まぁ、騎士様だって人間だから嫉妬や妬みはあるけど剣がなければ楽勝?でもリュカ様って確か……
「体術の方が得意じゃなかったですか?」
私の言葉を聞いてカイト団長が少し驚いた表情を見せたあと、何故か嬉しそうに笑った。
「そうだね。だが訓練で実力を出した事のないフリューゲルは見下されているのも事実なんだ。だからこそ今日の訓練なのだよ」
あー、何となく察しました。文句言う人達に実力を知らしめたいと。だから朝からソフィア様が楽しそうに準備運動していたのですね。
……今の人達、大丈夫かな?
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