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学園復帰編
19 side リュカ
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魔女の魔力を取り込んでから闇に溶けてしまったような感覚から抜け出せずにいた。手足も分からない闇の中を漂う様なボンヤリとした感覚が急に消えると意識が覚醒する。周囲に複数の人の気配がした。誰だ?……婆さんと……
「リュカ様、大丈夫ですか?聞こえますか?」
柔らかな春風のように優しい声が耳に届き安堵する。随分、久しぶりに聞いた気がするな……良かった彼女は無事だったんだな。
「ルナ嬢」
「は、はい……良かった」
彼女の声は聞こえるが視界は闇のままだ。魔力の使いすぎで視力に影響が出たのか……他にも誰かいるが知らない気配が
「まったく人騒がせな孫だね。ルナに感謝しな」
「……婆さんか……他に誰がいるんだ?」
婆さんの事だ。今の言葉で視力が落ちた事に気づいただろうな。
「今から説明するから待ちな」
婆さんの話を聞く為にベッドから起き上がろうとすると、婆さんとケビン団長の二人から止められた。
「体力が落ちているから寝ておれ」
ケビン団長にそう言われてしまえば、居心地の悪さを感じながらも了承するしかなかった。知らない気配もするのに……なんだか落ちつかないな。
「リュカの中に残っていた魔女の魔力はルナが作った魔石が全て吸収した」
ルナ嬢が作ってくれた魔石の効果で俺の体の中に取り込んだ魔女のみを綺麗に吸収した魔石は、役目を終えると粉々に砕けてしまったらしい。この目で見ることはなかったが婆さんの言葉を聴きながら、カイト団長が言っていた『魔女の後継ぎ』が頭を過った。
「ありがとう、ルナ嬢」
「ラルちゃんがとても大きな魔石を準備してくれたから出来た事です」
ルナ嬢が言うにはマーフィー補佐官とラルク副団長もいるようだ。昔、一緒に学んだという彼らは、ルナ嬢の事を親しげに『ルー』と呼び、彼女も嫌がる様子のない事から幼い頃からの呼び方なのだろう。ただ、自分の知らない彼女を知っている彼らに、獰猛と凶悪とも呼べるドス黒い何か分からない感情を覚えて殺気を抑える事に神経を使っていたら再び寝てしまったらしい。次に意識が覚醒したが部屋は相変わらず黒く塗り潰されて見えた。何時間経ったのか、それとも目を覚ました幻惑を見たのか区別もつかない。暗闇の中で視線を彷徨わせていると、小さな物音が耳に届いた。
誰かいるのか?それとも幻惑か?
身体を動かし音の原因を確認しようとしたが、身体が意思通りには動かず自分の吐く息だけが聞こえた。鎖で拘束されたかかの様に自由にならない身体を、気合いで無理矢理動かし横に向ければ部屋の角に小さな光が見えた。灯り?夜になったのか……いや、まだ魔力が足りないだけか。
「はぁ……誰かいるのか」
息を飲む音の後、立ち上がり床板の上を歩く足音が耳に届くが視界はハッキリしないまま。音を頼りに顔を動かすが、やはり顔を認識することは出来なかった。
「誰だ?」
「まだ夜中ですから寝て下さい」
「ルナ嬢」
「……眠るまで側に居ます」
ルナ嬢がいる事は分かったが、他に気配を感じない。他に声も聞こえないし部屋に俺と彼女だけなのか?看病とはいえ男性の部屋にいるべきではないよな。
退室を促したいが彼女が何処にいるか分からず、無意識に伸ばした手は小さな手に掴まれた。どうしたんだ……ルナ嬢の様子が……いつもと違う?
「これぐらい寝とけば治る。大丈夫だから自分の部屋に戻るんだ」
握られた手から微かな振動が伝わるが、返事が聞こえない事に困惑していると強く握り返された。なんだ?何が
「おやすみなさい」
その一言が眠気を誘う。強制的と言える程強い眠気に抗えず、そのまま意識が薄れていく。完全に眠る直前に届いた彼女の声が頭の中に残った。
『起きたら聞きたい事がありますから、早く元気になって下さいね』
聞きたい事……なんだ?……俺が答えられることな……んて……な……い……
「リュカ様、大丈夫ですか?聞こえますか?」
柔らかな春風のように優しい声が耳に届き安堵する。随分、久しぶりに聞いた気がするな……良かった彼女は無事だったんだな。
「ルナ嬢」
「は、はい……良かった」
彼女の声は聞こえるが視界は闇のままだ。魔力の使いすぎで視力に影響が出たのか……他にも誰かいるが知らない気配が
「まったく人騒がせな孫だね。ルナに感謝しな」
「……婆さんか……他に誰がいるんだ?」
婆さんの事だ。今の言葉で視力が落ちた事に気づいただろうな。
「今から説明するから待ちな」
婆さんの話を聞く為にベッドから起き上がろうとすると、婆さんとケビン団長の二人から止められた。
「体力が落ちているから寝ておれ」
ケビン団長にそう言われてしまえば、居心地の悪さを感じながらも了承するしかなかった。知らない気配もするのに……なんだか落ちつかないな。
「リュカの中に残っていた魔女の魔力はルナが作った魔石が全て吸収した」
ルナ嬢が作ってくれた魔石の効果で俺の体の中に取り込んだ魔女のみを綺麗に吸収した魔石は、役目を終えると粉々に砕けてしまったらしい。この目で見ることはなかったが婆さんの言葉を聴きながら、カイト団長が言っていた『魔女の後継ぎ』が頭を過った。
「ありがとう、ルナ嬢」
「ラルちゃんがとても大きな魔石を準備してくれたから出来た事です」
ルナ嬢が言うにはマーフィー補佐官とラルク副団長もいるようだ。昔、一緒に学んだという彼らは、ルナ嬢の事を親しげに『ルー』と呼び、彼女も嫌がる様子のない事から幼い頃からの呼び方なのだろう。ただ、自分の知らない彼女を知っている彼らに、獰猛と凶悪とも呼べるドス黒い何か分からない感情を覚えて殺気を抑える事に神経を使っていたら再び寝てしまったらしい。次に意識が覚醒したが部屋は相変わらず黒く塗り潰されて見えた。何時間経ったのか、それとも目を覚ました幻惑を見たのか区別もつかない。暗闇の中で視線を彷徨わせていると、小さな物音が耳に届いた。
誰かいるのか?それとも幻惑か?
身体を動かし音の原因を確認しようとしたが、身体が意思通りには動かず自分の吐く息だけが聞こえた。鎖で拘束されたかかの様に自由にならない身体を、気合いで無理矢理動かし横に向ければ部屋の角に小さな光が見えた。灯り?夜になったのか……いや、まだ魔力が足りないだけか。
「はぁ……誰かいるのか」
息を飲む音の後、立ち上がり床板の上を歩く足音が耳に届くが視界はハッキリしないまま。音を頼りに顔を動かすが、やはり顔を認識することは出来なかった。
「誰だ?」
「まだ夜中ですから寝て下さい」
「ルナ嬢」
「……眠るまで側に居ます」
ルナ嬢がいる事は分かったが、他に気配を感じない。他に声も聞こえないし部屋に俺と彼女だけなのか?看病とはいえ男性の部屋にいるべきではないよな。
退室を促したいが彼女が何処にいるか分からず、無意識に伸ばした手は小さな手に掴まれた。どうしたんだ……ルナ嬢の様子が……いつもと違う?
「これぐらい寝とけば治る。大丈夫だから自分の部屋に戻るんだ」
握られた手から微かな振動が伝わるが、返事が聞こえない事に困惑していると強く握り返された。なんだ?何が
「おやすみなさい」
その一言が眠気を誘う。強制的と言える程強い眠気に抗えず、そのまま意識が薄れていく。完全に眠る直前に届いた彼女の声が頭の中に残った。
『起きたら聞きたい事がありますから、早く元気になって下さいね』
聞きたい事……なんだ?……俺が答えられることな……んて……な……い……
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