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学園復帰編
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フッと気がつくと私は、真っ暗な場所にいた。壁があるのか床があるのかも分からない。暗い暗い闇のか立っているのかも曖昧で、私の体は闇に溶けている様にも感じた。
ここはどこ?体が重いわ。手も足も何処にあるか見えないし動かない。
『ルナ!寝ちゃ駄目よ!……』
寝ちゃ駄目って……私は……寝ているの?今の声は誰かしら?ルナって、私?
考えたいのに考えが纏まらない。フワフワと漂う様な感覚に思考は流される。闇に溶け込みユラユラ揺れる。
「あら、意外としぶといわね」
この声は誰の声?
「ふふ、ねぇ……貴女も辛かったでしょう?」
辛かったって何が?
「勉強を頑張っても認めてくれない親」
その言葉に反応するように暗闇の中に、幼い私とテストを見ながら叱責する父の姿が浮かぶ。
…………そうね。満点を取っても一度も褒めてくれなかったわ。
「苛めをする同級生とそれに加担する講師」
また言葉に反応して学園の様子が浮かび、生徒達が悪口を言いながら私の教科書を破り捨てたけど講師は黙って見ているだけだった。
……泣いた事もあるわ。痛かった事や苦しかった事もある。何度、訴えても誰も聞いてくれなかった気がするわ。
「裏切る婚約者」
次に浮かび上がったのは大舞踏会で婚約破棄を叫ばれる私の姿。私を見る周囲の視線は冷たくて心を抉った。
そうね。彼は一度も私自身を見ることも話を聞く事もなかったわ。親に勝手に決められた婚約者の私の事が大嫌いだったわね。
「ねぇ、辛いでしょう。私の所にいらっしゃい。辛い事の全てから守ってあげるわ」
守る?痛い事も苦しい事もないの?
「そうよ。私の所に来れば辛い事なんか一つも無いわ」
……辛い事ない?良いなぁ……
「良いでしょう。さぁ、こっちにいらっしゃい」
本当に寂しくもないの?もう一人はイヤ。誰か私と一緒に……
『ルナ嬢……ルナ……』
『リュカ、カイトが来た……』
『分かった。君は俺が必ず助ける』
リュカ……カイト……誰だろう?助けるって、どうしたのかしら……
「チッ!余計な真似を!!」
『ルナ!大丈夫!?待っててね。皆を呼んでくるから!』
皆を呼ぶ?私は何時もひと……そうだ……私はもう寂しくなかったわ。リュカ様やソフィア様と一緒に勉強したり装備を作ったり……村で友達も出来たわ。
『魔女の魔力は俺が引き受ける』
『はぁ……後は頼んだ』
『リュカ!』
「クソ、あと少しだったのにぃぃ」
急に目の前が明るくなり、私に囁き掛けていた声は叫びながら消えて二度と聞こえなくなった。そして、明るくなった空間で私は一人で立ち尽くしていると、目の前に誰か人の気配がした。
見えないけど誰かいる……誰だろう?
『ルナさん。ごめんなさいね。先生を許さなくても良いわ』
この声は……サリーナ先生?
『今から貴女の記憶を封印するわ。出来るのなら、こんな物がなくても生きていければそれが良いのだけど』
どうして泣いているの?何か悲しい事があったの?
『今は魔石の事を忘れなさい。必要になれば思い出すわ。この力は誰かを助ける為に使うべき力』
魔石って何を言っているの?
『貴女の力は大切な人を守る為の力のはずよ。魔女の様に間違えないでね』
魔女の様に間違える?魔石……守る為の力。
そうだわ。私は魔石を使って皆が元気になって欲しかったの。
自分の魔力で自分の体を傷つけていたカイトお兄ちゃん。
魔力の流れが悪くて魔法が発動しないせいで自分を責めていたラルちゃん。
魔眼のせいで周囲の人が魅了されて命まで狙われていたマーフィー君。
魔石の中に魔法陣を入れたら、毎回、毎回、陣を書かなくても平気な気がしたの。言葉で陣を出して何時でも魔法が使えると思ったの。
『さぁ、起きて。起きて貴女の大切な人を助けなくちゃ』
先生?サリーナ先生?助けるって何?私の大切な人が危ないの?それって
「どういう事ですか!」
自分の叫び声と共に頭が覚醒する。気がつくと自分の部屋のベッドに寝ていた。はぁ……はぁ……私は夢を見ていたのかしら?
「ルナが起きた~」
自分が何処にいるか分からずに混乱していた私は、勢いよく胸に何かがぶつかった。衝撃で息を詰まらせながら胸元に視線を向けると、白い塊がグリグリと体ごと私に押し付けていた。く、苦しい……何が……え?ミュー?
「ミュー、どうしたの?どうして泣いているの?」
「魔女の幻惑で眠らされていたのよ。心配したんだから!」
「あ……」
ミューの言葉を聞いて、頭の中に学園で起きた出来事とさっきまで見ていた夢の記憶が甦る。暗闇で聞こえた声は魔女の声だったのかしら……そういえばサリーナ先生が言っていた大切な人を助けるって何?
記憶を取り戻すと気になる言葉がある。あれは何を意味していたのかしら……それに私の中の魔女の魔法をどうやって消したの?まさか……引き受けるって言ってたのは
「ミュー……リュカ様はどこ?」
「えっと……お婆ちゃんが会っちゃ駄目だって言ってるわ」
「……私の変わりに幻惑の魔法を引き受けたから?」
ミューはよく分かっていないのか首を傾げていて話にならない。ドクドクと心臓が跳ね嫌な予感がする。無意識に胸を押さえながらも、私は早くリュカ様に会いたかった。
早く会って確認したい。
あれはただの夢の出来事で、本当は一階でソフィア様に怒られながらご飯を食べているだけなんだって
誰か言って。
ここはどこ?体が重いわ。手も足も何処にあるか見えないし動かない。
『ルナ!寝ちゃ駄目よ!……』
寝ちゃ駄目って……私は……寝ているの?今の声は誰かしら?ルナって、私?
考えたいのに考えが纏まらない。フワフワと漂う様な感覚に思考は流される。闇に溶け込みユラユラ揺れる。
「あら、意外としぶといわね」
この声は誰の声?
「ふふ、ねぇ……貴女も辛かったでしょう?」
辛かったって何が?
「勉強を頑張っても認めてくれない親」
その言葉に反応するように暗闇の中に、幼い私とテストを見ながら叱責する父の姿が浮かぶ。
…………そうね。満点を取っても一度も褒めてくれなかったわ。
「苛めをする同級生とそれに加担する講師」
また言葉に反応して学園の様子が浮かび、生徒達が悪口を言いながら私の教科書を破り捨てたけど講師は黙って見ているだけだった。
……泣いた事もあるわ。痛かった事や苦しかった事もある。何度、訴えても誰も聞いてくれなかった気がするわ。
「裏切る婚約者」
次に浮かび上がったのは大舞踏会で婚約破棄を叫ばれる私の姿。私を見る周囲の視線は冷たくて心を抉った。
そうね。彼は一度も私自身を見ることも話を聞く事もなかったわ。親に勝手に決められた婚約者の私の事が大嫌いだったわね。
「ねぇ、辛いでしょう。私の所にいらっしゃい。辛い事の全てから守ってあげるわ」
守る?痛い事も苦しい事もないの?
「そうよ。私の所に来れば辛い事なんか一つも無いわ」
……辛い事ない?良いなぁ……
「良いでしょう。さぁ、こっちにいらっしゃい」
本当に寂しくもないの?もう一人はイヤ。誰か私と一緒に……
『ルナ嬢……ルナ……』
『リュカ、カイトが来た……』
『分かった。君は俺が必ず助ける』
リュカ……カイト……誰だろう?助けるって、どうしたのかしら……
「チッ!余計な真似を!!」
『ルナ!大丈夫!?待っててね。皆を呼んでくるから!』
皆を呼ぶ?私は何時もひと……そうだ……私はもう寂しくなかったわ。リュカ様やソフィア様と一緒に勉強したり装備を作ったり……村で友達も出来たわ。
『魔女の魔力は俺が引き受ける』
『はぁ……後は頼んだ』
『リュカ!』
「クソ、あと少しだったのにぃぃ」
急に目の前が明るくなり、私に囁き掛けていた声は叫びながら消えて二度と聞こえなくなった。そして、明るくなった空間で私は一人で立ち尽くしていると、目の前に誰か人の気配がした。
見えないけど誰かいる……誰だろう?
『ルナさん。ごめんなさいね。先生を許さなくても良いわ』
この声は……サリーナ先生?
『今から貴女の記憶を封印するわ。出来るのなら、こんな物がなくても生きていければそれが良いのだけど』
どうして泣いているの?何か悲しい事があったの?
『今は魔石の事を忘れなさい。必要になれば思い出すわ。この力は誰かを助ける為に使うべき力』
魔石って何を言っているの?
『貴女の力は大切な人を守る為の力のはずよ。魔女の様に間違えないでね』
魔女の様に間違える?魔石……守る為の力。
そうだわ。私は魔石を使って皆が元気になって欲しかったの。
自分の魔力で自分の体を傷つけていたカイトお兄ちゃん。
魔力の流れが悪くて魔法が発動しないせいで自分を責めていたラルちゃん。
魔眼のせいで周囲の人が魅了されて命まで狙われていたマーフィー君。
魔石の中に魔法陣を入れたら、毎回、毎回、陣を書かなくても平気な気がしたの。言葉で陣を出して何時でも魔法が使えると思ったの。
『さぁ、起きて。起きて貴女の大切な人を助けなくちゃ』
先生?サリーナ先生?助けるって何?私の大切な人が危ないの?それって
「どういう事ですか!」
自分の叫び声と共に頭が覚醒する。気がつくと自分の部屋のベッドに寝ていた。はぁ……はぁ……私は夢を見ていたのかしら?
「ルナが起きた~」
自分が何処にいるか分からずに混乱していた私は、勢いよく胸に何かがぶつかった。衝撃で息を詰まらせながら胸元に視線を向けると、白い塊がグリグリと体ごと私に押し付けていた。く、苦しい……何が……え?ミュー?
「ミュー、どうしたの?どうして泣いているの?」
「魔女の幻惑で眠らされていたのよ。心配したんだから!」
「あ……」
ミューの言葉を聞いて、頭の中に学園で起きた出来事とさっきまで見ていた夢の記憶が甦る。暗闇で聞こえた声は魔女の声だったのかしら……そういえばサリーナ先生が言っていた大切な人を助けるって何?
記憶を取り戻すと気になる言葉がある。あれは何を意味していたのかしら……それに私の中の魔女の魔法をどうやって消したの?まさか……引き受けるって言ってたのは
「ミュー……リュカ様はどこ?」
「えっと……お婆ちゃんが会っちゃ駄目だって言ってるわ」
「……私の変わりに幻惑の魔法を引き受けたから?」
ミューはよく分かっていないのか首を傾げていて話にならない。ドクドクと心臓が跳ね嫌な予感がする。無意識に胸を押さえながらも、私は早くリュカ様に会いたかった。
早く会って確認したい。
あれはただの夢の出来事で、本当は一階でソフィア様に怒られながらご飯を食べているだけなんだって
誰か言って。
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