婚約破棄されたポンコツ魔法使い令嬢は今日も元気です!

シマ

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学園復帰編

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 ソフィア様の爆弾発言というか問題発言というか。突然のカミングアウトに三人で絶句しましたが、何とか話しも纏まり明日から登校して数人の講師立ち合いの元で試験を受ける事が決まりました。わたしの負担にならない範囲でですが、試験は出来る限り早く進めていくそうです。復学に必要書類な書類の記入も終わり今日は帰宅する事になりました。

 馬車乗り場まで付き添いで一緒に歩いているアラン先生に、一年前、授業以外でしかも後ろから攻撃魔法を放ったエリザベスは、どうなったのか気になって尋ねてみる事にしました。

「あぁ、スミスさんですか。退学との意見もありましたが、一年からやり直しして様子をみています」

 躊躇いもなくアラン先生が教えてくれた事実に驚いたけど、彼女は私より座学も実技も成績が良かったとはず。それなのにやり直しって、これが罰なの?

「でも、エリザベスは座学も実技も上位ですよね?」

「彼女は不正入学者の一人でした」

 アラン先生の話では不正入学者の中には本人の知らない所で処理されていた生徒もいたけど、全員に再試験を強制で受験させ、その結果で現状維持の人から退学まで細かく再振り分けをしたらしい。再試験で彼女の座学の成績に問題が発覚したって言われても、元々はAクラスで卒業目前だったはずなのに今更、何がいけなかったのかしら?

「座学の成績が問題って、元々はAクラスですよね?」

「それが火属性でしたから火の魔法に関する知識は深いのですが、それ以外の属性に興味がないので分からないのです」

「好きな物だけトコトン詰めるタイプかねぇ」

 ソフィア様の言葉を聞いて頷いていると授業の終わりを告げるチャイムが鳴ると、ざわめきと共に生徒達が教室から出て来た。

「丁度、一年の授業が終わったようですね」

 何人か見知った顔があったけど、彼らは私に気付くと気不味そうに視線を反らしたり俯いて逃げる様に移動して行く。生徒達が居なくなって再び歩き出した時、背後からの殺気に気づいて振り向くとエリザベスがこちらを睨んでいた。ミューもエリザベスに対して威嚇する。宥めるように背中を撫でていると、彼女の視線を遮る様にアラン先生が間に立った。

「さあ、行きましょう。明日から大変ですからゆっくり休んで下さい」

 アラン先生に促され歩き出すと、エリザベスもどこかに歩いて行った。ただ、彼女の目には私に対する憎しみがはっきりと浮かんでいた。




「ルナに殺気を向けてた子は何者だい?」

 馬車に乗り走り出して少ししてから、途中から無言だったソフィア様が口を開くけど、その声はとても真剣で嫌な予感がした。

「あの子がエリザベスです。私と同じAクラスにいたんです」

「さっきアランと話していた子だねぇ……ルナをなんで憎んでのか知らないが危険な子だよ」

 ソフィア様に危険と言われて思い返せば、彼女は私を目の敵にしていたような気がするけど、理由は知らないし考えた事もなかったわ。

「確かに目の敵というか八つ当たり的な感じで文句を言われたり、リュカ様と一緒に教科書を取りに行った時も攻撃されたりしました」

「魔法が使えないルナに攻撃をしたのかい?」

「はい、私に火の攻撃魔法を放ったみたいです。リュカ様が防いでくれてアラン先生が拘束しました」

 自分に分かる範囲でソフィア様にエリザベスが在学中に関わった嫌がらせの事を伝えていると、ソフィア様の表情が徐々に険しくなっていった。

「なんでルナだけなんだい?」

「それが私にもサッパリ分からなくて、座学で私に負けたせいかと思って気にしていませんでした」

「成績だけじゃなさそうだねぇ」

 ソフィア様から改めて言われるとそんな気もしたけど、ここで話をしていても結局、理由は分からないまま家に着いた。あー、家に帰ると肩の力が抜けるー。無意識に緊張していたのか馬車から降りて背伸びをすると、体からバキバキと間接の鳴る音がした。

「なんだい年寄りみたいな事して」

「無意識に力が入ってたみたいです。気分転換にミューと庭を散歩しても良いですか?」

「あぁ、行っといで」

「ミュー、行こう!」

「いく~」

 ミューは私の肩から飛び降りると、先に庭へ駆け出した。その素早さに驚きながらも慌てて追い掛け庭にある花壇の奥へと入って行く。昨日はザッとしか見ていなかったけど、庭には色とりどりの花達が植えられ咲いている。

「ルナーこの花食べて良い?」

「これは見るための花だから食べちゃ駄目よ」

「そうなの?見てるだけの花ってもったいないね」

 "勿体無い"と不思議な事を言うミューに理由を尋ねると、花にも魔力が後で溜まるから蕾はご飯になるらしい。

「花が咲いたら魔力は逃げちゃうの」

「そうなの?知らなかったわ。うーん、後で虫除けの薬を使っていないか確認しましょう」

「確認?」

「薬を使っていないなら食べても大丈夫よ」

「やったーおやつ!おやつ!」

 歌う様におやつと何度も言うミューだけど、花の蕾を前にヨダレたらしちゃ可愛い顔が台無しよ。
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