52 / 91
学園復帰編
3
しおりを挟む
ソフィア様の爆弾発言というか問題発言というか。突然のカミングアウトに三人で絶句しましたが、何とか話しも纏まり明日から登校して数人の講師立ち合いの元で試験を受ける事が決まりました。わたしの負担にならない範囲でですが、試験は出来る限り早く進めていくそうです。復学に必要書類な書類の記入も終わり今日は帰宅する事になりました。
馬車乗り場まで付き添いで一緒に歩いているアラン先生に、一年前、授業以外でしかも後ろから攻撃魔法を放ったエリザベスは、どうなったのか気になって尋ねてみる事にしました。
「あぁ、スミスさんですか。退学との意見もありましたが、一年からやり直しして様子をみています」
躊躇いもなくアラン先生が教えてくれた事実に驚いたけど、彼女は私より座学も実技も成績が良かったとはず。それなのにやり直しって、これが罰なの?
「でも、エリザベスは座学も実技も上位ですよね?」
「彼女は不正入学者の一人でした」
アラン先生の話では不正入学者の中には本人の知らない所で処理されていた生徒もいたけど、全員に再試験を強制で受験させ、その結果で現状維持の人から退学まで細かく再振り分けをしたらしい。再試験で彼女の座学の成績に問題が発覚したって言われても、元々はAクラスで卒業目前だったはずなのに今更、何がいけなかったのかしら?
「座学の成績が問題って、元々はAクラスですよね?」
「それが火属性でしたから火の魔法に関する知識は深いのですが、それ以外の属性に興味がないので分からないのです」
「好きな物だけトコトン詰めるタイプかねぇ」
ソフィア様の言葉を聞いて頷いていると授業の終わりを告げるチャイムが鳴ると、ざわめきと共に生徒達が教室から出て来た。
「丁度、一年の授業が終わったようですね」
何人か見知った顔があったけど、彼らは私に気付くと気不味そうに視線を反らしたり俯いて逃げる様に移動して行く。生徒達が居なくなって再び歩き出した時、背後からの殺気に気づいて振り向くとエリザベスがこちらを睨んでいた。ミューもエリザベスに対して威嚇する。宥めるように背中を撫でていると、彼女の視線を遮る様にアラン先生が間に立った。
「さあ、行きましょう。明日から大変ですからゆっくり休んで下さい」
アラン先生に促され歩き出すと、エリザベスもどこかに歩いて行った。ただ、彼女の目には私に対する憎しみがはっきりと浮かんでいた。
「ルナに殺気を向けてた子は何者だい?」
馬車に乗り走り出して少ししてから、途中から無言だったソフィア様が口を開くけど、その声はとても真剣で嫌な予感がした。
「あの子がエリザベスです。私と同じAクラスにいたんです」
「さっきアランと話していた子だねぇ……ルナをなんで憎んでのか知らないが危険な子だよ」
ソフィア様に危険と言われて思い返せば、彼女は私を目の敵にしていたような気がするけど、理由は知らないし考えた事もなかったわ。
「確かに目の敵というか八つ当たり的な感じで文句を言われたり、リュカ様と一緒に教科書を取りに行った時も攻撃されたりしました」
「魔法が使えないルナに攻撃をしたのかい?」
「はい、私に火の攻撃魔法を放ったみたいです。リュカ様が防いでくれてアラン先生が拘束しました」
自分に分かる範囲でソフィア様にエリザベスが在学中に関わった嫌がらせの事を伝えていると、ソフィア様の表情が徐々に険しくなっていった。
「なんでルナだけなんだい?」
「それが私にもサッパリ分からなくて、座学で私に負けたせいかと思って気にしていませんでした」
「成績だけじゃなさそうだねぇ」
ソフィア様から改めて言われるとそんな気もしたけど、ここで話をしていても結局、理由は分からないまま家に着いた。あー、家に帰ると肩の力が抜けるー。無意識に緊張していたのか馬車から降りて背伸びをすると、体からバキバキと間接の鳴る音がした。
「なんだい年寄りみたいな事して」
「無意識に力が入ってたみたいです。気分転換にミューと庭を散歩しても良いですか?」
「あぁ、行っといで」
「ミュー、行こう!」
「いく~」
ミューは私の肩から飛び降りると、先に庭へ駆け出した。その素早さに驚きながらも慌てて追い掛け庭にある花壇の奥へと入って行く。昨日はザッとしか見ていなかったけど、庭には色とりどりの花達が植えられ咲いている。
「ルナーこの花食べて良い?」
「これは見るための花だから食べちゃ駄目よ」
「そうなの?見てるだけの花ってもったいないね」
"勿体無い"と不思議な事を言うミューに理由を尋ねると、花にも魔力が後で溜まるから蕾はご飯になるらしい。
「花が咲いたら魔力は逃げちゃうの」
「そうなの?知らなかったわ。うーん、後で虫除けの薬を使っていないか確認しましょう」
「確認?」
「薬を使っていないなら食べても大丈夫よ」
「やったーおやつ!おやつ!」
歌う様におやつと何度も言うミューだけど、花の蕾を前にヨダレたらしちゃ可愛い顔が台無しよ。
馬車乗り場まで付き添いで一緒に歩いているアラン先生に、一年前、授業以外でしかも後ろから攻撃魔法を放ったエリザベスは、どうなったのか気になって尋ねてみる事にしました。
「あぁ、スミスさんですか。退学との意見もありましたが、一年からやり直しして様子をみています」
躊躇いもなくアラン先生が教えてくれた事実に驚いたけど、彼女は私より座学も実技も成績が良かったとはず。それなのにやり直しって、これが罰なの?
「でも、エリザベスは座学も実技も上位ですよね?」
「彼女は不正入学者の一人でした」
アラン先生の話では不正入学者の中には本人の知らない所で処理されていた生徒もいたけど、全員に再試験を強制で受験させ、その結果で現状維持の人から退学まで細かく再振り分けをしたらしい。再試験で彼女の座学の成績に問題が発覚したって言われても、元々はAクラスで卒業目前だったはずなのに今更、何がいけなかったのかしら?
「座学の成績が問題って、元々はAクラスですよね?」
「それが火属性でしたから火の魔法に関する知識は深いのですが、それ以外の属性に興味がないので分からないのです」
「好きな物だけトコトン詰めるタイプかねぇ」
ソフィア様の言葉を聞いて頷いていると授業の終わりを告げるチャイムが鳴ると、ざわめきと共に生徒達が教室から出て来た。
「丁度、一年の授業が終わったようですね」
何人か見知った顔があったけど、彼らは私に気付くと気不味そうに視線を反らしたり俯いて逃げる様に移動して行く。生徒達が居なくなって再び歩き出した時、背後からの殺気に気づいて振り向くとエリザベスがこちらを睨んでいた。ミューもエリザベスに対して威嚇する。宥めるように背中を撫でていると、彼女の視線を遮る様にアラン先生が間に立った。
「さあ、行きましょう。明日から大変ですからゆっくり休んで下さい」
アラン先生に促され歩き出すと、エリザベスもどこかに歩いて行った。ただ、彼女の目には私に対する憎しみがはっきりと浮かんでいた。
「ルナに殺気を向けてた子は何者だい?」
馬車に乗り走り出して少ししてから、途中から無言だったソフィア様が口を開くけど、その声はとても真剣で嫌な予感がした。
「あの子がエリザベスです。私と同じAクラスにいたんです」
「さっきアランと話していた子だねぇ……ルナをなんで憎んでのか知らないが危険な子だよ」
ソフィア様に危険と言われて思い返せば、彼女は私を目の敵にしていたような気がするけど、理由は知らないし考えた事もなかったわ。
「確かに目の敵というか八つ当たり的な感じで文句を言われたり、リュカ様と一緒に教科書を取りに行った時も攻撃されたりしました」
「魔法が使えないルナに攻撃をしたのかい?」
「はい、私に火の攻撃魔法を放ったみたいです。リュカ様が防いでくれてアラン先生が拘束しました」
自分に分かる範囲でソフィア様にエリザベスが在学中に関わった嫌がらせの事を伝えていると、ソフィア様の表情が徐々に険しくなっていった。
「なんでルナだけなんだい?」
「それが私にもサッパリ分からなくて、座学で私に負けたせいかと思って気にしていませんでした」
「成績だけじゃなさそうだねぇ」
ソフィア様から改めて言われるとそんな気もしたけど、ここで話をしていても結局、理由は分からないまま家に着いた。あー、家に帰ると肩の力が抜けるー。無意識に緊張していたのか馬車から降りて背伸びをすると、体からバキバキと間接の鳴る音がした。
「なんだい年寄りみたいな事して」
「無意識に力が入ってたみたいです。気分転換にミューと庭を散歩しても良いですか?」
「あぁ、行っといで」
「ミュー、行こう!」
「いく~」
ミューは私の肩から飛び降りると、先に庭へ駆け出した。その素早さに驚きながらも慌てて追い掛け庭にある花壇の奥へと入って行く。昨日はザッとしか見ていなかったけど、庭には色とりどりの花達が植えられ咲いている。
「ルナーこの花食べて良い?」
「これは見るための花だから食べちゃ駄目よ」
「そうなの?見てるだけの花ってもったいないね」
"勿体無い"と不思議な事を言うミューに理由を尋ねると、花にも魔力が後で溜まるから蕾はご飯になるらしい。
「花が咲いたら魔力は逃げちゃうの」
「そうなの?知らなかったわ。うーん、後で虫除けの薬を使っていないか確認しましょう」
「確認?」
「薬を使っていないなら食べても大丈夫よ」
「やったーおやつ!おやつ!」
歌う様におやつと何度も言うミューだけど、花の蕾を前にヨダレたらしちゃ可愛い顔が台無しよ。
13
お気に入りに追加
240
あなたにおすすめの小説
居場所を奪われ続けた私はどこに行けばいいのでしょうか?
gacchi
恋愛
桃色の髪と赤い目を持って生まれたリゼットは、なぜか母親から嫌われている。
みっともない色だと叱られないように、五歳からは黒いカツラと目の色を隠す眼鏡をして、なるべく会わないようにして過ごしていた。
黒髪黒目は闇属性だと誤解され、そのせいで妹たちにも見下されていたが、母親に怒鳴られるよりはましだと思っていた。
十歳になった頃、三姉妹しかいない伯爵家を継ぐのは長女のリゼットだと父親から言われ、王都で勉強することになる。
家族から必要だと認められたいリゼットは領地を継ぐための仕事を覚え、伯爵令息のダミアンと婚約もしたのだが…。
奪われ続けても負けないリゼットを認めてくれる人が現れた一方で、奪うことしかしてこなかった者にはそれ相当の未来が待っていた。
公爵令嬢エイプリルは嘘がお嫌い〜断罪を告げてきた王太子様の嘘を暴いて差し上げましょう〜
星里有乃
恋愛
「公爵令嬢エイプリル・カコクセナイト、今日をもって婚約は破棄、魔女裁判の刑に処す!」
「ふっ……わたくし、嘘は嫌いですの。虚言症の馬鹿な異母妹と、婚約者のクズに振り回される毎日で気が狂いそうだったのは事実ですが。それも今日でおしまい、エイプリル・フールの嘘は午前中まで……」
公爵令嬢エイプリル・カコセクナイトは、新年度の初日に行われたパーティーで婚約者のフェナス王太子から断罪を言い渡される。迫り来る魔女裁判に恐怖で震えているのかと思われていたエイプリルだったが、フェナス王太子こそが嘘をついているとパーティー会場で告発し始めた。
* エイプリルフールを題材にした作品です。更新期間は2023年04月01日・02日の二日間を予定しております。
* この作品は小説家になろうさんとアルファポリスさんに投稿しております。

出来損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出来損ないを望む
家具屋ふふみに
ファンタジー
この世界には魔法が存在する。
そして生まれ持つ適性がある属性しか使えない。
その属性は主に6つ。
火・水・風・土・雷・そして……無。
クーリアは伯爵令嬢として生まれた。
貴族は生まれながらに魔力、そして属性の適性が多いとされている。
そんな中で、クーリアは無属性の適性しかなかった。
無属性しか扱えない者は『白』と呼ばれる。
その呼び名は貴族にとって屈辱でしかない。
だからクーリアは出来損ないと呼ばれた。
そして彼女はその通りの出来損ない……ではなかった。
これは彼女の本気を引き出したい彼女の周りの人達と、絶対に本気を出したくない彼女との攻防を描いた、そんな物語。
そしてクーリアは、自身に隠された秘密を知る……そんなお話。
設定揺らぎまくりで安定しないかもしれませんが、そういうものだと納得してくださいm(_ _)m
※←このマークがある話は大体一人称。
前世の記憶を取り戻したら貴男が好きじゃなくなりました
砂礫レキ
恋愛
公爵令嬢エミア・シュタイトは婚約者である第二王子アリオス・ルーンファクトを心から愛していた。
けれど幼い頃からの恋心をアリオスは手酷く否定し続ける。その度にエミアの心は傷つき自己嫌悪が深くなっていった。
そして婚約から十年経った時「お前は俺の子を産むだけの存在にしか過ぎない」とアリオスに言われエミアの自尊心は限界を迎える。
消えてしまいたいと強く願った彼女は己の人格と引き換えに前世の記憶を取り戻した。
救国の聖女「エミヤ」の記憶を。
表紙は三日月アルペジオ様からお借りしています。
冤罪を受けたため、隣国へ亡命します
しろねこ。
恋愛
「お父様が投獄?!」
呼び出されたレナンとミューズは驚きに顔を真っ青にする。
「冤罪よ。でも事は一刻も争うわ。申し訳ないけど、今すぐ荷づくりをして頂戴。すぐにこの国を出るわ」
突如母から言われたのは生活を一変させる言葉だった。
友人、婚約者、国、屋敷、それまでの生活をすべて捨て、令嬢達は手を差し伸べてくれた隣国へと逃げる。
冤罪を晴らすため、奮闘していく。
同名主人公にて様々な話を書いています。
立場やシチュエーションを変えたりしていますが、他作品とリンクする場所も多々あります。
サブキャラについてはスピンオフ的に書いた話もあったりします。
変わった作風かと思いますが、楽しんで頂けたらと思います。
ハピエンが好きなので、最後は必ずそこに繋げます!
小説家になろうさん、カクヨムさんでも投稿中。

王太子妃が我慢しなさい ~姉妹差別を受けていた姉がもっとひどい兄弟差別を受けていた王太子に嫁ぎました~
玄未マオ
ファンタジー
メディア王家に伝わる古い呪いで第一王子は家族からも畏怖されていた。
その王子の元に姉妹差別を受けていたメルが嫁ぐことになるが、その事情とは?
ヒロインは姉妹差別され育っていますが、言いたいことはきっちりいう子です。
乙女ゲームの世界だと、いつから思い込んでいた?
シナココ
ファンタジー
母親違いの妹をいじめたというふわふわした冤罪で婚約破棄された上に、最北の辺境地に流された公爵令嬢ハイデマリー。勝ち誇る妹・ゲルダは転生者。この世界のヒロインだと豪語し、王太子妃に成り上がる。乙女ゲームのハッピーエンドの確定だ。
……乙女ゲームが終わったら、戦争ストラテジーゲームが始まるのだ。

異世界リナトリオン〜平凡な田舎娘だと思った私、実は転生者でした?!〜
青山喜太
ファンタジー
ある日、母が死んだ
孤独に暮らす少女、エイダは今日も1人分の食器を片付ける、1人で食べる朝食も慣れたものだ。
そしてそれは母が死んでからいつもと変わらない日常だった、ドアがノックされるその時までは。
これは1人の少女が世界を巻き込む巨大な秘密に立ち向かうお話。
小説家になろう様からの転載です!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる