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龍人の村編
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「ルナ、こっちへおいで」
リュカ様が奥の部屋に消えた後、ソフィア様に呼ばれてソファーに座りなおすと向かい側で深いため息が聞こえた。
「気を悪くしないでやってくれ。リュカの言った後遺症が残るってのは本当にあるんだよ」
そう言ったソフィア様はテーブルを見詰めたまま無言になった。暫くして、どこか重苦しい空気で顔を上げたソフィア様の表情は、悲しい様な苦しい様でなんとも言えないものだった。
「これから話す事は他言無用。絶対に誰にも言うんじゃないよ」
そう言ってソフィア様が聞かせてくれたのは氷の魔女と龍人の関係。昔、魔女はこの村に住んでいた龍人らしい。
「あの女の家族は人間に殺されたんだよ。夫も二人の子供も全員を殺されて心が壊れちまったんだ」
私達が住む国が出きる以前。龍人の特殊な力を自国に取り込もうと様々な国から人が来ていた。しかし、他国侵略の戦争利用や独裁政治を目指す内容も多く話し合いで断ると、武力で村人を誘拐する国も現れ幾度となく村は焼かれた。
「全焼は免れたが多くの仲間が犠牲になった。その中に魔女の家族がいたんだよ。伝わる話じゃ葬儀の時、『人間に復讐してやる』と言ったそうだ」
「復讐……何が復讐の基準なのでしょうか」
「それは私らにもよく分からんよ。ただ、人間に敵意が強いからね。後遺症が残って苦しんでいる人間がいるのは確かだよ」
少し寂しそうな表情を見せたソフィア様は、軽く目を閉じると体の中に溜まった物を出すように、ゆっくりと息を吐き出した。何となく声を掛けてはいけない気がして黙って見ていると、パンと大きな音をたてながら自分で自分の頬を叩いた。
えーと、ナニ?
「魔女の縁者に学ぶのは嫌かい?止めて帰っても良いんだ。どうする?」
突然の告白と問い掛け。その内容に驚きはしたけど、どこか納得していた。
確かに魔力が多いだけの人間には呪具なんて高度なもの作れないわね。龍人がその高い能力を活かして作ったって言われると納得出来る。まぁ、魔女に対しては思う所があるけど、ソフィア様はソフィア様。別人、いや、別龍人ね。大魔法使いなんて滅多にお目に掛かれないレアな存在。魔女と縁があるだけで勉強を止めるなんて、私の中ではあり得ないわ。
「止めません。私は勉強がしたいです。魔法が使える様になりたい、出来損ないのポンコツ魔法使いのままで終わりたくない」
「本当に良いのかい?」
「はい、だって魔女は魔女。ソフィア様はソフィア様。別の人じゃないですか関係ないです」
私の言葉を聞いたソフィア様が目をパチパチと瞬きした後、急に大きな声で笑いだした。は?さっきといい、今といい急に何なのよ。
「ルナ、気に入ったよ。明日から始めるから覚悟しな!」
「望むところです」
ソフィア様の態度で何となく断られた事があるのかもと考えたけど、それはそれ、今は今。私は今やれる精一杯をやると決めてここに来たんだから……
グゥ~ギュルルル
何の音?ソフィア様でも私でもないよね?そう考えて部屋の中をキョロキョロと見回していると、また音が聞こえる。二回目でやっと窓の外にいるネグルが困った様な悲しい様な表情で部屋の中を見ている事に気づいた。
「ネグル、どうしたの!そんな悲しそうな顔をして」
私はソファーから立ち上がるとネグルの傍に行き窓越しに声を掛けた。近付いてよく見るとネグルは目を潤ませて今にも泣きそうで、私はどういたら良いか分からずにソフィア様に視線を向けた。
「心配しなくて良い。腹が減ってるだけさ。リュカ!」
ソフィア様が奥のドアに向かって叫ぶと、そっとドアが開きリュカ様が出てきたけど、私と視線を合わせる事なく家を出てネグルの傍に行き頭を撫でて何か話し掛けている。リュカ様の声が小さくて聞き取れないけど、ネグルは不満げに首を横に振ったりリュカ様を鼻でつついていた。
ソフィア様はそんなリュカ様とネグルを呆れた様な表情で見ていたけど、二人が何処かに移動する姿を確認すると私の方へ向き直った。
「ネグルの事はリュカが責任持ってやる。ルナは荷物を片付けな」
「あ、はい」
ソフィア様に言われるまま、荷物を持ってついていくと、奥のドアの向こうには階段やキッチンがあり二階にある部屋に案内された。
「こっちがリュカ、その隣が私の部屋だよ。ルナは向かい側」
階段を中心に囲う様にある部屋は階段正面がソフィア様の部屋で階段の右がリュカ様、階段の左が私らしい。一人、部屋の中に入ると窓から大きな山と森の木々が見える。
さぁて、明日から頑張りますか!
リュカ様が奥の部屋に消えた後、ソフィア様に呼ばれてソファーに座りなおすと向かい側で深いため息が聞こえた。
「気を悪くしないでやってくれ。リュカの言った後遺症が残るってのは本当にあるんだよ」
そう言ったソフィア様はテーブルを見詰めたまま無言になった。暫くして、どこか重苦しい空気で顔を上げたソフィア様の表情は、悲しい様な苦しい様でなんとも言えないものだった。
「これから話す事は他言無用。絶対に誰にも言うんじゃないよ」
そう言ってソフィア様が聞かせてくれたのは氷の魔女と龍人の関係。昔、魔女はこの村に住んでいた龍人らしい。
「あの女の家族は人間に殺されたんだよ。夫も二人の子供も全員を殺されて心が壊れちまったんだ」
私達が住む国が出きる以前。龍人の特殊な力を自国に取り込もうと様々な国から人が来ていた。しかし、他国侵略の戦争利用や独裁政治を目指す内容も多く話し合いで断ると、武力で村人を誘拐する国も現れ幾度となく村は焼かれた。
「全焼は免れたが多くの仲間が犠牲になった。その中に魔女の家族がいたんだよ。伝わる話じゃ葬儀の時、『人間に復讐してやる』と言ったそうだ」
「復讐……何が復讐の基準なのでしょうか」
「それは私らにもよく分からんよ。ただ、人間に敵意が強いからね。後遺症が残って苦しんでいる人間がいるのは確かだよ」
少し寂しそうな表情を見せたソフィア様は、軽く目を閉じると体の中に溜まった物を出すように、ゆっくりと息を吐き出した。何となく声を掛けてはいけない気がして黙って見ていると、パンと大きな音をたてながら自分で自分の頬を叩いた。
えーと、ナニ?
「魔女の縁者に学ぶのは嫌かい?止めて帰っても良いんだ。どうする?」
突然の告白と問い掛け。その内容に驚きはしたけど、どこか納得していた。
確かに魔力が多いだけの人間には呪具なんて高度なもの作れないわね。龍人がその高い能力を活かして作ったって言われると納得出来る。まぁ、魔女に対しては思う所があるけど、ソフィア様はソフィア様。別人、いや、別龍人ね。大魔法使いなんて滅多にお目に掛かれないレアな存在。魔女と縁があるだけで勉強を止めるなんて、私の中ではあり得ないわ。
「止めません。私は勉強がしたいです。魔法が使える様になりたい、出来損ないのポンコツ魔法使いのままで終わりたくない」
「本当に良いのかい?」
「はい、だって魔女は魔女。ソフィア様はソフィア様。別の人じゃないですか関係ないです」
私の言葉を聞いたソフィア様が目をパチパチと瞬きした後、急に大きな声で笑いだした。は?さっきといい、今といい急に何なのよ。
「ルナ、気に入ったよ。明日から始めるから覚悟しな!」
「望むところです」
ソフィア様の態度で何となく断られた事があるのかもと考えたけど、それはそれ、今は今。私は今やれる精一杯をやると決めてここに来たんだから……
グゥ~ギュルルル
何の音?ソフィア様でも私でもないよね?そう考えて部屋の中をキョロキョロと見回していると、また音が聞こえる。二回目でやっと窓の外にいるネグルが困った様な悲しい様な表情で部屋の中を見ている事に気づいた。
「ネグル、どうしたの!そんな悲しそうな顔をして」
私はソファーから立ち上がるとネグルの傍に行き窓越しに声を掛けた。近付いてよく見るとネグルは目を潤ませて今にも泣きそうで、私はどういたら良いか分からずにソフィア様に視線を向けた。
「心配しなくて良い。腹が減ってるだけさ。リュカ!」
ソフィア様が奥のドアに向かって叫ぶと、そっとドアが開きリュカ様が出てきたけど、私と視線を合わせる事なく家を出てネグルの傍に行き頭を撫でて何か話し掛けている。リュカ様の声が小さくて聞き取れないけど、ネグルは不満げに首を横に振ったりリュカ様を鼻でつついていた。
ソフィア様はそんなリュカ様とネグルを呆れた様な表情で見ていたけど、二人が何処かに移動する姿を確認すると私の方へ向き直った。
「ネグルの事はリュカが責任持ってやる。ルナは荷物を片付けな」
「あ、はい」
ソフィア様に言われるまま、荷物を持ってついていくと、奥のドアの向こうには階段やキッチンがあり二階にある部屋に案内された。
「こっちがリュカ、その隣が私の部屋だよ。ルナは向かい側」
階段を中心に囲う様にある部屋は階段正面がソフィア様の部屋で階段の右がリュカ様、階段の左が私らしい。一人、部屋の中に入ると窓から大きな山と森の木々が見える。
さぁて、明日から頑張りますか!
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