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婚約破棄編
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グルグル目が回る。
身体の中から魔力が溢れて止まらない。
ナニコレ……怖い……怖い!
「もう大丈夫だ。魔力は封じたが、この腕輪では長くは持たぬ」
誰だろう……声がする……初めて聞く声かも?あれ……目眩が治った?
「ルナ。聞こえるか?起きろ寝坊助!!」
耳元で兄の大きな声が響き目を開くと、私の目の前に兄の顔があった。横になっていた身体を起こすと、どうやらソファーで寝てしまったらしい。
「……お兄様、寝坊助って何よ。うるさいわね」
兄に何時もの様に言い返してからハッとした。あれ?私、大舞踏会に来てハリソン様から婚約破棄を叫ばれて、別の部屋で調書を取られてて……え!?そうよ!確かフリューゲル様が来て話の途中だったのに何でソファーで寝ているのよ!
人様の前で寝込むなんて醜態をさらした事に気づいて慌てて立ち上がろうとすると、足に力が入らず床に座り込んでしまった。
「無理に動くなご令嬢」
そう言って私に手を差し出したのは黒い長い髪を後ろで一つに束ねた魔法師団のローブを着た男性だった。寝ている間に知らない人が増えていることに驚いて手を掴めずに戸惑っていると、ため息を吐き出した魔法師団の人が両脇に手を差し込み私の身体を持ち上げるとソファーに座らせてくれた。
「私は魔法師団、団長のケビン・フリューゲルだ。リュカとは親戚になるな」
親戚と聞いて二人を見比べると同じ黒い髪に大きな身体、同じ金色の瞳に縦長の瞳孔。二人共、龍人の特徴を持っていた。……うん?魔法師団の団長って偉い人よね。調書を取っていただけなのに、どうしてここにいるんだろう?
「取り敢えず状況を説明するぞ。良いか?」
団長様に尋ねられて黙って頷くと、私と目線を合わせてから左手を指さす。その動きに合わせて私も視線を動かすと、見覚えの無い腕輪が嵌められていた。何よコレ……銀細工は好きだけど男性用かしら、太いし主張の激しい大きな色とりどりの宝石が付いている……私の趣味じゃないわ。
「その腕輪は魔力封じだ。呪具に魔力を奪われていた事は理解しているな。その影響で魔力が暴走しそうになった為の対策だ」
『魔力封じ』と聞いて改めて腕輪を見るけど、私にはただのゴツくて趣味の悪い腕輪にしか見えなかった。ふーん、暴走防止の対策ねぇ……あれ?呪具の繋がりを断っただけで暴走って、そんなはずは……
「私、今までどれくらい魔力を奪われていたのですか?」
説明を聞いて最初に浮かんだ疑問は奪われていた魔力の量。今まで確かに魔力が強いだの量が多いだの色々言われていたけど、一度も暴走するような事はなかったはず。
「恐らく半分程、奪われていただろう」
半分かぁ……半分!?嘘でしょう……だって今までも人より多い癖にとか言われていたのに、これ以上増えたら扱いきれないわよ。
「ご令嬢、君の魔力は危険だ。分かるな?このままでは制御不能になるだろう」
唖然としながら話を聞いていた私に追い打ちを掛ける様に怖い言葉が聞こえる。兄に視線を向けると眉間に皺を寄せ、手には拳が握られていた。
……あぁ、間違いじゃないのね……
兄のその姿を見てまで否定は出来ない。考えが纏まらないまま、団長様に視線を戻すと何故か口の端だけ上げて悪どい笑みを浮かべていた。
「喜べご令嬢。君は龍人の長老に弟子入りが決まった」
……ナニ言ってんの、この人……
身体の中から魔力が溢れて止まらない。
ナニコレ……怖い……怖い!
「もう大丈夫だ。魔力は封じたが、この腕輪では長くは持たぬ」
誰だろう……声がする……初めて聞く声かも?あれ……目眩が治った?
「ルナ。聞こえるか?起きろ寝坊助!!」
耳元で兄の大きな声が響き目を開くと、私の目の前に兄の顔があった。横になっていた身体を起こすと、どうやらソファーで寝てしまったらしい。
「……お兄様、寝坊助って何よ。うるさいわね」
兄に何時もの様に言い返してからハッとした。あれ?私、大舞踏会に来てハリソン様から婚約破棄を叫ばれて、別の部屋で調書を取られてて……え!?そうよ!確かフリューゲル様が来て話の途中だったのに何でソファーで寝ているのよ!
人様の前で寝込むなんて醜態をさらした事に気づいて慌てて立ち上がろうとすると、足に力が入らず床に座り込んでしまった。
「無理に動くなご令嬢」
そう言って私に手を差し出したのは黒い長い髪を後ろで一つに束ねた魔法師団のローブを着た男性だった。寝ている間に知らない人が増えていることに驚いて手を掴めずに戸惑っていると、ため息を吐き出した魔法師団の人が両脇に手を差し込み私の身体を持ち上げるとソファーに座らせてくれた。
「私は魔法師団、団長のケビン・フリューゲルだ。リュカとは親戚になるな」
親戚と聞いて二人を見比べると同じ黒い髪に大きな身体、同じ金色の瞳に縦長の瞳孔。二人共、龍人の特徴を持っていた。……うん?魔法師団の団長って偉い人よね。調書を取っていただけなのに、どうしてここにいるんだろう?
「取り敢えず状況を説明するぞ。良いか?」
団長様に尋ねられて黙って頷くと、私と目線を合わせてから左手を指さす。その動きに合わせて私も視線を動かすと、見覚えの無い腕輪が嵌められていた。何よコレ……銀細工は好きだけど男性用かしら、太いし主張の激しい大きな色とりどりの宝石が付いている……私の趣味じゃないわ。
「その腕輪は魔力封じだ。呪具に魔力を奪われていた事は理解しているな。その影響で魔力が暴走しそうになった為の対策だ」
『魔力封じ』と聞いて改めて腕輪を見るけど、私にはただのゴツくて趣味の悪い腕輪にしか見えなかった。ふーん、暴走防止の対策ねぇ……あれ?呪具の繋がりを断っただけで暴走って、そんなはずは……
「私、今までどれくらい魔力を奪われていたのですか?」
説明を聞いて最初に浮かんだ疑問は奪われていた魔力の量。今まで確かに魔力が強いだの量が多いだの色々言われていたけど、一度も暴走するような事はなかったはず。
「恐らく半分程、奪われていただろう」
半分かぁ……半分!?嘘でしょう……だって今までも人より多い癖にとか言われていたのに、これ以上増えたら扱いきれないわよ。
「ご令嬢、君の魔力は危険だ。分かるな?このままでは制御不能になるだろう」
唖然としながら話を聞いていた私に追い打ちを掛ける様に怖い言葉が聞こえる。兄に視線を向けると眉間に皺を寄せ、手には拳が握られていた。
……あぁ、間違いじゃないのね……
兄のその姿を見てまで否定は出来ない。考えが纏まらないまま、団長様に視線を戻すと何故か口の端だけ上げて悪どい笑みを浮かべていた。
「喜べご令嬢。君は龍人の長老に弟子入りが決まった」
……ナニ言ってんの、この人……
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