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俺にとっての、本当のベル
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なんでこんなことになったんだ。
ウサギの牧草を準備しながら、ふぅっとため息を吐いてしまう。
クラスのやつらと話すことができてきたのは素直に嬉しい。だけど、文化祭の演劇で王子……?
時間が経った今でもまるで本当のことのように思えない。
戸惑っている俺に気づいたのか、愛奈もベル役に立候補してくれた。マジで、愛奈にはいつも気を使わせてばかりだ。愛奈だって、演劇で目立つ役をするようなキャラとは思えない。俺のために、だいぶ無理をさせているのだろう。
そう考えると、胸がチクリと痛む。愛奈の気持ちは嬉しい。だけど、愛奈に迷惑もかけたくない。
――っと。ウサギの世話をしているんだから集中しないと。
牧草をムシャムシャ食べるウサギたちを見つめる。そういえばこいつらも、逃げなくなったよなぁ。
愛奈と話しつつ、ウサギを観察していると見たことのない男子が声をかけてきた。
愛奈はそいつのことを知っているみたいで、どうやら先輩らしい。
玲央先輩と呼ばれたそいつは妙に愛奈に慣れ慣れしくて、胸のなかが焦げるような感覚になる。
遠くからしばらく見ていたが、どうやら先輩は愛奈を誘っているらしい。それにしても、距離が近すぎる。横目で見ていたが、先輩が愛奈の体に触れたのを見ると、カッと頭に血が昇った。気づいたときには、ふたりの間に入ってしまっていた。
「――すみません、愛奈が困ってるんでやめてもらっていいですか?」
嘘つき。愛奈が困ってるんじゃない。俺が困るんだ。でも、そんなことを言うわけにもいかなくて……。愛奈を言い訳にしてふたりの間に入ったことに、罪悪感がどんどんと出てきてしまう。
「鮫嶋くん、助けてくれてありがとう」
愛奈はお礼を言ってくれるけど、違う。愛奈のためなんかじゃない。
俺が自分の身勝手な気持ちで、勝手に先輩に怒っていたんだ。
「……別に。先輩と仲良いなら、文化祭一緒に回ってもいいんじゃね?」
また愛奈に迷惑をかけてしまうかもしれない。愛奈を俺が縛り付けたらだめだ。そんなことを続けていたら、いつかきっと嫌われてしまう。
だいたい、あんなイケメンの先輩……俺に勝ち目なんてあるはずねーじゃん。
***
昨日、先輩とのことがあってから愛奈とぎこちなくなったままだ。
たったちょっとの時間のことなのに、どうやって話したらいいのかわからない。
まともに他人と話してこなかったことを、今になって後悔している。
朝、またあの先輩が愛奈に話しかけていた。心なしか、愛奈も先輩には心を開いているような気がする。勇気を出して、謝ってみたものの……。馬場さんが言っていたけど……本当にキス、してたんだろうか。ぐるぐると愛奈と先輩の顔が頭に浮かぶ。ムシャクシャしてきて、下唇を噛みしめた。情けない。こんな感情のまま、気づいたらロングホームルームの時間になっていた。
……俺が勝手に、ただ、愛奈に憧れているだけ。
一緒に住んでいるだけで、ちょっと仲良くなった気になってた。
玲央とかいう先輩は、話に聞くと人気のある男子らしいし。そんな人に好意を向けられているなら、俺が愛奈を縛り付けるようなこと、しちゃだめだよな。
「――おーい、投票していないのは誰だ」
先生の声ではっと我に返る。愛奈のことが本当に好きなら、俺のすることは……。
母さんたちからも俺のことを頼まれていたことだろう。俺が不器用だから、俺が学校でうまくいくようにって。そんな面倒な役柄から、愛奈を解放してやることが俺にできることなんじゃないか?
頭の中がぐちゃぐちゃになってくる。好きだから一緒にいたいのに、俺がいることが愛奈の負担になるんじゃないか。それなら、もう――
俺は、黒板の前に立つと、黒板に白い線を書く。
ベル役の投票を、兎沢に入れた。
こうしたら、愛奈は俺に気を使うことなく、先輩と文化祭を回れる。せっかくいい男と出逢えたのに、俺なんかの世話してたら可哀想、だもんな。
そう思ったものの、心にはぽっかりとした穴が空いたような気持ちになる。兎沢の声に気づき振り向くと、視界の奥で愛奈が教室から飛び出していったのが見えた。
「愛奈っ――?」
思わず手を伸ばしてしまった俺の前を、兎沢が遮った。
「愛奈ちゃん、体調悪かったみたいだよ……? 草間さんにでも任せて、私たちは劇の打ち合わせをした方がいいんじゃない?」
「そ、そう……か」
兎沢は微笑んではいるが、なんとなく圧を感じる。
教室はしばらく静まり返った。先生が雰囲気を変えようとしたのか、手をパンッと鳴らした。
「草間、悪いけど白魚のこと、見てきてくれるか? 選ばれなかったことで、ショックを受けているのかもしれないから」
「はい、わかりました」
草間は駆け足で教室を出ていく。先生が文化祭の準備をするように指示を出すと、すぐにそのまた教室は騒がしくなった。
兎沢は俺の耳元で囁く。
「ね? 草間さんがいるから大丈夫だよ。女の子のことは女の子が解決しないと。それよりも、私に投票してくれてありがとう」
俺の返事を待たずに、兎沢は続ける。
「昨日、絵本を参考にして台本も作ってきたの。教室じゃ騒がしいから……視聴覚室にでも行って練習しようよ。最高の劇に、しようね」
俺は兎沢に言われるがままに、教室を出て視聴覚室へ向かった。
視聴覚室の鍵は開いていた。厚手のカーテンだからだろうか。この部屋は、他の教室より暗い。
「良かった。ほかのクラスは使ってないみたいだね」
そう言うと、兎沢は教室の半分にだけ電気を点けた。
「少し薄暗い方が、本番の劇っぽくていいよね」
「……そうか」
兎沢に返事をしながら、頭には愛奈の顔がよぎる。
「とりあえずの台本だけど、練習してみようよ」
束になったコピー用紙を受け取ると、兎沢はにっこりと微笑んだ。
「ずいぶん嬉しそうだな」
「嬉しいよ? 好きな人と一緒に劇の主役になれるなんて、最高の気分」
「は?」
「桃は、鮫嶋くんのこと好きだよ」
「ああ、サンキュ」
友達に好きと言われる経験すらなかった俺としては、何気ないこんな言葉もこそばゆい。愛奈だって、兎沢だって、まっすぐに相手に好意を伝えられるのは本当にすごいことだと思う。
……たとえ、それが本心じゃなくても。
受け取った台本をめくる。ずっと昔に読んだような気がするけど、いったいどんな話だったか……。
ペラペラと流し読みするなかで、いくつかの文章が目に入ってくる。
『野獣はみにくく、世にもおそろしい姿をしていました』
『そのため、ずっと城に引きこもっていたのです』
乾いた笑いがでる。そりゃ、俺にぴったりの役だ。顔も心も、なにもかもドロドロだ。
身の程知らずな恋をして、どんどん自分が嫌いになっていく。
醜くて、怖くて、なにもしなくても恐れられる。自分なんか、大嫌いで。
『そんな恐ろしい化物にでも、ベルはやさしく語りかけました』
ベルは「美しい人」という意味があるらしい。姿も、心も。そう考えたら、愛奈にぴったりの役だった。愛奈、今はどうしてるだろう。草間がちゃんと見つけてくれたのかな。
「――じまくん! 鮫嶋くん!」
ふっと意識が視聴覚室に戻る。いけない、劇の練習をしてたのに。
「わりい、ちょっとぼーっとしてた」
兎沢はまっすぐに俺を見ると、うなだれてため息を吐いた。
「あのさ、こんなに心あらずな人初めてなんだけど」
「悪い、集中するから」
兎沢は俺が持っていた台本を取り上げて、視聴覚室のカーテンを勢いよく開けた。
太陽の光が急に入って来て、俺は目を細める。
「そんなに愛奈ちゃんのことが気になるなら、早く行ってきなさいよ!」
「――別に俺は気にしてなんか」
「鮫嶋くん、他人の心だけじゃなくて自分の心にも鈍感なわけ!? いいから愛奈ちゃんを探しにいきなさいってば!」
そう言うと、兎沢は俺の背中を勢いよく叩いた。
「いたっ! でも、俺が行っても……」
「いいから、もう行って! 愛奈ちゃん、鮫嶋くんを待ってるはずだから」
愛奈の顔が浮かぶ。色々な雑念が振り払われると、そこにあった気持ちはシンプルなものだった。俺は、やっぱり、愛奈のそばにいたい。
「愛奈ちゃんのこと好きなんでしょ? ここまであたしに言わせないでよ」
「――兎沢、悪い! ありがとう!」
「早く行け! 鈍感男っ!」
俺は視聴覚室を出て勢いよく走りだした。
愛奈は教室を出ていったとき、泣いていたような気がする。劇でベル役に選ばれなかったから? いや、そんなことで泣くような子じゃない。俺が兎沢を選んだから? 友達として傷つけた? 不安にさせた? ああ、もう何もわからない。だけど、愛奈が泣いているのは嫌だ! やっぱり、俺は愛奈が好きだから!!
ウサギの牧草を準備しながら、ふぅっとため息を吐いてしまう。
クラスのやつらと話すことができてきたのは素直に嬉しい。だけど、文化祭の演劇で王子……?
時間が経った今でもまるで本当のことのように思えない。
戸惑っている俺に気づいたのか、愛奈もベル役に立候補してくれた。マジで、愛奈にはいつも気を使わせてばかりだ。愛奈だって、演劇で目立つ役をするようなキャラとは思えない。俺のために、だいぶ無理をさせているのだろう。
そう考えると、胸がチクリと痛む。愛奈の気持ちは嬉しい。だけど、愛奈に迷惑もかけたくない。
――っと。ウサギの世話をしているんだから集中しないと。
牧草をムシャムシャ食べるウサギたちを見つめる。そういえばこいつらも、逃げなくなったよなぁ。
愛奈と話しつつ、ウサギを観察していると見たことのない男子が声をかけてきた。
愛奈はそいつのことを知っているみたいで、どうやら先輩らしい。
玲央先輩と呼ばれたそいつは妙に愛奈に慣れ慣れしくて、胸のなかが焦げるような感覚になる。
遠くからしばらく見ていたが、どうやら先輩は愛奈を誘っているらしい。それにしても、距離が近すぎる。横目で見ていたが、先輩が愛奈の体に触れたのを見ると、カッと頭に血が昇った。気づいたときには、ふたりの間に入ってしまっていた。
「――すみません、愛奈が困ってるんでやめてもらっていいですか?」
嘘つき。愛奈が困ってるんじゃない。俺が困るんだ。でも、そんなことを言うわけにもいかなくて……。愛奈を言い訳にしてふたりの間に入ったことに、罪悪感がどんどんと出てきてしまう。
「鮫嶋くん、助けてくれてありがとう」
愛奈はお礼を言ってくれるけど、違う。愛奈のためなんかじゃない。
俺が自分の身勝手な気持ちで、勝手に先輩に怒っていたんだ。
「……別に。先輩と仲良いなら、文化祭一緒に回ってもいいんじゃね?」
また愛奈に迷惑をかけてしまうかもしれない。愛奈を俺が縛り付けたらだめだ。そんなことを続けていたら、いつかきっと嫌われてしまう。
だいたい、あんなイケメンの先輩……俺に勝ち目なんてあるはずねーじゃん。
***
昨日、先輩とのことがあってから愛奈とぎこちなくなったままだ。
たったちょっとの時間のことなのに、どうやって話したらいいのかわからない。
まともに他人と話してこなかったことを、今になって後悔している。
朝、またあの先輩が愛奈に話しかけていた。心なしか、愛奈も先輩には心を開いているような気がする。勇気を出して、謝ってみたものの……。馬場さんが言っていたけど……本当にキス、してたんだろうか。ぐるぐると愛奈と先輩の顔が頭に浮かぶ。ムシャクシャしてきて、下唇を噛みしめた。情けない。こんな感情のまま、気づいたらロングホームルームの時間になっていた。
……俺が勝手に、ただ、愛奈に憧れているだけ。
一緒に住んでいるだけで、ちょっと仲良くなった気になってた。
玲央とかいう先輩は、話に聞くと人気のある男子らしいし。そんな人に好意を向けられているなら、俺が愛奈を縛り付けるようなこと、しちゃだめだよな。
「――おーい、投票していないのは誰だ」
先生の声ではっと我に返る。愛奈のことが本当に好きなら、俺のすることは……。
母さんたちからも俺のことを頼まれていたことだろう。俺が不器用だから、俺が学校でうまくいくようにって。そんな面倒な役柄から、愛奈を解放してやることが俺にできることなんじゃないか?
頭の中がぐちゃぐちゃになってくる。好きだから一緒にいたいのに、俺がいることが愛奈の負担になるんじゃないか。それなら、もう――
俺は、黒板の前に立つと、黒板に白い線を書く。
ベル役の投票を、兎沢に入れた。
こうしたら、愛奈は俺に気を使うことなく、先輩と文化祭を回れる。せっかくいい男と出逢えたのに、俺なんかの世話してたら可哀想、だもんな。
そう思ったものの、心にはぽっかりとした穴が空いたような気持ちになる。兎沢の声に気づき振り向くと、視界の奥で愛奈が教室から飛び出していったのが見えた。
「愛奈っ――?」
思わず手を伸ばしてしまった俺の前を、兎沢が遮った。
「愛奈ちゃん、体調悪かったみたいだよ……? 草間さんにでも任せて、私たちは劇の打ち合わせをした方がいいんじゃない?」
「そ、そう……か」
兎沢は微笑んではいるが、なんとなく圧を感じる。
教室はしばらく静まり返った。先生が雰囲気を変えようとしたのか、手をパンッと鳴らした。
「草間、悪いけど白魚のこと、見てきてくれるか? 選ばれなかったことで、ショックを受けているのかもしれないから」
「はい、わかりました」
草間は駆け足で教室を出ていく。先生が文化祭の準備をするように指示を出すと、すぐにそのまた教室は騒がしくなった。
兎沢は俺の耳元で囁く。
「ね? 草間さんがいるから大丈夫だよ。女の子のことは女の子が解決しないと。それよりも、私に投票してくれてありがとう」
俺の返事を待たずに、兎沢は続ける。
「昨日、絵本を参考にして台本も作ってきたの。教室じゃ騒がしいから……視聴覚室にでも行って練習しようよ。最高の劇に、しようね」
俺は兎沢に言われるがままに、教室を出て視聴覚室へ向かった。
視聴覚室の鍵は開いていた。厚手のカーテンだからだろうか。この部屋は、他の教室より暗い。
「良かった。ほかのクラスは使ってないみたいだね」
そう言うと、兎沢は教室の半分にだけ電気を点けた。
「少し薄暗い方が、本番の劇っぽくていいよね」
「……そうか」
兎沢に返事をしながら、頭には愛奈の顔がよぎる。
「とりあえずの台本だけど、練習してみようよ」
束になったコピー用紙を受け取ると、兎沢はにっこりと微笑んだ。
「ずいぶん嬉しそうだな」
「嬉しいよ? 好きな人と一緒に劇の主役になれるなんて、最高の気分」
「は?」
「桃は、鮫嶋くんのこと好きだよ」
「ああ、サンキュ」
友達に好きと言われる経験すらなかった俺としては、何気ないこんな言葉もこそばゆい。愛奈だって、兎沢だって、まっすぐに相手に好意を伝えられるのは本当にすごいことだと思う。
……たとえ、それが本心じゃなくても。
受け取った台本をめくる。ずっと昔に読んだような気がするけど、いったいどんな話だったか……。
ペラペラと流し読みするなかで、いくつかの文章が目に入ってくる。
『野獣はみにくく、世にもおそろしい姿をしていました』
『そのため、ずっと城に引きこもっていたのです』
乾いた笑いがでる。そりゃ、俺にぴったりの役だ。顔も心も、なにもかもドロドロだ。
身の程知らずな恋をして、どんどん自分が嫌いになっていく。
醜くて、怖くて、なにもしなくても恐れられる。自分なんか、大嫌いで。
『そんな恐ろしい化物にでも、ベルはやさしく語りかけました』
ベルは「美しい人」という意味があるらしい。姿も、心も。そう考えたら、愛奈にぴったりの役だった。愛奈、今はどうしてるだろう。草間がちゃんと見つけてくれたのかな。
「――じまくん! 鮫嶋くん!」
ふっと意識が視聴覚室に戻る。いけない、劇の練習をしてたのに。
「わりい、ちょっとぼーっとしてた」
兎沢はまっすぐに俺を見ると、うなだれてため息を吐いた。
「あのさ、こんなに心あらずな人初めてなんだけど」
「悪い、集中するから」
兎沢は俺が持っていた台本を取り上げて、視聴覚室のカーテンを勢いよく開けた。
太陽の光が急に入って来て、俺は目を細める。
「そんなに愛奈ちゃんのことが気になるなら、早く行ってきなさいよ!」
「――別に俺は気にしてなんか」
「鮫嶋くん、他人の心だけじゃなくて自分の心にも鈍感なわけ!? いいから愛奈ちゃんを探しにいきなさいってば!」
そう言うと、兎沢は俺の背中を勢いよく叩いた。
「いたっ! でも、俺が行っても……」
「いいから、もう行って! 愛奈ちゃん、鮫嶋くんを待ってるはずだから」
愛奈の顔が浮かぶ。色々な雑念が振り払われると、そこにあった気持ちはシンプルなものだった。俺は、やっぱり、愛奈のそばにいたい。
「愛奈ちゃんのこと好きなんでしょ? ここまであたしに言わせないでよ」
「――兎沢、悪い! ありがとう!」
「早く行け! 鈍感男っ!」
俺は視聴覚室を出て勢いよく走りだした。
愛奈は教室を出ていったとき、泣いていたような気がする。劇でベル役に選ばれなかったから? いや、そんなことで泣くような子じゃない。俺が兎沢を選んだから? 友達として傷つけた? 不安にさせた? ああ、もう何もわからない。だけど、愛奈が泣いているのは嫌だ! やっぱり、俺は愛奈が好きだから!!
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