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ラブ・クラ荘にようこそ!!
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春、桜が舞い散る季節。
そして、新生活が始まる季節。
私、七瀬 夏菜 (16歳)も、田舎から憧れの都会東京に上京して来た。
親にはものすごく反対されたけど、それでも都会への憧れは消えることなく、なんとか説得して東京の高校に受かれば上京してもいいとお許しが出た。
死にものぐるいで勉強しこの春、東京にある大学に入学することができた。
『んっ~!!やっぱり田舎と全然違うなぁ~迷子にならないようにしないと!』
スマホの地図を開き、目的の場所を確認する。
ラブ・クラ荘。
私がお世話になる共同アパートだ。
家賃が安く、なおかつ通う大学からも近い。
地図を確認しながら、新生活の第1歩を踏み出す。
そして...
『ココ...ドコ..??』
当たりをキロキロするが、それらしい建物はない。
『あれっ~..確かあっちだったんだけど..』
そう言って行ってみるものの、結局辿り着けず同じ道に出てしまう。
実はこの現象、スマホが壊れるのでは無く私が原因なのだ。
小さい頃から方向音痴で、1人で友達の家に遊びに行けば必ずと言っていいほど迷ってしまう。
この特徴がある事も、両親が東京に上京を反対した理由の一つでもあるんだろうなぁ..
立ち尽くし途方に暮れていると、ふと肩を叩かれ振り返る。
そこには、絹糸のような長い綺麗な金色の髪に、宝石のように青い瞳。
すらっとした立ち姿に、綺麗に整った顔。
正しくイケメンと言った印象。
私はしばらくボーッとその姿を眺めてしまった。
「あの..大丈夫ですか?」
彼の一言に我に返り、急に顔が熱くなる。
そりゃ人の顔ジロジロ見たら、そんな反応にもなるよね..
『す.すみません!!』
「いえいえ。私も急に話しかけてしまい申し訳ありません。どうやらお困りのご様子だったので。」
『あはは..実は東京に住むことになって、その場所に向かおうとしたんですけど..方向音痴のせいでなかなかたどり着けなくて..』
「そうだったんですか?あの、地図拝見してもよろしいですか?」
そう言った彼にスマホを手渡し、行きたい場所を教える。
彼は現在の位置と、地図を見比べる。
その姿も、絵になってしまうのだからイケメンと言う人種は恐ろしい..
「ここでしたら、私も案内しますよ?丁度用事も住んだ後ですし」
そう言った彼は私にスマホ渡し、そう提案して来てくれる。
『え?!い、良いんですか..?』
「はい。あ、自己紹介がまだでしたね!私は風谷 風魔と言います。よろしくお願いしますしますね、夏菜さん」
『はい!よろしくお願いします!...あれ?名前..』
「さ!行きましょう」
彼、風谷さんは私の荷物を持ち歩き出す。
一瞬違和感があったが、風谷さんを見失う訳にも行かず気のせいと片付け、そのあとを追うようにまた歩き出した。
しばらく歩いていくうちに、木々が増えて行き自然を感じられる。
ビルや建物だらけの場所に現れた、オアシスのような空間。
揺れる葉の隙間から差し込む春の日差しは、とても心地良かった。
すると、目の前におとぎ話とかで出てきそうなお屋敷のような建物が見えて来る。
大きい門が音を立てて開く。
こんな所が家賃たったの1万円って..
「着きましたよ。ここが目的地、ラブ・クラ荘です」
『あ、ありがとうございます風谷さん!』
「困ってる時はお互い様ですよ」
そう言って微笑む彼は、神々しくとてもじゃないが直視出来なかった。
すると突然、行き良いよく玄関の扉が開きそこから何かがこちらに飛び出してくる。
『うわっ?!』
咄嗟の出来事で避け切れず、そのまま押し倒される形で尻もちを着いてしまう。
『いっ..』
「アイツ..本気で投げ飛ばしやがってぇ..!」
ゆっくりと目を開け状況を理解しようとすれば、目の前には言葉に言い表せないほど美しい顔があった。
ルビー見たいな赤い目に、長いまつ毛と綺麗な黒髪を後ろで結んで居る。
『綺麗..』
自然と出た一言に、これがこちらに気づいたのか少し驚いた表情を浮かべた後、立ち上がり私を見下す。
「お前トロイな、さっさと立てよそこに居ると邪魔だろ」
『なっ!貴方が突然吹っ飛んできたんでしょ?!』
私は咄嗟に立ち上がり、声を荒らげる。
それをうるさいと言わんばかりに耳を塞ぐ仕草を撮る彼に、予定に腹が立つ。
「そもそも俺悪くねぇし!あいつが俺の事ぶっ飛ばさなかったらこんな事なってなかったつの!」
そう言って玄関の方を指さすと、そこには凛とした様子で短い赤毛が立っていた。
「いや、お前が僕の前にいて邪魔だったから投げ飛ばしただけだ。」
無症状のまま淡々と言い放った彼に、詰め寄りメンチを切る黒髪の青年。
そこに今まで黙っていた風谷さんが、ゆっくりと近寄り両手を振り上げ、そのままの勢いで2人の頭にチョップをかました。
スコーン!っといい音が鳴った気がしたが、2人はその場でしゃがみこみ頭を抱え悶絶する。
「何すんだよ!金髪頭!!」
「なぜ僕まで..理解不能..」
「二人とも?いい加減にしてくださいね?喧嘩するのは良いですけど..あまりやり過ぎるようだったら..分かりますね?」
そう笑顔を向けた彼だったが、そこから隠しきれない圧を感じる。
優しい人ほど怒らせては行けないとよく言ったものだけど..確かにその通りだなと実感した。
「はぁ..全く..新しい人が来たって言うのに..」
そうため息を着く彼は、私の方を振り返った。
「先程はお見苦しいところをお見せしましたね。改めてこの2人はここの住人で、黒髪の方は黒闇 千理そっちの赤髪の方は、火轟 憐火と言います。2人共、この方が今日ここに入居する七瀬 夏菜さんですよ」
そう紹介され、ハッとなり勢いよくお辞儀する。
『よ、よろしくお願いします!』
「んっ。てかなんで一緒に来てるんだよ」
「中々来ないので様子を確認しに行ったら、迷子になってた見たいで」
「あっそ、てっきり恋人でも作ってきたと思った」
そう言った彼に、再び手を上げる。
慌てて頭を抑え、ガードする様に後ろに下がる。
「さて、とりあえず部屋に案内しますね。ここまで来るのに大変だったでしょうし少しゆっくりしてください」
『あ、はい!ありがとうございます!』
「それと..」
それと同時に、私の周りを春風が桜の花びらを舞い上がらせていく。
「ようこそ。ラブ・クラ荘へ」
その言葉に、私の気持ちは高ぶっていた。
これから始まる新しい生活。
期待と不安が入り交じりながらも、これからここで起きる日常にワクワクが止まらなかった。
そう、この時の私は知らなかったんです。
まさか..そんな日常が..
非日常に変わるなんて..
この時から少しづつ、私は混沌の歯車へと飲まれていくことになるのです。
そして、新生活が始まる季節。
私、七瀬 夏菜 (16歳)も、田舎から憧れの都会東京に上京して来た。
親にはものすごく反対されたけど、それでも都会への憧れは消えることなく、なんとか説得して東京の高校に受かれば上京してもいいとお許しが出た。
死にものぐるいで勉強しこの春、東京にある大学に入学することができた。
『んっ~!!やっぱり田舎と全然違うなぁ~迷子にならないようにしないと!』
スマホの地図を開き、目的の場所を確認する。
ラブ・クラ荘。
私がお世話になる共同アパートだ。
家賃が安く、なおかつ通う大学からも近い。
地図を確認しながら、新生活の第1歩を踏み出す。
そして...
『ココ...ドコ..??』
当たりをキロキロするが、それらしい建物はない。
『あれっ~..確かあっちだったんだけど..』
そう言って行ってみるものの、結局辿り着けず同じ道に出てしまう。
実はこの現象、スマホが壊れるのでは無く私が原因なのだ。
小さい頃から方向音痴で、1人で友達の家に遊びに行けば必ずと言っていいほど迷ってしまう。
この特徴がある事も、両親が東京に上京を反対した理由の一つでもあるんだろうなぁ..
立ち尽くし途方に暮れていると、ふと肩を叩かれ振り返る。
そこには、絹糸のような長い綺麗な金色の髪に、宝石のように青い瞳。
すらっとした立ち姿に、綺麗に整った顔。
正しくイケメンと言った印象。
私はしばらくボーッとその姿を眺めてしまった。
「あの..大丈夫ですか?」
彼の一言に我に返り、急に顔が熱くなる。
そりゃ人の顔ジロジロ見たら、そんな反応にもなるよね..
『す.すみません!!』
「いえいえ。私も急に話しかけてしまい申し訳ありません。どうやらお困りのご様子だったので。」
『あはは..実は東京に住むことになって、その場所に向かおうとしたんですけど..方向音痴のせいでなかなかたどり着けなくて..』
「そうだったんですか?あの、地図拝見してもよろしいですか?」
そう言った彼にスマホを手渡し、行きたい場所を教える。
彼は現在の位置と、地図を見比べる。
その姿も、絵になってしまうのだからイケメンと言う人種は恐ろしい..
「ここでしたら、私も案内しますよ?丁度用事も住んだ後ですし」
そう言った彼は私にスマホ渡し、そう提案して来てくれる。
『え?!い、良いんですか..?』
「はい。あ、自己紹介がまだでしたね!私は風谷 風魔と言います。よろしくお願いしますしますね、夏菜さん」
『はい!よろしくお願いします!...あれ?名前..』
「さ!行きましょう」
彼、風谷さんは私の荷物を持ち歩き出す。
一瞬違和感があったが、風谷さんを見失う訳にも行かず気のせいと片付け、そのあとを追うようにまた歩き出した。
しばらく歩いていくうちに、木々が増えて行き自然を感じられる。
ビルや建物だらけの場所に現れた、オアシスのような空間。
揺れる葉の隙間から差し込む春の日差しは、とても心地良かった。
すると、目の前におとぎ話とかで出てきそうなお屋敷のような建物が見えて来る。
大きい門が音を立てて開く。
こんな所が家賃たったの1万円って..
「着きましたよ。ここが目的地、ラブ・クラ荘です」
『あ、ありがとうございます風谷さん!』
「困ってる時はお互い様ですよ」
そう言って微笑む彼は、神々しくとてもじゃないが直視出来なかった。
すると突然、行き良いよく玄関の扉が開きそこから何かがこちらに飛び出してくる。
『うわっ?!』
咄嗟の出来事で避け切れず、そのまま押し倒される形で尻もちを着いてしまう。
『いっ..』
「アイツ..本気で投げ飛ばしやがってぇ..!」
ゆっくりと目を開け状況を理解しようとすれば、目の前には言葉に言い表せないほど美しい顔があった。
ルビー見たいな赤い目に、長いまつ毛と綺麗な黒髪を後ろで結んで居る。
『綺麗..』
自然と出た一言に、これがこちらに気づいたのか少し驚いた表情を浮かべた後、立ち上がり私を見下す。
「お前トロイな、さっさと立てよそこに居ると邪魔だろ」
『なっ!貴方が突然吹っ飛んできたんでしょ?!』
私は咄嗟に立ち上がり、声を荒らげる。
それをうるさいと言わんばかりに耳を塞ぐ仕草を撮る彼に、予定に腹が立つ。
「そもそも俺悪くねぇし!あいつが俺の事ぶっ飛ばさなかったらこんな事なってなかったつの!」
そう言って玄関の方を指さすと、そこには凛とした様子で短い赤毛が立っていた。
「いや、お前が僕の前にいて邪魔だったから投げ飛ばしただけだ。」
無症状のまま淡々と言い放った彼に、詰め寄りメンチを切る黒髪の青年。
そこに今まで黙っていた風谷さんが、ゆっくりと近寄り両手を振り上げ、そのままの勢いで2人の頭にチョップをかました。
スコーン!っといい音が鳴った気がしたが、2人はその場でしゃがみこみ頭を抱え悶絶する。
「何すんだよ!金髪頭!!」
「なぜ僕まで..理解不能..」
「二人とも?いい加減にしてくださいね?喧嘩するのは良いですけど..あまりやり過ぎるようだったら..分かりますね?」
そう笑顔を向けた彼だったが、そこから隠しきれない圧を感じる。
優しい人ほど怒らせては行けないとよく言ったものだけど..確かにその通りだなと実感した。
「はぁ..全く..新しい人が来たって言うのに..」
そうため息を着く彼は、私の方を振り返った。
「先程はお見苦しいところをお見せしましたね。改めてこの2人はここの住人で、黒髪の方は黒闇 千理そっちの赤髪の方は、火轟 憐火と言います。2人共、この方が今日ここに入居する七瀬 夏菜さんですよ」
そう紹介され、ハッとなり勢いよくお辞儀する。
『よ、よろしくお願いします!』
「んっ。てかなんで一緒に来てるんだよ」
「中々来ないので様子を確認しに行ったら、迷子になってた見たいで」
「あっそ、てっきり恋人でも作ってきたと思った」
そう言った彼に、再び手を上げる。
慌てて頭を抑え、ガードする様に後ろに下がる。
「さて、とりあえず部屋に案内しますね。ここまで来るのに大変だったでしょうし少しゆっくりしてください」
『あ、はい!ありがとうございます!』
「それと..」
それと同時に、私の周りを春風が桜の花びらを舞い上がらせていく。
「ようこそ。ラブ・クラ荘へ」
その言葉に、私の気持ちは高ぶっていた。
これから始まる新しい生活。
期待と不安が入り交じりながらも、これからここで起きる日常にワクワクが止まらなかった。
そう、この時の私は知らなかったんです。
まさか..そんな日常が..
非日常に変わるなんて..
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