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ミーナとの出会いは僕が17歳。ミシアの諜報部隊として働いていたジーナさんが、力を貸して欲しいと懇願して来て出向いたザレス国の実験施設だった。
僕はブルームン王国の次期国王として、他の国との交流を深めている最中だった。
法力も、自分で言うのもあれだけど、当時の国王よりも高く、治癒魔法や聖なる力を使う能力にも長けていた。後々国王となる僕だから、力を示して、この辺でミシアに恩を売っておくのもありかな?と、軽い気持ちで引き受けた。
(後にミシアは関係なく、ジーナさんの独断だったと知って、脱力したことは今でも昨日のように思い出す)
ザレスの国王軍の中でも、四天王と呼ばれる第一部隊から第四部隊を相手に、だった4人で立ち向かうことになった。
正直、イーターとの戦いは子供の僕には荷が重かった。例えエレンさんの生い立ちが悲惨でも、ガイア君の命に変えてもエレンを助けたいとう思いに心を打たれたとしても、今なら確実に断っていただろう。
その実験施設で、エレンさんの異種族との受胎実験の指揮を取っていたのがミーナだった。
ミーナは妹を人質に取られて、エレンさんに罪悪感を抱えながらもイーターの言いなりになるしかなかった。
…そうガイア君からは聞いていた。だからミーナは内通者として、ガイア君の為にエレンさんを逃した。大勢のイーターを前に、たった1人で…。
僕達が着いた時には、ミーナは聖力も切れていた。それでも、エレンを必死に逃そうと戦っていた。
ミーナは華奢な体つきなのに、エレンを守る為に、たった1人で戦っていた。天使族の混血だとは聞いていたのに、凶暴なイーターに立ち向かうその勇気も、美しく妖艶なその姿もひと目で僕を魅了した。
今でも僕はミーナのおかげで、エレンさんは無事奪還出来たと思っている。
(オスカは強かったし、ガイア君が覚醒したからというのは、無かった事にしておく)
僕達が2人と合流した頃には、ミーナは傷だらけで…罪の意識からか、このまま残って死ぬことを懇願した。
エレンさんと、ガイア君に謝りながら静かに泣いてた。そんな優しいミーナを絶対に死なせないと、背負って走った。
(途中、ジーナさんに何度も変わろうか?と声をかけられたけど…意地でやり遂げた)
僕が用意していた逃走用のヘリについたときには、ミーナは意識を失っていた。死なせたくなくて、僕の残りの法力を全部使って最上級の治癒魔法を放った。
法力も僅かだったし、助けられるか不安だったけど、何とか一命は取り留める事はできた。
ミーナはしばらく昏睡状態だった。いつ意識が戻ってもいいように、僕は付きっきりで看病した。
意識が戻ったミーナは、エレンの無事を確認しただけで、誰とも話しはしなかった。食事も取らず、外を静かに眺めているだけで、日に日に弱って行っているように見えた。
なかなか回復しないミーナは、ブルームン国で捕虜として匿うことになった。
ブルームン国が危険を犯してまで、ミーナを匿った事には理由があった。
ザレス国のイーター軍の戦力は強大で、あらゆる国が侵略を受けて、国ごと滅ぼされたりしていたから。ブルームンはアンデットの嫌う天使族の国。
とはいえ、攻撃を受けない訳じゃない。天使族はそもそも戦いに向いていない、弱い種族だから。ザレス国の動きを把握や、軍の戦力など、色々と知りたかったんだろう。
だけど、そんなことどうでもよかった。僕はただ元気になって欲しくて、毎日病室へと足を運んだ。
初めは警戒していたミーナだったけど、少しずつ話しをしてくれるようになった。
話しの中で、妹はイーターに喰われたこと、自分がサキュバスとのハーフだという事を話してくれた。あと、25歳だと言うことも。
ミーナは僕が今まで出会った中で、1番綺麗な人だった。美しい銀色の髪にアメジスト色の瞳。白く陶器の様に艶やかな肌と、妖艶な体つき。その全てが僕を魅了した。
そんなミーナが僕にだけ心を開いてくれてる…。そのことが嬉しくて、学校が終わると消灯の時間までミーナの病室に入り浸った。
ミーナは「暗くなる前に帰って?」と言うけれど、僕が病室を出ようとすると、寂しそうに手を振るから、また帰れなくなった。
表情に乏しかったミーナは、徐々に笑顔を取り戻した。僕の他愛の無い話しにクスっと笑う事もあった。白く透き通るような肌を赤く染め、屈託なく笑った顔もすごく綺麗だった。
このまま、この時間が続けばいいのに。毎日そう思いながら病室に顔を出す、そんな日々が続いた。
ある日…僕は国王から叱られた。僕には『純血の天使族』の婚約者がいたから…。20歳になったら、その人と結婚してこの国を守るように、小さな頃から言われていた。
僕の使命はブルームン国の繁栄。そこに僕の感情なんて要らない。自分の立場は解ってるつもりだった。
だけど僕はミーナと出会ってしまった。国王に何か言われても、ミーナがいない人生なんて考えられなかった。全てを投げ出してもそばにいたいと思った。国王の怒りは、更に増幅して行って、遂に僕をお城に閉じ込めた。
(まぁ守衛を買収して、何度もお城を抜け出したけど)
そんな日々は長くは続かなかった。いよいよミーナが退院することとなった。僕の気持ちに気付いていた国王は、ミーナの退院先を僕に知らせないよう仕向けた。ミーナの行き先は、国王に絶対忠誠している秘書しか知らなかった。ミーナですら、自分がどこに行くのかわからない状態だった。
ミーナは自分の立場も僕の立場も理解していた。退院の日に病室へ入ると、いつもの院内着とは違う…白いブラウスと黒色のフレアスカートを身に纏ったミーナが退院の準備をしていた。
「いつもと雰囲気が違うね。顔色も良さそうで安心したよ」
部屋に入ってきた僕に気づいたミーナは、荷物をまとめる手を止めてありがとうと微笑んだ。
「会うのは今日が最後だから…」と言うと、僕に記録媒体を渡して来た。戸惑う僕を見ないように、「飲み物を買って来る」と言うと隣をすり抜けて扉の前で立ち止まった。
「それに私が行ってきた実験を全て記載してあるから、ザレス国軍の情報もまとめてある。…色々と…助けてくれて、ありがとう」
背中を向けたまま僕を振り返らずにミーナは言った。その声は震えていて辛そうで…
病室を出ようとするミーナの腕を力任せに引いて抱きしめた。「最後だなんて嫌だ」と言ったかな?
少し間をあけてからミーナは静かに呟いた。
「歳の離れた弟が出来たみたいで楽しかった」
僕の気持ちに気づいていたくせに。そう言って悲しそうに微笑んだ。
「弟じゃない。僕はミーナが好きだ」
そう言うとミーナにキスをした。まだ子供の僕は触れるくらいの軽いやつだったけど…。
それでもすごく勇気を出したし、離れたく無かった。
「私も姉として、大好きよ」
その行為に驚くでもなく冷静に言ったけれど…。言葉とは裏腹にミーナの瞳から一筋の涙が流れていることに気が付いた。
「…ミーナは嘘を付くのが下手だね…」
「嘘じゃ…無い」
「じゃあ、何で泣いてるの?」
頬を伝う涙を唇で拭うとミーナは頬を赤く染めた。
「…年が離れ過ぎているから」
「関係ないよ」
まだ何か言おうとしているミーナにもう一度キスをした。
イーターに家族を殺されて、孤独に過ごしてきた生い立ちも、エレンさんにしてきたことも…。そんなこと関係ない。
ただ離れたくなくて、ミーナを強く抱きしめた。ミーナが背中に手を回して応えてくれた。
「イリヤは…この国の王になる人だよ?」
「ミーナと会えないなら、国王になんてならなくていい」
「…その気持ちは、今だけだよ。私に同情してるだけ…」
「そうかもしれない…。それでも、今はミーナがいない人生なんて、考えられない」
もう何も言わせない。ミーナの手首を掴むと、そのまま2人でもつれ込むようにベッドに倒れ込んだ。
僕はブルームン王国の次期国王として、他の国との交流を深めている最中だった。
法力も、自分で言うのもあれだけど、当時の国王よりも高く、治癒魔法や聖なる力を使う能力にも長けていた。後々国王となる僕だから、力を示して、この辺でミシアに恩を売っておくのもありかな?と、軽い気持ちで引き受けた。
(後にミシアは関係なく、ジーナさんの独断だったと知って、脱力したことは今でも昨日のように思い出す)
ザレスの国王軍の中でも、四天王と呼ばれる第一部隊から第四部隊を相手に、だった4人で立ち向かうことになった。
正直、イーターとの戦いは子供の僕には荷が重かった。例えエレンさんの生い立ちが悲惨でも、ガイア君の命に変えてもエレンを助けたいとう思いに心を打たれたとしても、今なら確実に断っていただろう。
その実験施設で、エレンさんの異種族との受胎実験の指揮を取っていたのがミーナだった。
ミーナは妹を人質に取られて、エレンさんに罪悪感を抱えながらもイーターの言いなりになるしかなかった。
…そうガイア君からは聞いていた。だからミーナは内通者として、ガイア君の為にエレンさんを逃した。大勢のイーターを前に、たった1人で…。
僕達が着いた時には、ミーナは聖力も切れていた。それでも、エレンを必死に逃そうと戦っていた。
ミーナは華奢な体つきなのに、エレンを守る為に、たった1人で戦っていた。天使族の混血だとは聞いていたのに、凶暴なイーターに立ち向かうその勇気も、美しく妖艶なその姿もひと目で僕を魅了した。
今でも僕はミーナのおかげで、エレンさんは無事奪還出来たと思っている。
(オスカは強かったし、ガイア君が覚醒したからというのは、無かった事にしておく)
僕達が2人と合流した頃には、ミーナは傷だらけで…罪の意識からか、このまま残って死ぬことを懇願した。
エレンさんと、ガイア君に謝りながら静かに泣いてた。そんな優しいミーナを絶対に死なせないと、背負って走った。
(途中、ジーナさんに何度も変わろうか?と声をかけられたけど…意地でやり遂げた)
僕が用意していた逃走用のヘリについたときには、ミーナは意識を失っていた。死なせたくなくて、僕の残りの法力を全部使って最上級の治癒魔法を放った。
法力も僅かだったし、助けられるか不安だったけど、何とか一命は取り留める事はできた。
ミーナはしばらく昏睡状態だった。いつ意識が戻ってもいいように、僕は付きっきりで看病した。
意識が戻ったミーナは、エレンの無事を確認しただけで、誰とも話しはしなかった。食事も取らず、外を静かに眺めているだけで、日に日に弱って行っているように見えた。
なかなか回復しないミーナは、ブルームン国で捕虜として匿うことになった。
ブルームン国が危険を犯してまで、ミーナを匿った事には理由があった。
ザレス国のイーター軍の戦力は強大で、あらゆる国が侵略を受けて、国ごと滅ぼされたりしていたから。ブルームンはアンデットの嫌う天使族の国。
とはいえ、攻撃を受けない訳じゃない。天使族はそもそも戦いに向いていない、弱い種族だから。ザレス国の動きを把握や、軍の戦力など、色々と知りたかったんだろう。
だけど、そんなことどうでもよかった。僕はただ元気になって欲しくて、毎日病室へと足を運んだ。
初めは警戒していたミーナだったけど、少しずつ話しをしてくれるようになった。
話しの中で、妹はイーターに喰われたこと、自分がサキュバスとのハーフだという事を話してくれた。あと、25歳だと言うことも。
ミーナは僕が今まで出会った中で、1番綺麗な人だった。美しい銀色の髪にアメジスト色の瞳。白く陶器の様に艶やかな肌と、妖艶な体つき。その全てが僕を魅了した。
そんなミーナが僕にだけ心を開いてくれてる…。そのことが嬉しくて、学校が終わると消灯の時間までミーナの病室に入り浸った。
ミーナは「暗くなる前に帰って?」と言うけれど、僕が病室を出ようとすると、寂しそうに手を振るから、また帰れなくなった。
表情に乏しかったミーナは、徐々に笑顔を取り戻した。僕の他愛の無い話しにクスっと笑う事もあった。白く透き通るような肌を赤く染め、屈託なく笑った顔もすごく綺麗だった。
このまま、この時間が続けばいいのに。毎日そう思いながら病室に顔を出す、そんな日々が続いた。
ある日…僕は国王から叱られた。僕には『純血の天使族』の婚約者がいたから…。20歳になったら、その人と結婚してこの国を守るように、小さな頃から言われていた。
僕の使命はブルームン国の繁栄。そこに僕の感情なんて要らない。自分の立場は解ってるつもりだった。
だけど僕はミーナと出会ってしまった。国王に何か言われても、ミーナがいない人生なんて考えられなかった。全てを投げ出してもそばにいたいと思った。国王の怒りは、更に増幅して行って、遂に僕をお城に閉じ込めた。
(まぁ守衛を買収して、何度もお城を抜け出したけど)
そんな日々は長くは続かなかった。いよいよミーナが退院することとなった。僕の気持ちに気付いていた国王は、ミーナの退院先を僕に知らせないよう仕向けた。ミーナの行き先は、国王に絶対忠誠している秘書しか知らなかった。ミーナですら、自分がどこに行くのかわからない状態だった。
ミーナは自分の立場も僕の立場も理解していた。退院の日に病室へ入ると、いつもの院内着とは違う…白いブラウスと黒色のフレアスカートを身に纏ったミーナが退院の準備をしていた。
「いつもと雰囲気が違うね。顔色も良さそうで安心したよ」
部屋に入ってきた僕に気づいたミーナは、荷物をまとめる手を止めてありがとうと微笑んだ。
「会うのは今日が最後だから…」と言うと、僕に記録媒体を渡して来た。戸惑う僕を見ないように、「飲み物を買って来る」と言うと隣をすり抜けて扉の前で立ち止まった。
「それに私が行ってきた実験を全て記載してあるから、ザレス国軍の情報もまとめてある。…色々と…助けてくれて、ありがとう」
背中を向けたまま僕を振り返らずにミーナは言った。その声は震えていて辛そうで…
病室を出ようとするミーナの腕を力任せに引いて抱きしめた。「最後だなんて嫌だ」と言ったかな?
少し間をあけてからミーナは静かに呟いた。
「歳の離れた弟が出来たみたいで楽しかった」
僕の気持ちに気づいていたくせに。そう言って悲しそうに微笑んだ。
「弟じゃない。僕はミーナが好きだ」
そう言うとミーナにキスをした。まだ子供の僕は触れるくらいの軽いやつだったけど…。
それでもすごく勇気を出したし、離れたく無かった。
「私も姉として、大好きよ」
その行為に驚くでもなく冷静に言ったけれど…。言葉とは裏腹にミーナの瞳から一筋の涙が流れていることに気が付いた。
「…ミーナは嘘を付くのが下手だね…」
「嘘じゃ…無い」
「じゃあ、何で泣いてるの?」
頬を伝う涙を唇で拭うとミーナは頬を赤く染めた。
「…年が離れ過ぎているから」
「関係ないよ」
まだ何か言おうとしているミーナにもう一度キスをした。
イーターに家族を殺されて、孤独に過ごしてきた生い立ちも、エレンさんにしてきたことも…。そんなこと関係ない。
ただ離れたくなくて、ミーナを強く抱きしめた。ミーナが背中に手を回して応えてくれた。
「イリヤは…この国の王になる人だよ?」
「ミーナと会えないなら、国王になんてならなくていい」
「…その気持ちは、今だけだよ。私に同情してるだけ…」
「そうかもしれない…。それでも、今はミーナがいない人生なんて、考えられない」
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