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日常への帰還
5.疲れた一日(テル)
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居残り訓練は意地で1回で終わらせた。
(疲れた……)
天使族のいない俺たちは、対象者に傷がついた時点で終わりになる。そうなったらもう一度やり直し。
(それだけは絶対に嫌だ)
明日はパーティーの準備があるし、明後日はシュウの誕生日と即位式を兼ねたパーティーがある。行事が満載だから、これ以上疲れたくは無い。
今までにないすごい集中力で、対象者に一切傷はつけさせなかった。レイと二人で他の六人と、モンスターから対象者を守りきった。
(ペアがレイ以外だったら無理だったけど)
レイはつくづくすごいと思う。高度な魔法の連弾に早撃ちをこなし、最近はコントロールも良くなっていて無駄がない。
「……テルのせいだからな…」
心の中で褒めてやっていたのに。まだ根に持っているらしい。更衣室へ行った後も、シャワーを浴びている最中も、ずっとぶつぶつ文句を言っている。
(いい加減にしつこい…)
「悪いと思ったから、俺の方が動いてた」
「それは当たり前だろ?偉そうに言うなよ」
「…………」
言い合いをしながら、食堂へと向かった。気付いたゼルが手を振って呼んでいる。
「あ、お二人とも!意外と早かったんですね?」
食堂には何故かゼルしかいなかった。女子達は?と、聞く前にゼルは気をきかせて飲み物買って来ると、席を立って行ってしまったし。
隣のテーブルにはBチームのファリスと、ギルバートが同じように、疲れた顔をして座っている。
いつもはうるさいファリスですら、無言で机に突っ伏している。
(まぁ、煩いから良かったけど…)
そしてレイは座った途端に机に突っ伏して動かなくなった。
(寝てるのか!?!?)
悪魔族は魔力回復の為に眠るというけれど、レイは眠るのが早すぎる。
ある意味特技だな。なんて思いながら自分も机に頬杖をついた。
ゼルが飲み物を持って戻って来た。ありがとうと受け取ったが、レイは一切起き上がらない。
「他のみんなは?」
「僕もよく分からないんですよ。シュウさんを呼びに更衣室に行ったんじゃないでしょうか?」
ゼルもどこへ行ったか知らないらしいけれど…。イリーナが来た後からいなくなったようだから、多分それで間違えない。
それならまだ戻ってこないだろう。女子の話しは長そうだし。
そんなことを考えていると、アスカがシュウの手を引いてすごい勢いで走ってきた。
「アスカさん?どうしたんですか?…慌てて…」
ゼルはアスカの為に椅子を引いたけれど、そこには目もくれず詰め寄ってきた。
「ねぇ、テル!!どう言うこと!?」
アスカの顔がニヤけている。多分ろくでもない事だろう。
「…何が?」
少し遅れて、みんなのカバンを抱えたユリアもやってきた。息を切らしながら、俺と目が合うと何故か慌てて逸らした。
(…何だよ態度悪いな…)
なんて思いながら、しれっと目を逸らして、ゼルから受け取ったジンジャーエールに口をつけた。
「シュウの胸が大きくなったの、テルのせいだって。ブラウス止まらなくて困ってた」
「ブッ…!」
口にした飲み物を盛大に噴いてしまった。ゲホゲホと咽せて咳込みながら、笑っているアスカを睨みつけた。
アスカが大声を出すから周りから注目を浴びてしまっている。
好奇の視線が突き刺さる中、ゼルが慌てて大丈夫ですか?とタオルを差し出してくれた。
(何の話しだ!?自制してるし、今のところプラトニックな関係保ってるんだけど!?と、いうか必死に我慢してるけど!?)
叫びたかったけど声が出ない。いや、叫べなくて本当に良かった。
後ろから真っ赤な顔をしたシュウが焦ってアスカの腕を掴んでいる。
「ちっ…違うの…!!大きくなったんじゃなくて太ったの!!」
シュウが焦って抗議している。確かにブラウスのボタンが留まってないし、谷間が露わになっている。無理に留めると弾けそう。
(じゃなくて、なんだそれ?)
「テル君…私が食べてるか心配して、おやつとかくれるから…。つい食べ過ぎて…もう2キロも増えたって話しで…」
大声で叫んでしまったシュウは、更に真っ赤な顔で顔を隠している。
(……なんだ。そっちか。確かにそれは俺のせいだな)
退院した後もずっと顔色良くなかったから。シュウは忙しくなると、食べることを後回しにして倒れるかと思って不安だった。
それで、必要以上の餌付けをしてたかもしれない。
(最近のシュウの行動は太ったからだったのか?…知られたく無かっただけ?)
だとしたら、またその行動が可愛いすぎて笑ってしまう。
「…分かったから…とりあえず、これ着て?」
上着をシュウに被せた。耳まで真っ赤になりながら笑う俺を見上げた。
「心配してくれているのは、嬉しかったんだよ?」
潤んだ瞳で髪を撫でながら、目が合うと、視線を逸らし固まってしまった。
(やっぱり動揺してる)
いつも通りの焦りっぷりに、笑ってしまいそうになったから。思わず手で顔を覆った。
「うん。悪いのはアスカだな」
「そうだよ…アスカ……何で太ったことバラしちゃうの……」
(いや、言ったのシュウ自身だけどな)
また、笑いそうになった。
「大丈夫だよ…!シュウは少しぐらい太っても綺麗だから!」
「ユリアの言う通り。それに、胸が大きくなっただけじゃん。バラされてもいいでしょう?」
「アスカ!!もう何も言わないで!」
涙目のシュウに対してアスカはごめんと謝りながらも、笑いながら流れた涙を拭ってる。
「あー、楽しかった。うん。シュウが元気そうで良かったよ」
「本当。さっきまで元気無かったからさ。心配してたんだよ?」
なんて、ユリアとアスカは満足そうに椅子に座って笑っている。
どうやら二人は最近のシュウを心配して、理由を探ってくれたようだ。
シュウも二人に大袈裟に頭を下げて、謝っているし。
「みんな…ごめんね?…大したことないことなのにね」
なんてポツリと呟いた。その表情はまだどこか切なくて、少しだけ不安になった。
「……二人の前に俺に謝れよ。テルとアスカお前らも」
さっきまで、机に突っ伏して寝ていたレイが怒って顔を上げた。さっき吹いたジンジャーエールを全て被ったらしく、髪が濡れている。
「…レイって、テンポ遅いよな?」
「ぶっかけといて、何言ってんだ?この場で殺してもいいんだけど?」
「レイ!テルがごめんね?髪拭くよ?それとも洗おうか?」
「…ユリアが洗うの?一緒にシャワー浴びる?ここまだ学校だけど…」
「アスカっ!?何言いだすの?」
ユリアが慌ててタオルでレイの濡れた髪を拭きながら、笑ってるアスカと言い合いになってる。
レイはユリアが髪を拭くと満足そうに大人しくなった。
(ユリアは猛獣使いだな…)
ひとまず落ち着いたし、シュウの悩みも分かったから良かったけれど…。本当に疲れた一日だった。
(疲れた……)
天使族のいない俺たちは、対象者に傷がついた時点で終わりになる。そうなったらもう一度やり直し。
(それだけは絶対に嫌だ)
明日はパーティーの準備があるし、明後日はシュウの誕生日と即位式を兼ねたパーティーがある。行事が満載だから、これ以上疲れたくは無い。
今までにないすごい集中力で、対象者に一切傷はつけさせなかった。レイと二人で他の六人と、モンスターから対象者を守りきった。
(ペアがレイ以外だったら無理だったけど)
レイはつくづくすごいと思う。高度な魔法の連弾に早撃ちをこなし、最近はコントロールも良くなっていて無駄がない。
「……テルのせいだからな…」
心の中で褒めてやっていたのに。まだ根に持っているらしい。更衣室へ行った後も、シャワーを浴びている最中も、ずっとぶつぶつ文句を言っている。
(いい加減にしつこい…)
「悪いと思ったから、俺の方が動いてた」
「それは当たり前だろ?偉そうに言うなよ」
「…………」
言い合いをしながら、食堂へと向かった。気付いたゼルが手を振って呼んでいる。
「あ、お二人とも!意外と早かったんですね?」
食堂には何故かゼルしかいなかった。女子達は?と、聞く前にゼルは気をきかせて飲み物買って来ると、席を立って行ってしまったし。
隣のテーブルにはBチームのファリスと、ギルバートが同じように、疲れた顔をして座っている。
いつもはうるさいファリスですら、無言で机に突っ伏している。
(まぁ、煩いから良かったけど…)
そしてレイは座った途端に机に突っ伏して動かなくなった。
(寝てるのか!?!?)
悪魔族は魔力回復の為に眠るというけれど、レイは眠るのが早すぎる。
ある意味特技だな。なんて思いながら自分も机に頬杖をついた。
ゼルが飲み物を持って戻って来た。ありがとうと受け取ったが、レイは一切起き上がらない。
「他のみんなは?」
「僕もよく分からないんですよ。シュウさんを呼びに更衣室に行ったんじゃないでしょうか?」
ゼルもどこへ行ったか知らないらしいけれど…。イリーナが来た後からいなくなったようだから、多分それで間違えない。
それならまだ戻ってこないだろう。女子の話しは長そうだし。
そんなことを考えていると、アスカがシュウの手を引いてすごい勢いで走ってきた。
「アスカさん?どうしたんですか?…慌てて…」
ゼルはアスカの為に椅子を引いたけれど、そこには目もくれず詰め寄ってきた。
「ねぇ、テル!!どう言うこと!?」
アスカの顔がニヤけている。多分ろくでもない事だろう。
「…何が?」
少し遅れて、みんなのカバンを抱えたユリアもやってきた。息を切らしながら、俺と目が合うと何故か慌てて逸らした。
(…何だよ態度悪いな…)
なんて思いながら、しれっと目を逸らして、ゼルから受け取ったジンジャーエールに口をつけた。
「シュウの胸が大きくなったの、テルのせいだって。ブラウス止まらなくて困ってた」
「ブッ…!」
口にした飲み物を盛大に噴いてしまった。ゲホゲホと咽せて咳込みながら、笑っているアスカを睨みつけた。
アスカが大声を出すから周りから注目を浴びてしまっている。
好奇の視線が突き刺さる中、ゼルが慌てて大丈夫ですか?とタオルを差し出してくれた。
(何の話しだ!?自制してるし、今のところプラトニックな関係保ってるんだけど!?と、いうか必死に我慢してるけど!?)
叫びたかったけど声が出ない。いや、叫べなくて本当に良かった。
後ろから真っ赤な顔をしたシュウが焦ってアスカの腕を掴んでいる。
「ちっ…違うの…!!大きくなったんじゃなくて太ったの!!」
シュウが焦って抗議している。確かにブラウスのボタンが留まってないし、谷間が露わになっている。無理に留めると弾けそう。
(じゃなくて、なんだそれ?)
「テル君…私が食べてるか心配して、おやつとかくれるから…。つい食べ過ぎて…もう2キロも増えたって話しで…」
大声で叫んでしまったシュウは、更に真っ赤な顔で顔を隠している。
(……なんだ。そっちか。確かにそれは俺のせいだな)
退院した後もずっと顔色良くなかったから。シュウは忙しくなると、食べることを後回しにして倒れるかと思って不安だった。
それで、必要以上の餌付けをしてたかもしれない。
(最近のシュウの行動は太ったからだったのか?…知られたく無かっただけ?)
だとしたら、またその行動が可愛いすぎて笑ってしまう。
「…分かったから…とりあえず、これ着て?」
上着をシュウに被せた。耳まで真っ赤になりながら笑う俺を見上げた。
「心配してくれているのは、嬉しかったんだよ?」
潤んだ瞳で髪を撫でながら、目が合うと、視線を逸らし固まってしまった。
(やっぱり動揺してる)
いつも通りの焦りっぷりに、笑ってしまいそうになったから。思わず手で顔を覆った。
「うん。悪いのはアスカだな」
「そうだよ…アスカ……何で太ったことバラしちゃうの……」
(いや、言ったのシュウ自身だけどな)
また、笑いそうになった。
「大丈夫だよ…!シュウは少しぐらい太っても綺麗だから!」
「ユリアの言う通り。それに、胸が大きくなっただけじゃん。バラされてもいいでしょう?」
「アスカ!!もう何も言わないで!」
涙目のシュウに対してアスカはごめんと謝りながらも、笑いながら流れた涙を拭ってる。
「あー、楽しかった。うん。シュウが元気そうで良かったよ」
「本当。さっきまで元気無かったからさ。心配してたんだよ?」
なんて、ユリアとアスカは満足そうに椅子に座って笑っている。
どうやら二人は最近のシュウを心配して、理由を探ってくれたようだ。
シュウも二人に大袈裟に頭を下げて、謝っているし。
「みんな…ごめんね?…大したことないことなのにね」
なんてポツリと呟いた。その表情はまだどこか切なくて、少しだけ不安になった。
「……二人の前に俺に謝れよ。テルとアスカお前らも」
さっきまで、机に突っ伏して寝ていたレイが怒って顔を上げた。さっき吹いたジンジャーエールを全て被ったらしく、髪が濡れている。
「…レイって、テンポ遅いよな?」
「ぶっかけといて、何言ってんだ?この場で殺してもいいんだけど?」
「レイ!テルがごめんね?髪拭くよ?それとも洗おうか?」
「…ユリアが洗うの?一緒にシャワー浴びる?ここまだ学校だけど…」
「アスカっ!?何言いだすの?」
ユリアが慌ててタオルでレイの濡れた髪を拭きながら、笑ってるアスカと言い合いになってる。
レイはユリアが髪を拭くと満足そうに大人しくなった。
(ユリアは猛獣使いだな…)
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むしろ、彼女の幼馴染である工藤太郎は様々な部活の助っ人として活躍し、中学生でありながら様々な競技のプロ団体からスカウトが来るほどであった。更に、学力面においても優秀であり国内のみならず海外への進学も不可能ではないと言われるほどであった。
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