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第二章
取引
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今日は朝からついていなかった。
今朝、薬局に入るなり薬局長にとっつかまり、頭ごなしにガミガミいわれた。
どうやら病棟から入院患者の薬が違うと連絡があったようだが、匠には思い当たる節がない。
「患者が気が付く前に、看護師が気が付いたから事なきを得たけど!二年目だからって気が緩んでいるんじゃないか?!」
「すみませんが、処方箋の確認を……」
させてください、と言いたかったのだが頭に青筋を立ててぎゃんぎゃん吠えたてる薬局長に心のどこかが諦める。
……諦める癖がついた。
仕事開始時間になり、他の薬剤師達も薬局に集まり始める。
また、うかつ君?
そんな空気が窓を開けているのにどよんと漂う。副薬局長がわざと明るい声で始業開始時間ですと声を張り上げる。
その声を聞き、薬局長はまだ何か言いたそうな顔をしたが、軽く咳払いし俺を見上げた。
「今日はもういい!自分の仕事は命に係わる!それをもう一度よく考えなさい!」
何一つ納得はしてないしできなかったが。
「すみませんでした」
こう言うしかなかった。
◇
「で、ここに飛ばされたのか」
薬局長から叱り飛ばされた後、副薬局長が匠に地下の注射薬剤室に行くように言ったのだ。
「はぁ」
「……相変わらず、辛気臭いな」
しかめっ面で匠をじろっと睨むのはこの注射薬剤室の管理薬剤師で室長さんだ。けっこういい歳のおばさまだが、なぜか男言葉を使う。
……相変わらず。
「俺、そんなに暗いっすか……」
はああ、とまた深いため息がでてしまい室長に嫌な顔をされた。
「もとはいいのに、なんでそこまで暗いかね」
「もとが暗いんすかね……」
あの隣の猿の口からぺろんとぶらさがってのたうっていたモノ。
陰気と言ったか。
べしんと横から250mlの輸液が飛んできた。相変わらずここの室長は凶暴だ。
「窓がないんだ!辛気臭いのをばらまくな!仕事しろ馬鹿!」
うーむ。今日はどこに行っても叱られる日らしい。
注射薬処方通りに輸液、薬剤を集めてはカゴに乗せ、病棟ごとに専用エレベーターで上 げる。
輸液は500mlもあり結構な力仕事だ。
「最近もあそこに行っているのか?」
輸液パックを数えていたら急に声がかかりなんでしょうと振り返った。室長はカチカチと音を立てて薬剤を数えている。
「手、止めるな。あそこだよ。お前が猫に餌やっていたとこ」
「……もうそんなことしてません」
「当たり前だ。馬鹿」
うーむ、何言っても末尾に馬鹿が付く。
匠は一年ほど前のことを思い出した。無事に国家試験に受かりこの病院に勤務し始めたとき、匠は昼飯を食べられる場所を探してあのフェンスの木陰を見つけた。
だがそこに先客、子猫がいたのだ。
彼女に振られた痛手もでかかった。そして、自分の体、特に男の部分がおかしくなってないか?と気が付き始めていて心がヒリヒリしていた。そんな心が弱っていた時に子猫。かわいいこげ茶の猫だった。
子猫がいたら触りたくなるじゃないか。
しかもその子猫が人懐っこいとなれば餌をあげたくなるじゃないか。
一緒に昼飯を食べていた時に、なぜかこの室長に見つかり大目玉をくらった。
『自分がどこに勤めているのか自覚はあるのか?!病院だぞ?アレルギー持ちもいる!猫を触った、しかも野良を触った手で調剤すんのかっ?!この馬鹿っ!』
猫はびっくりして逃げたが、匠は逃げるわけにもいかずガツンと叱られた。
でも、室長の言っていることはごもっともだったので、あの時は素直に『すみませんでした』と言えたのだが。
「なんだ」
考え込んでいるのに気が付かれた。手、止めるなと再度言われ、手を動かしながら室長に今朝、薬局長に叱り飛ばされたことを話した。
「あんの、くそったれ」
薬局長のことを「くそったれ」と言えるのはここの室長ぐらいだ。噂によれば、あの薬局長とこの室長は犬猿の仲らしい。
まあ、薬局長はおしとやかな女の子が好みだから、この室長は嫌いなタイプだろう。
あんたを長と呼ぶくらいなら地下に潜るわ!
そう啖呵を切って地下の注射薬剤室の主になったとも聞いている。
本当かどうかはわからないが。
匠はありえなくはないと思っている。
「スケジュール表見てみな」
「ん?」
エレベータのわきに貼られた紙を見る。勤務している薬剤師のスケジュールが細かく書いてある。匠も持っているが、自分のことだけで他の薬剤師のことなど気にしたことがない。
「珍しいことに、薬局長の名前が変なとこにあるだろう。今日だ」
けけっと肩で笑う室長にどこだと指で探し、目が丸くなった。
「注射薬剤室?……ここっすか?」
ん?どういうことだ?というか、なんで薬局長がここに来るようになっているんだ?薬局長が注射薬剤室に来るなどありえない。薬局の人間なら暗黙の了解事項だ。
「新しいヘルプを雇ったんだろ?それが作ったんじゃないか?知らなかったんだろう」
「ああ……。薬局長のお知り合いの……」
髪の毛を緩くふわふわに巻いたきゃぴと聞こえそうな女の子……。
「……はああ」
副薬局長が『もう、今日は午前中地下に行っときな』と小声で言ったのも、匠を思いやったのではなく、薬局長が地下に行きたくないのを見越したからだろう。
「だから、ため息つくなって言ってんだろうが!」
「うっわ?!それ、投げないでください!500すよ?!」
当たれば痛いし、パックも破損する。
「……っとに」
室長は思いっきり顔をしかめるとちらりと壁にかかった時計を見上げた。昼まであと少しだ。
「お前、ちょっと外の空気吸ってこい。こっちはもういいから」
「あ、いや。まだ……」
「辛気臭い奴がいると、こっちまで暗くなんだよ。いいから、あがれ。命令」
出た。命令。これが出たら最終通告だ。
「……お疲れさまでした」
「ん」
ぺこりと頭を下げ、ほんと俺だめだな……とうなだれてドアを開けようとしたら、出て行けといった室長から声がかかった。
「何階の入院患者だって?」
「はい?」
意味が分からず聞き返した匠に処方箋を数えながら室長が繰り返す。
「今朝の調剤過誤」
「ああ……三階だそうです」
「ん、わかった」
室長はそれだけ言うと、もういいと手をぴらぴらさせた。犬猫じゃないんだけどさ。
匠はぺこりと頭を下げて廊下に出て、もう一度大きくため息を吐いた。
◇
建物のかげからあたりをうかがう。まだ昼休み時間までは時間があるはずだ。
あれ以来近づけなかった。近づかなかった場所だ。憩いの場所だったのに。
人がいないのを確かめて、やれやれとフェンスに近づきカシャンともたれる。木陰が濃くなっていることに気が付き、久しぶりに空を見た。
空を見たのもいつ以来だろう。
当たり前に空は青いが、なんだか気分が晴れない。
二年目だからって気が緩んでる。ここはいいから注射薬剤室に行きなさい。
事務のポカまでかぶったんだな……俺。
そしてまた『うかつ』と呼ばれるのか。
「はあああああああああ」
「盛大なため息だな」
あきれたような声が本当に背中でし、飛び上がるよりも先にぐいいいっ!と背中から何かを鷲掴みにされた。
「ぐ、げっ?!」
一瞬のどが絞まりぐえっとなるが、服を引っ張られたわけではない?
はっ?と思って振り返ると猿もびっくりした顔で手にしたものをぶら下げていた。
黒のでろんとした湿気た焼き海苔。
陰気か?!
だがしかし、でかいなっ?!
匠の背中と同じぐらいの広さだ。猿も驚いているというよりは感心している。
「大物だな」
「え?なにそれ、俺についてた?」
ぎょっとして背中をぱたぱたと叩く。いや、あんなのついてて気が付かねえっておかしいって。
おそらくさっき鷲掴みにされた感覚がひっぺがえした時のものだったのだろう。
はっとした。
「食うなよっ?!」
絶対あんなもん体にいいわけがない!だが、猿は片手にぶら下げたその海苔もどきをぐいっと匠に突き付けた。
「これはお前を覚えている。手を放せば戻るぜ?」
「げ」
そんなものなのか?海苔もどき、いや陰気とやらはどうみても自分の意志などがあるようにはみえない。ただ、猿にぶら下げられているだけにみえる。
食べられるのもいやだが、戻されるのもいやだ。絶対に体によくない!
「どうにかできないのか?」
「喰っちまえば腹の中で消化できる」
ん?
「消化?消化って、消化できんのか?」
不思議なことを聞いた気がして、真面目に問い直してしまう。胃の中で胃酸で消化するのだろうか。
猿がん?と軽く顔をしかめ、何か間違えたな?俺という顔をした。
「……違う。浄化だ」
「じょうかってなんだ」
「綺麗にしちまうということだ」
猿は片手にぶら下げていた陰気をぴらぴらと軽く振り、少し口の端をあげて笑った。
「生まれてこのかた、ついてないことの方が多かったろ?」
歯に衣を着せずに言い切られ、匠がぐっと顎を引く。
そんなことまでわかるのだろうか。あの陰気から。
「ここで猫に餌をやって、おばさんに怒鳴られたり」
「ん?」
「すっげえ大声で当たり散らされたり」
「?」
なぜそれを知っている。猫に関して言えば、昨年のことだぞ?
「あそこから見えてた」
猿がひょいと木の上に見える校舎を指さした。校舎の四階か?ここから見えるということは、あちらからも見えるのだろうか。
「まだ寒かったころだから、この木も裸だったしな」
なるほど。目隠しもなかったわけな。
だが……当たり散らされは?
「今朝、大声で怒鳴られていただろ」
「なんで……」
「窓が開いてたんだろ。ちょうどあそこの下駄箱のとこだ」
また、指をさされて視線をやる。なるほど、隣が薬局か……。
丸聞こえだったわけな。
「はああああああああ……」
「でかいな」
吐こうとも思っていなかったため息が再び出て、猿が顔をしかめた。
思い出してもため息しか出ねえよ。あの薬局長め。だけど、なぜか怒鳴られていたことを正当化しようとする変な大人の意地が出た。
「俺のポカだ。ミスったんだと」
言い訳がましいかとも思ったが、猿はしばらく考えて匠をちらりと見上げた。
「俺にはそうは聞こえなかった。自分の鬱憤をあんたにぶつけて晴らしているようにみえた」
「……」
自分が思っていたことを静かに口に出され思わず猿の顔を見てしまう。猿は手にした陰気をどうしたものかと畳んだり広げたりしている。
動いていないよな?本当にくしゃりと湿気た焼き海苔のようだ。
「なぜ、俺だと分かった?この間、初めて会ったよな?」
「俺は一度喰った気の人間は追えるからだ。……だから、今日もすぐ来たろ」
そういえば、背後を取られた。足音すら気が付かなかったぞ。
「……猫のおばさんはまだよかった。でも、あのおっさんは駄目だ。人に当たり散らして……陰気をまき散らして楽しんでる。いたぶってる。声だけでわかる」
「なるほど……」
で、俺がその陰気をかぶるのか。薬局長のお気に入りの事務の子のミスと一緒に。
「体、軽いだろ」
急に言われ、ん?となった。
言われて初めて気が付いた。いつもガチガチの背中のはりがない……。取れてる?
「え?嘘。なんで?」
猿が折りたたんだ陰気をぺんぺんと叩きながらくふと笑った。
「この間はあんたが落としていったのを喰ったが、今日はひっぺはがしたからな」
「何?俺の体調まで、それおかしくすんの?」
ぎょっとする。なんだそれ?だが、猿は別に驚くことでもないと言葉を続ける。
「体調だけじゃない。運がいい、悪い。ついている、ついてない。そういうの全部だ」
猿がフェンス越しに匠を見て、綺麗な顔でニヤリと笑った。
そして、手にしていた陰気を空に投げた。
折りたたまれていた陰気がふわと広がり、そしてフェンスに当たる前に消えたように匠には見えた。
「……っく?!」
左肩がズンと重くなった。思わず肩を手で押さえる。なんだこれ?
「え……戻った?」
「言ったろ?覚えてるって」
「いや、言ったけどもさ?!え、まじで?!」
猿が嬉しそうにガシャガシャとフェンスをよじ登って下りてくる。
匠の前に立ち、かわいらしく首を傾げ笑って見せた。
……自分の顔が良いと分かってやがるな?こいつ。いや、こんなときだけど、本当にかわいいなっ!今は悪魔に見えるが!猿のくせに!
「見えなくても、感じるだろう?わかるだろう?ここに陰気がはりついてる。戻れて大喜びしているぜ?よっぽどあんたのこと気に入っているんだな」
「じょ、冗談じゃないぞ?!」
猿が匠の前に立ち、ついと手を上げ匠の左肩を指で押さえた。押された場所がとにかく痛重い!ピンポイントに押され、やはりこの猿には見えているのかと変な汗が出始める。
「ど……どうにかできないのか?」
匠の言葉を待っていたかのように、猿は男にしては綺麗な赤い唇を笑みの形にした。
つまり、笑った。本物の悪魔の笑みのように。
「取引をしないか?」
「と、取引?」
思わず聞き返してしまう。猿は肩にあてた指をくりくりと回しだした。
「俺は修行でこれを食べないといけない」
「修行?」
また、けったいな単語が出てきたぞ?
修行で陰気を喰うって、なんだそれ?
「本当は喰わなくてすむなら、そうしたいんだけど。今んとこ、それができないから喰うしかないんだよ」
「あの苦いもんをか?!」
普通にびっくりした。あのしぶいんだか、にがいんだか、いがいがするんだかとにかく頭をかきむしるほどのものをか?!
猿もそうだろう?とにんまり笑う。
「なあ?あんな苦いものがここから体ン中にしみこんだら、良い事なんて全く起こらなさそうだろう?」
「いや、起こらないんだろ?!」
「うん」
にこぱ。全く邪気などありませんという顔で、言っていることは悪魔のそれだがな!このガキ!
猿がすいっと匠に一歩近づいた。匠が一歩下がる。
逃げる匠に綺麗な笑みをはっつけたまま猿が追う。
「近いっ!」
「悪い取引じゃない」
猿がささやくように匠に話しかける。
「俺ならお前のこれをひっぺはがしてやれる。これからもお前がどっかではっつけてきのものだ。俺がひっぺはがして喰ってやる。俺も探して回らなくていいしな」
「何を……だ」
「陰気だ」
猿がくっと爪先に力を込めた。肩がずきずきし始め、匠の額に冷や汗が浮かぶ。
あのぐったりした陰気は確かに匠に向かってきたように見えた。途中で消えたが。だが、消えた途端、匠の肩が痛くなったのも事実だ。
本当に、あれが肩から身に……体内に入ってくるのかと思うと。
怖い。
匠の喉がごきゅと変な音を立てた。
黙ってしまった匠に猿が表情も変えずに手を動かした。
人差し指と親指で何かをつまむようにして、ついと引っ張った。
「……う」
猿の指先にまたあの黒い海苔……陰気が現れる。出てくるだろうと予測はしていたが、気持ち悪いし、怖い!
「陰気がとれりゃ今迄みたいに不条理なことも、人より不運なことも起こらなくなる。人並ぐらいにはなれる」
……人よりついていない。人のミスまで押っ付けられる。『うかつ君』と陰口をたたかれる。
そんなことが脳裏を横切る。
「……で?」
でも、絶対に裏がある!悪魔の取引に裏がないわけがない!
「で?!なんかあんだろ!条件が!」
「察しがいいな」
嬉しそうな声をあげた猿はぴとりと匠の肩に顔を寄せた。
「近いっ!」
「俺がお前の陰気を喰ってやる。その代わり、キスさせろ」
「……」
何を言った?この猿?
ぽかんとした匠にはりついたまま、猿が今度は口を尖らせた。
「修行で仕方がないんだけどさ、やっぱ苦いんだよ陰気。それに今日のでかいよな?大物だと俺も思う」
こんの……クソガキ!
「修行なら黙って喰えよ!」
「修行だっつっても限度があんだろうよ!なー!いいじゃん!減るもんじゃなし!キスの一つや二つ!」
「ぜってえに嫌に決まってんだろ!減る、減らないじゃないだろうが!なんで知らねえ野郎とキスなんぞせなならんのじゃ!」
だいたい!
「お前、高校生だろうが!俺が犯罪者になるっーの!」
「黙っていればわからない」
えへと笑われ、殺意さえ湧きそうになる。
「こんの……!」
いい加減に離れろ!とまだ子供らしさが残る体を押しやれば、けち!けち!と逆にしがみつかれた。
「いいじゃん!あんた、キスうまいじゃん!俺、忘れらんなくてさー。すっげぇ気持ちよかったんだよー」
なんか言ったか?!このマセガキ!
「ざっけんな!こちとらあんなキスされたのも、したのも初めてだったわ!キスがうまいわけがないだろうが!」
「……え?」
きょとんと猿が目を丸くした。信じられないことを言ったぞ?という顔で匠を見上げる。
「……なんだよ」
「……」
しばらく無言ののち、いきなり猿が匠の肩にむさぼりついた。がぶっとシャツ越しに肩を噛まれた気がし、悲鳴を上げそうになるが、続いた感覚に背中に寒気が走った。
「う……わああああああ?!」
ズルルルルルル……。
匠の肩から何かが引っ張り出されている。猿が頭を振って引っ張り出したのを見て、うわああとともう一度悲鳴を上げる。猿は口に陰気をくわえたまま軽く目を細めた。
「へけぇ……」
「う……わあああ……」
猿の口から黒い陰気。だが、先ほどまではぺしょりとした湿気た焼き海苔みたいだったのが!
「う……動いて……る?」
やはりこの間のも見間違いではなかった。手にしていた時は動かなかったものが、口にした途端、うねうねと震えだした?!
さすがに腰が抜けた。どすんと尻餅をついた匠の肩から、さらに猿が陰気を引っ張り出す。
そして、くりんと匠に背を向けた。
「……」
……喰ってる。音はしないが、肩の動きでわかる。もっもっと喰ってる?!
こいつ、やっぱり喰ってる?!あの生きたやつを?あの生きた湿気た焼き海苔みたいな陰気を?!
腰を抜かしたまま唖然と猿の背中を見ていた匠の方に、猿が再びくりんと向き直った。
さすがに猿でもでかかったのか顔が渋いが……。渋かった猿の顔がゆっくりと笑みを浮かべる。だが、目が笑っていない。固まったままの匠を見下ろし……。
あ、やべぇ。
匠はやけに冷静に思った。
「おいしくいただく」
猿はにっこりと笑ってそのまま匠を押し倒した。
今朝、薬局に入るなり薬局長にとっつかまり、頭ごなしにガミガミいわれた。
どうやら病棟から入院患者の薬が違うと連絡があったようだが、匠には思い当たる節がない。
「患者が気が付く前に、看護師が気が付いたから事なきを得たけど!二年目だからって気が緩んでいるんじゃないか?!」
「すみませんが、処方箋の確認を……」
させてください、と言いたかったのだが頭に青筋を立ててぎゃんぎゃん吠えたてる薬局長に心のどこかが諦める。
……諦める癖がついた。
仕事開始時間になり、他の薬剤師達も薬局に集まり始める。
また、うかつ君?
そんな空気が窓を開けているのにどよんと漂う。副薬局長がわざと明るい声で始業開始時間ですと声を張り上げる。
その声を聞き、薬局長はまだ何か言いたそうな顔をしたが、軽く咳払いし俺を見上げた。
「今日はもういい!自分の仕事は命に係わる!それをもう一度よく考えなさい!」
何一つ納得はしてないしできなかったが。
「すみませんでした」
こう言うしかなかった。
◇
「で、ここに飛ばされたのか」
薬局長から叱り飛ばされた後、副薬局長が匠に地下の注射薬剤室に行くように言ったのだ。
「はぁ」
「……相変わらず、辛気臭いな」
しかめっ面で匠をじろっと睨むのはこの注射薬剤室の管理薬剤師で室長さんだ。けっこういい歳のおばさまだが、なぜか男言葉を使う。
……相変わらず。
「俺、そんなに暗いっすか……」
はああ、とまた深いため息がでてしまい室長に嫌な顔をされた。
「もとはいいのに、なんでそこまで暗いかね」
「もとが暗いんすかね……」
あの隣の猿の口からぺろんとぶらさがってのたうっていたモノ。
陰気と言ったか。
べしんと横から250mlの輸液が飛んできた。相変わらずここの室長は凶暴だ。
「窓がないんだ!辛気臭いのをばらまくな!仕事しろ馬鹿!」
うーむ。今日はどこに行っても叱られる日らしい。
注射薬処方通りに輸液、薬剤を集めてはカゴに乗せ、病棟ごとに専用エレベーターで上 げる。
輸液は500mlもあり結構な力仕事だ。
「最近もあそこに行っているのか?」
輸液パックを数えていたら急に声がかかりなんでしょうと振り返った。室長はカチカチと音を立てて薬剤を数えている。
「手、止めるな。あそこだよ。お前が猫に餌やっていたとこ」
「……もうそんなことしてません」
「当たり前だ。馬鹿」
うーむ、何言っても末尾に馬鹿が付く。
匠は一年ほど前のことを思い出した。無事に国家試験に受かりこの病院に勤務し始めたとき、匠は昼飯を食べられる場所を探してあのフェンスの木陰を見つけた。
だがそこに先客、子猫がいたのだ。
彼女に振られた痛手もでかかった。そして、自分の体、特に男の部分がおかしくなってないか?と気が付き始めていて心がヒリヒリしていた。そんな心が弱っていた時に子猫。かわいいこげ茶の猫だった。
子猫がいたら触りたくなるじゃないか。
しかもその子猫が人懐っこいとなれば餌をあげたくなるじゃないか。
一緒に昼飯を食べていた時に、なぜかこの室長に見つかり大目玉をくらった。
『自分がどこに勤めているのか自覚はあるのか?!病院だぞ?アレルギー持ちもいる!猫を触った、しかも野良を触った手で調剤すんのかっ?!この馬鹿っ!』
猫はびっくりして逃げたが、匠は逃げるわけにもいかずガツンと叱られた。
でも、室長の言っていることはごもっともだったので、あの時は素直に『すみませんでした』と言えたのだが。
「なんだ」
考え込んでいるのに気が付かれた。手、止めるなと再度言われ、手を動かしながら室長に今朝、薬局長に叱り飛ばされたことを話した。
「あんの、くそったれ」
薬局長のことを「くそったれ」と言えるのはここの室長ぐらいだ。噂によれば、あの薬局長とこの室長は犬猿の仲らしい。
まあ、薬局長はおしとやかな女の子が好みだから、この室長は嫌いなタイプだろう。
あんたを長と呼ぶくらいなら地下に潜るわ!
そう啖呵を切って地下の注射薬剤室の主になったとも聞いている。
本当かどうかはわからないが。
匠はありえなくはないと思っている。
「スケジュール表見てみな」
「ん?」
エレベータのわきに貼られた紙を見る。勤務している薬剤師のスケジュールが細かく書いてある。匠も持っているが、自分のことだけで他の薬剤師のことなど気にしたことがない。
「珍しいことに、薬局長の名前が変なとこにあるだろう。今日だ」
けけっと肩で笑う室長にどこだと指で探し、目が丸くなった。
「注射薬剤室?……ここっすか?」
ん?どういうことだ?というか、なんで薬局長がここに来るようになっているんだ?薬局長が注射薬剤室に来るなどありえない。薬局の人間なら暗黙の了解事項だ。
「新しいヘルプを雇ったんだろ?それが作ったんじゃないか?知らなかったんだろう」
「ああ……。薬局長のお知り合いの……」
髪の毛を緩くふわふわに巻いたきゃぴと聞こえそうな女の子……。
「……はああ」
副薬局長が『もう、今日は午前中地下に行っときな』と小声で言ったのも、匠を思いやったのではなく、薬局長が地下に行きたくないのを見越したからだろう。
「だから、ため息つくなって言ってんだろうが!」
「うっわ?!それ、投げないでください!500すよ?!」
当たれば痛いし、パックも破損する。
「……っとに」
室長は思いっきり顔をしかめるとちらりと壁にかかった時計を見上げた。昼まであと少しだ。
「お前、ちょっと外の空気吸ってこい。こっちはもういいから」
「あ、いや。まだ……」
「辛気臭い奴がいると、こっちまで暗くなんだよ。いいから、あがれ。命令」
出た。命令。これが出たら最終通告だ。
「……お疲れさまでした」
「ん」
ぺこりと頭を下げ、ほんと俺だめだな……とうなだれてドアを開けようとしたら、出て行けといった室長から声がかかった。
「何階の入院患者だって?」
「はい?」
意味が分からず聞き返した匠に処方箋を数えながら室長が繰り返す。
「今朝の調剤過誤」
「ああ……三階だそうです」
「ん、わかった」
室長はそれだけ言うと、もういいと手をぴらぴらさせた。犬猫じゃないんだけどさ。
匠はぺこりと頭を下げて廊下に出て、もう一度大きくため息を吐いた。
◇
建物のかげからあたりをうかがう。まだ昼休み時間までは時間があるはずだ。
あれ以来近づけなかった。近づかなかった場所だ。憩いの場所だったのに。
人がいないのを確かめて、やれやれとフェンスに近づきカシャンともたれる。木陰が濃くなっていることに気が付き、久しぶりに空を見た。
空を見たのもいつ以来だろう。
当たり前に空は青いが、なんだか気分が晴れない。
二年目だからって気が緩んでる。ここはいいから注射薬剤室に行きなさい。
事務のポカまでかぶったんだな……俺。
そしてまた『うかつ』と呼ばれるのか。
「はあああああああああ」
「盛大なため息だな」
あきれたような声が本当に背中でし、飛び上がるよりも先にぐいいいっ!と背中から何かを鷲掴みにされた。
「ぐ、げっ?!」
一瞬のどが絞まりぐえっとなるが、服を引っ張られたわけではない?
はっ?と思って振り返ると猿もびっくりした顔で手にしたものをぶら下げていた。
黒のでろんとした湿気た焼き海苔。
陰気か?!
だがしかし、でかいなっ?!
匠の背中と同じぐらいの広さだ。猿も驚いているというよりは感心している。
「大物だな」
「え?なにそれ、俺についてた?」
ぎょっとして背中をぱたぱたと叩く。いや、あんなのついてて気が付かねえっておかしいって。
おそらくさっき鷲掴みにされた感覚がひっぺがえした時のものだったのだろう。
はっとした。
「食うなよっ?!」
絶対あんなもん体にいいわけがない!だが、猿は片手にぶら下げたその海苔もどきをぐいっと匠に突き付けた。
「これはお前を覚えている。手を放せば戻るぜ?」
「げ」
そんなものなのか?海苔もどき、いや陰気とやらはどうみても自分の意志などがあるようにはみえない。ただ、猿にぶら下げられているだけにみえる。
食べられるのもいやだが、戻されるのもいやだ。絶対に体によくない!
「どうにかできないのか?」
「喰っちまえば腹の中で消化できる」
ん?
「消化?消化って、消化できんのか?」
不思議なことを聞いた気がして、真面目に問い直してしまう。胃の中で胃酸で消化するのだろうか。
猿がん?と軽く顔をしかめ、何か間違えたな?俺という顔をした。
「……違う。浄化だ」
「じょうかってなんだ」
「綺麗にしちまうということだ」
猿は片手にぶら下げていた陰気をぴらぴらと軽く振り、少し口の端をあげて笑った。
「生まれてこのかた、ついてないことの方が多かったろ?」
歯に衣を着せずに言い切られ、匠がぐっと顎を引く。
そんなことまでわかるのだろうか。あの陰気から。
「ここで猫に餌をやって、おばさんに怒鳴られたり」
「ん?」
「すっげえ大声で当たり散らされたり」
「?」
なぜそれを知っている。猫に関して言えば、昨年のことだぞ?
「あそこから見えてた」
猿がひょいと木の上に見える校舎を指さした。校舎の四階か?ここから見えるということは、あちらからも見えるのだろうか。
「まだ寒かったころだから、この木も裸だったしな」
なるほど。目隠しもなかったわけな。
だが……当たり散らされは?
「今朝、大声で怒鳴られていただろ」
「なんで……」
「窓が開いてたんだろ。ちょうどあそこの下駄箱のとこだ」
また、指をさされて視線をやる。なるほど、隣が薬局か……。
丸聞こえだったわけな。
「はああああああああ……」
「でかいな」
吐こうとも思っていなかったため息が再び出て、猿が顔をしかめた。
思い出してもため息しか出ねえよ。あの薬局長め。だけど、なぜか怒鳴られていたことを正当化しようとする変な大人の意地が出た。
「俺のポカだ。ミスったんだと」
言い訳がましいかとも思ったが、猿はしばらく考えて匠をちらりと見上げた。
「俺にはそうは聞こえなかった。自分の鬱憤をあんたにぶつけて晴らしているようにみえた」
「……」
自分が思っていたことを静かに口に出され思わず猿の顔を見てしまう。猿は手にした陰気をどうしたものかと畳んだり広げたりしている。
動いていないよな?本当にくしゃりと湿気た焼き海苔のようだ。
「なぜ、俺だと分かった?この間、初めて会ったよな?」
「俺は一度喰った気の人間は追えるからだ。……だから、今日もすぐ来たろ」
そういえば、背後を取られた。足音すら気が付かなかったぞ。
「……猫のおばさんはまだよかった。でも、あのおっさんは駄目だ。人に当たり散らして……陰気をまき散らして楽しんでる。いたぶってる。声だけでわかる」
「なるほど……」
で、俺がその陰気をかぶるのか。薬局長のお気に入りの事務の子のミスと一緒に。
「体、軽いだろ」
急に言われ、ん?となった。
言われて初めて気が付いた。いつもガチガチの背中のはりがない……。取れてる?
「え?嘘。なんで?」
猿が折りたたんだ陰気をぺんぺんと叩きながらくふと笑った。
「この間はあんたが落としていったのを喰ったが、今日はひっぺはがしたからな」
「何?俺の体調まで、それおかしくすんの?」
ぎょっとする。なんだそれ?だが、猿は別に驚くことでもないと言葉を続ける。
「体調だけじゃない。運がいい、悪い。ついている、ついてない。そういうの全部だ」
猿がフェンス越しに匠を見て、綺麗な顔でニヤリと笑った。
そして、手にしていた陰気を空に投げた。
折りたたまれていた陰気がふわと広がり、そしてフェンスに当たる前に消えたように匠には見えた。
「……っく?!」
左肩がズンと重くなった。思わず肩を手で押さえる。なんだこれ?
「え……戻った?」
「言ったろ?覚えてるって」
「いや、言ったけどもさ?!え、まじで?!」
猿が嬉しそうにガシャガシャとフェンスをよじ登って下りてくる。
匠の前に立ち、かわいらしく首を傾げ笑って見せた。
……自分の顔が良いと分かってやがるな?こいつ。いや、こんなときだけど、本当にかわいいなっ!今は悪魔に見えるが!猿のくせに!
「見えなくても、感じるだろう?わかるだろう?ここに陰気がはりついてる。戻れて大喜びしているぜ?よっぽどあんたのこと気に入っているんだな」
「じょ、冗談じゃないぞ?!」
猿が匠の前に立ち、ついと手を上げ匠の左肩を指で押さえた。押された場所がとにかく痛重い!ピンポイントに押され、やはりこの猿には見えているのかと変な汗が出始める。
「ど……どうにかできないのか?」
匠の言葉を待っていたかのように、猿は男にしては綺麗な赤い唇を笑みの形にした。
つまり、笑った。本物の悪魔の笑みのように。
「取引をしないか?」
「と、取引?」
思わず聞き返してしまう。猿は肩にあてた指をくりくりと回しだした。
「俺は修行でこれを食べないといけない」
「修行?」
また、けったいな単語が出てきたぞ?
修行で陰気を喰うって、なんだそれ?
「本当は喰わなくてすむなら、そうしたいんだけど。今んとこ、それができないから喰うしかないんだよ」
「あの苦いもんをか?!」
普通にびっくりした。あのしぶいんだか、にがいんだか、いがいがするんだかとにかく頭をかきむしるほどのものをか?!
猿もそうだろう?とにんまり笑う。
「なあ?あんな苦いものがここから体ン中にしみこんだら、良い事なんて全く起こらなさそうだろう?」
「いや、起こらないんだろ?!」
「うん」
にこぱ。全く邪気などありませんという顔で、言っていることは悪魔のそれだがな!このガキ!
猿がすいっと匠に一歩近づいた。匠が一歩下がる。
逃げる匠に綺麗な笑みをはっつけたまま猿が追う。
「近いっ!」
「悪い取引じゃない」
猿がささやくように匠に話しかける。
「俺ならお前のこれをひっぺはがしてやれる。これからもお前がどっかではっつけてきのものだ。俺がひっぺはがして喰ってやる。俺も探して回らなくていいしな」
「何を……だ」
「陰気だ」
猿がくっと爪先に力を込めた。肩がずきずきし始め、匠の額に冷や汗が浮かぶ。
あのぐったりした陰気は確かに匠に向かってきたように見えた。途中で消えたが。だが、消えた途端、匠の肩が痛くなったのも事実だ。
本当に、あれが肩から身に……体内に入ってくるのかと思うと。
怖い。
匠の喉がごきゅと変な音を立てた。
黙ってしまった匠に猿が表情も変えずに手を動かした。
人差し指と親指で何かをつまむようにして、ついと引っ張った。
「……う」
猿の指先にまたあの黒い海苔……陰気が現れる。出てくるだろうと予測はしていたが、気持ち悪いし、怖い!
「陰気がとれりゃ今迄みたいに不条理なことも、人より不運なことも起こらなくなる。人並ぐらいにはなれる」
……人よりついていない。人のミスまで押っ付けられる。『うかつ君』と陰口をたたかれる。
そんなことが脳裏を横切る。
「……で?」
でも、絶対に裏がある!悪魔の取引に裏がないわけがない!
「で?!なんかあんだろ!条件が!」
「察しがいいな」
嬉しそうな声をあげた猿はぴとりと匠の肩に顔を寄せた。
「近いっ!」
「俺がお前の陰気を喰ってやる。その代わり、キスさせろ」
「……」
何を言った?この猿?
ぽかんとした匠にはりついたまま、猿が今度は口を尖らせた。
「修行で仕方がないんだけどさ、やっぱ苦いんだよ陰気。それに今日のでかいよな?大物だと俺も思う」
こんの……クソガキ!
「修行なら黙って喰えよ!」
「修行だっつっても限度があんだろうよ!なー!いいじゃん!減るもんじゃなし!キスの一つや二つ!」
「ぜってえに嫌に決まってんだろ!減る、減らないじゃないだろうが!なんで知らねえ野郎とキスなんぞせなならんのじゃ!」
だいたい!
「お前、高校生だろうが!俺が犯罪者になるっーの!」
「黙っていればわからない」
えへと笑われ、殺意さえ湧きそうになる。
「こんの……!」
いい加減に離れろ!とまだ子供らしさが残る体を押しやれば、けち!けち!と逆にしがみつかれた。
「いいじゃん!あんた、キスうまいじゃん!俺、忘れらんなくてさー。すっげぇ気持ちよかったんだよー」
なんか言ったか?!このマセガキ!
「ざっけんな!こちとらあんなキスされたのも、したのも初めてだったわ!キスがうまいわけがないだろうが!」
「……え?」
きょとんと猿が目を丸くした。信じられないことを言ったぞ?という顔で匠を見上げる。
「……なんだよ」
「……」
しばらく無言ののち、いきなり猿が匠の肩にむさぼりついた。がぶっとシャツ越しに肩を噛まれた気がし、悲鳴を上げそうになるが、続いた感覚に背中に寒気が走った。
「う……わああああああ?!」
ズルルルルルル……。
匠の肩から何かが引っ張り出されている。猿が頭を振って引っ張り出したのを見て、うわああとともう一度悲鳴を上げる。猿は口に陰気をくわえたまま軽く目を細めた。
「へけぇ……」
「う……わあああ……」
猿の口から黒い陰気。だが、先ほどまではぺしょりとした湿気た焼き海苔みたいだったのが!
「う……動いて……る?」
やはりこの間のも見間違いではなかった。手にしていた時は動かなかったものが、口にした途端、うねうねと震えだした?!
さすがに腰が抜けた。どすんと尻餅をついた匠の肩から、さらに猿が陰気を引っ張り出す。
そして、くりんと匠に背を向けた。
「……」
……喰ってる。音はしないが、肩の動きでわかる。もっもっと喰ってる?!
こいつ、やっぱり喰ってる?!あの生きたやつを?あの生きた湿気た焼き海苔みたいな陰気を?!
腰を抜かしたまま唖然と猿の背中を見ていた匠の方に、猿が再びくりんと向き直った。
さすがに猿でもでかかったのか顔が渋いが……。渋かった猿の顔がゆっくりと笑みを浮かべる。だが、目が笑っていない。固まったままの匠を見下ろし……。
あ、やべぇ。
匠はやけに冷静に思った。
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猿はにっこりと笑ってそのまま匠を押し倒した。
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