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第二章

ぬいぐるみショー上演 上

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 倉庫が完全に闇に閉ざされる。

「またふざけたことをしやがって、なんなんだ!」

 鮫島とほかの二人が、次々起こる予想外のことに頭がついていけず、パニックになったような声を発する。

「うろたえるんじゃねぇ」

 親分の一喝で、三人の動きがピタリと止まる、それと同時に親分を囲むようにして三人は一斉に銃を構えて身構えた。
 親分の顔も険しさが増す。
 すぐに敵の襲撃があると思っていたが、しかしそのまま何も起きない。
 暗闇に徐々に目が慣れてきたが、それでもいつまでも姿を見せない相手に緊張が高まる。

 チリン
  チリン

 緊張が最高潮に達しようとした時、突然鈴の音が聞こえた。
 血走った目で、音のなるほうに一斉に銃を構える。
 闇の中でぼんやりと何かが動く気配がした。

 チリン
  チリン

「出て来い!」
「ふざけるな!」

 部下二人が、耐え切れなくなったように闇に向かって声をあげる。
 その言葉が合図になったかのように、突然ガタンと大きな音がした。ビクリと体を震わす三人。だが再び静けさが戻る。どうやら倉庫の奥に積み上げられている段ボールの一つが転がり落ちようだ。
 三人の銃をもつ指に力がはいる。
 
「………」

 背中を冷たい汗が伝った。
 銃を構えたままで腕がしびれただけなのか、それともなにか違う要因か、三人の銃を持つ腕が微かに震える。
 親分は腕を組んだまま神経をとがらせているようだった。
 数分が闇の中では永遠にも思えた。

 意を決したように鮫島が親分を連れて入って来た扉の方に再び走り寄る。そしてそのまますばやく扉の淵まで駆け寄る。
 鮫島にならって、他の二人も親分を守るように背にしながら後に続く。
 耳を澄ますが動くものの気配や、息継ぎさえも聞こえてこない。この静寂は、得体のしれない恐怖心を深めた。

 再び扉が開くか試してみるが、やはり外から何かつっかえ棒みたいなもので閉じられているのか扉はビクともしなかった。
 鮫島が暗闇の中で合図を送る。
 確かこの倉庫には非常口があったはずだった。きっと布で隠されているのだろう、今はその光が見えないが、確か入り口からちょうど反対側と、右の階段の上にあったはずだった。

 窓に暗幕をかけてるところからすうに、二階にはまあまあの人数が揃っているに違いない、ならば、奥の非常口に走るしかないか、それでもきっとそこも固められているだろうが、非常口はドアノブさえ壊せば出れる可能性がある。

「わっ!」

 そのとき、子分の一人が声を上げた。
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