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第二章
これは警察案件だと思います
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「で、これからどうする」
足がしびれている山崎を、どうにか車の中に入れると作戦会議が始まった。
「そうだな、タイミングよく真も”お仕置き人モード”になってくれたし」
”お仕置き人モード”とは、真の怒りが頂点に達したときに従順なメイド服を脱ぎ捨て、人のあらゆるツボをその針で付くことにより、その人を体を自在に操れるようになる恐ろしい特技を発する時の状態らしい。
「ここは一つ乗り込むか」
「いや、警察に……」
「乗り込むって一応相手はそれ専門の人たちですよ、それに中に何人仲間がいるかわからないじゃないですか」
「それは大丈夫、中の様子はハルのクージュニアからわかる」
圭介の発言には誰も耳を貸さず話が進んでいく、そしていつのまにかハルのカバンについているクマのぬいぐるみのキーホルダーは”クージュニア”と命名されたようだった。
「あっ!」
その時アリスが小さく叫んだ。
「どうしたんです?」
「ハルちゃんになにかあったのか?」
「……”クージュニア”が……」
「”クージュニア”が!?」
「ワゴン車の中に置いてかれた」
あぁ、と三人からため息が漏れる。
圭介は少しあきれながら、もう一度先ほどから言っている言葉を伝える。
「警察に連絡しますね」
携帯電話のボタンを押す。が、それを山崎が奪い取る。
「ばかやろう、警察なんかが来てもハルが人質にされるだけだ、今なら奴らは油断してるはずだ」
「でも僕たちに何ができるっていうんです」
いいかげんに、頭に来て言い返す。確かに今なら相手は油断しているかもしれないが、下手に一般市民が手を出して、ハルに何かがあったらそれこそ大変じゃないか。
「圭介、でも警察は今はダメだ」
「どうして?」
「さっきまでの”クージュニア”の話では、どうやらハルはさらにここから移動させられるらしい」
「移動……」
「ただの借金回収でここまでするなどおかしいだろう」
確かにそこは圭介も引っかかっていた。
「理由はまだわからないが、ハルはなにか大きな事件に巻き込まれている、そして今助け出さないと、さらに仲間も増え救出はさらに困難になるだろう」
アリスが圭介の目を真っすぐに見上げながら強い口調で言い切った。
「でも……」
「なら、こんな作戦はどうだ」
圭介が動揺している間に、山崎と真が何やら作戦を練っていたらしい。しかしニヤリと笑った山崎の顔を見た圭介は嫌な予感にブルリとしたのだった。
足がしびれている山崎を、どうにか車の中に入れると作戦会議が始まった。
「そうだな、タイミングよく真も”お仕置き人モード”になってくれたし」
”お仕置き人モード”とは、真の怒りが頂点に達したときに従順なメイド服を脱ぎ捨て、人のあらゆるツボをその針で付くことにより、その人を体を自在に操れるようになる恐ろしい特技を発する時の状態らしい。
「ここは一つ乗り込むか」
「いや、警察に……」
「乗り込むって一応相手はそれ専門の人たちですよ、それに中に何人仲間がいるかわからないじゃないですか」
「それは大丈夫、中の様子はハルのクージュニアからわかる」
圭介の発言には誰も耳を貸さず話が進んでいく、そしていつのまにかハルのカバンについているクマのぬいぐるみのキーホルダーは”クージュニア”と命名されたようだった。
「あっ!」
その時アリスが小さく叫んだ。
「どうしたんです?」
「ハルちゃんになにかあったのか?」
「……”クージュニア”が……」
「”クージュニア”が!?」
「ワゴン車の中に置いてかれた」
あぁ、と三人からため息が漏れる。
圭介は少しあきれながら、もう一度先ほどから言っている言葉を伝える。
「警察に連絡しますね」
携帯電話のボタンを押す。が、それを山崎が奪い取る。
「ばかやろう、警察なんかが来てもハルが人質にされるだけだ、今なら奴らは油断してるはずだ」
「でも僕たちに何ができるっていうんです」
いいかげんに、頭に来て言い返す。確かに今なら相手は油断しているかもしれないが、下手に一般市民が手を出して、ハルに何かがあったらそれこそ大変じゃないか。
「圭介、でも警察は今はダメだ」
「どうして?」
「さっきまでの”クージュニア”の話では、どうやらハルはさらにここから移動させられるらしい」
「移動……」
「ただの借金回収でここまでするなどおかしいだろう」
確かにそこは圭介も引っかかっていた。
「理由はまだわからないが、ハルはなにか大きな事件に巻き込まれている、そして今助け出さないと、さらに仲間も増え救出はさらに困難になるだろう」
アリスが圭介の目を真っすぐに見上げながら強い口調で言い切った。
「でも……」
「なら、こんな作戦はどうだ」
圭介が動揺している間に、山崎と真が何やら作戦を練っていたらしい。しかしニヤリと笑った山崎の顔を見た圭介は嫌な予感にブルリとしたのだった。
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