147 / 147
最終章 一度目のその先へ
エピソード3
しおりを挟む
人生に一度きりの奇跡のギフト。
「ユアン様は一度目の人生で、”メアリーに会いたい、メアリーを助けたい”と願って過去に戻ったのですわね。そして過去に戻ったことでギフトも発現前の状態にリセットされ、そして今回同じ瞬間に”みんなと一緒に帰りたい”と願った。そうして今回のような奇跡が起きた」
ドヤ顔で話すローズマリーには悪いが、みなうすうす神官の話を聞いていて気がついていたので、愛想笑いで返す。
「なんか冷めた反応ですわね」
ぷっと頬を膨らませる。
「まあ、ユアンのギフトがもう使えないとわかったのはいいことじゃないか、これでユアンは要注意人物にはならないのだし」
そのときレイモンドが口を開いた。
「そうだな、そして国を救ってくれたのはユアン君だということがはっきりした。本来なら国を挙げてユアン君を称えたいところだが、君はそれを望んでいるかい?」
「いえ」
ユアンが即答する。その強い言葉にレイモンドがにこやかに頷く。
「なんでだよ、ここはがっぽり報奨金をもらっとこうぜ」
アスタが勝手なことを言っている。
「嫌ですよ、ここで変に注目されても、僕にはもうなんの奇跡も起こせないのに」
全く欲がないなと口を尖らすアスタを見て、メアリーがクスリと笑う。
「僕はメアリーとレオンと美味しいものを食べながら、静かにのんびり暮らせればそれが一番の幸せなんです」
ニコニコとメアリーと頷き合う。
「わかった。今回の奇跡は、みんなが持っていた飛行魔石がその強い想いから奇跡的な威力を発揮したということにしておこう」
それで国民が納得するかはわからないが、国としてもなにかしら理由付けが必要なのだろう。
確かに魔法石はその人の想いの強さで能力が変わってくることは論文でも発表されていることだから、全くありえないとは否定できない。
「はい、それでよろしくお願いします」
晴れ晴れとした顔でユアンが同意する。
「じゃあこの話はこれでおしまいですね」
皆が頷く。
「じゃあメアリー帰ろう」
ユアンがメアリーに手を差し出す。
「僕たちの家に」
これから先のことはわからない。でも今大切な友人が笑っている、愛する人が自分の隣に立っている。
「はい、ユアン」
暖かい日差しのような笑顔でメアリーが頷く。そしてユアンの手を取って歩き出す。
~完~
「ユアン様は一度目の人生で、”メアリーに会いたい、メアリーを助けたい”と願って過去に戻ったのですわね。そして過去に戻ったことでギフトも発現前の状態にリセットされ、そして今回同じ瞬間に”みんなと一緒に帰りたい”と願った。そうして今回のような奇跡が起きた」
ドヤ顔で話すローズマリーには悪いが、みなうすうす神官の話を聞いていて気がついていたので、愛想笑いで返す。
「なんか冷めた反応ですわね」
ぷっと頬を膨らませる。
「まあ、ユアンのギフトがもう使えないとわかったのはいいことじゃないか、これでユアンは要注意人物にはならないのだし」
そのときレイモンドが口を開いた。
「そうだな、そして国を救ってくれたのはユアン君だということがはっきりした。本来なら国を挙げてユアン君を称えたいところだが、君はそれを望んでいるかい?」
「いえ」
ユアンが即答する。その強い言葉にレイモンドがにこやかに頷く。
「なんでだよ、ここはがっぽり報奨金をもらっとこうぜ」
アスタが勝手なことを言っている。
「嫌ですよ、ここで変に注目されても、僕にはもうなんの奇跡も起こせないのに」
全く欲がないなと口を尖らすアスタを見て、メアリーがクスリと笑う。
「僕はメアリーとレオンと美味しいものを食べながら、静かにのんびり暮らせればそれが一番の幸せなんです」
ニコニコとメアリーと頷き合う。
「わかった。今回の奇跡は、みんなが持っていた飛行魔石がその強い想いから奇跡的な威力を発揮したということにしておこう」
それで国民が納得するかはわからないが、国としてもなにかしら理由付けが必要なのだろう。
確かに魔法石はその人の想いの強さで能力が変わってくることは論文でも発表されていることだから、全くありえないとは否定できない。
「はい、それでよろしくお願いします」
晴れ晴れとした顔でユアンが同意する。
「じゃあこの話はこれでおしまいですね」
皆が頷く。
「じゃあメアリー帰ろう」
ユアンがメアリーに手を差し出す。
「僕たちの家に」
これから先のことはわからない。でも今大切な友人が笑っている、愛する人が自分の隣に立っている。
「はい、ユアン」
暖かい日差しのような笑顔でメアリーが頷く。そしてユアンの手を取って歩き出す。
~完~
0
お気に入りに追加
29
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
一番モテないヒロインに転生しましたが、なぜかモテてます
Teko
ファンタジー
ある日私は、男の子4人、女の子4人の幼なじみ達が出てくる乙女ゲームを買った。
魔法の世界が舞台のファンタジーゲームで、プレーヤーは4人の女の子の中から1人好きなヒロインを選ぶ事ができる。
・可愛くて女の子らしい、守ってあげたくなるようなヒロイン「マイヤ」
・スポーツ、勉強と何でもできるオールマイティーなヒロイン「セレス」
・クールでキレイな顔立ち、笑顔でまわりを虜にしてしまうヒロイン「ルナ」
・顔立ちは悪くないけど、他の3人が飛び抜けている所為か平凡に見られがちなヒロイン「アリア」
4人目のヒロイン「アリア」を選択する事はないな……と思っていたら、いつの間にか乙女ゲームの世界に転生していた!
しかも、よりにもよって一番モテないヒロインの「アリア」に!!
モテないキャラらしく恋愛なんて諦めて、魔法を使い楽しく生きよう! と割り切っていたら……?
本編の話が長くなってきました。
1話から読むのが大変……という方は、「子どもの頃(入学前)」編 、「中等部」編をすっと飛ばして「第1部まとめ」、「登場人物紹介」、「第2部まとめ」、「第3部まとめ」からどうぞ!
※「登場人物紹介」はイメージ画像ありがございます。
※自分の中のイメージを大切にしたい方は、通常の「登場人物紹介」の主要キャラ、サブキャラのみご覧ください。
※長期連載作品になります。
人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)
葵セナ
ファンタジー
主人公 39歳フリーターが、初めての旅行に行こうと家を出たら何故か森の中?
管理神(神様)のミスで、異世界転移し見知らぬ森の中に…
不思議と持っていた一枚の紙を読み、元の世界に帰る方法を探して、異世界での冒険の始まり。
曖昧で、都合の良い魔法とスキルでを使い、異世界での冒険旅行? いったいどうなる!
ありがちな異世界物語と思いますが、暖かい目で見てやってください。
初めての作品なので誤字 脱字などおかしな所が出て来るかと思いますが、御容赦ください。(気が付けば修正していきます。)
ステータスも何処かで見たことあるような、似たり寄ったりの表示になっているかと思いますがどうか御容赦ください。よろしくお願いします。
めんどくさがり屋の異世界転生〜自由に生きる〜
ゆずゆ
ファンタジー
※ 話の前半を間違えて消してしまいました
誠に申し訳ございません。
—————————————————
前世100歳にして幸せに生涯を遂げた女性がいた。
名前は山梨 花。
他人に話したことはなかったが、もし亡くなったら剣と魔法の世界に転生したいなと夢見ていた。もちろん前世の記憶持ちのままで。
動くがめんどくさい時は、魔法で移動したいなとか、
転移魔法とか使えたらもっと寝れるのに、
休みの前の日に時間止めたいなと考えていた。
それは物心ついた時から生涯を終えるまで。
このお話はめんどくさがり屋で夢見がちな女性が夢の異世界転生をして生きていくお話。
—————————————————
最後まで読んでくださりありがとうございました!!
聖女の妹は無能ですが、幸せなので今更代われと言われても困ります!
ユウ
ファンタジー
侯爵令嬢のサーシャは平凡な令嬢だった。
姉は国一番の美女で、才色兼備で聖女と謡われる存在。
対する妹のサーシャは姉とは月スッポンだった。
能力も乏しく、学問の才能もない無能。
侯爵家の出来損ないで社交界でも馬鹿にされ憐れみの視線を向けられ完璧を望む姉にも叱られる日々だった。
人は皆何の才能もない哀れな令嬢と言われるのだが、領地で自由に育ち優しい婚約者とも仲睦まじく過ごしていた。
姉や他人が勝手に憐れんでいるだけでサーシャは実に自由だった。
そんな折姉のジャネットがサーシャを妬むようになり、聖女を変われと言い出すのだが――。
恋人以上、永遠の主人
那月
ファンタジー
転生を繰り返し鬼を討つ宿命を背負った2人の物語
平安時代に跋扈した魑魅魍魎、滅ばなかった鬼が現代にまで。
かの有名な安倍晴明は言った。
「人間では間に合わぬ。お前達2人に鬼の呪をかけるゆえ、戦い続けろ。鬼が滅ぶその時まで、お前達が死ぬことは許されない」
呪によって、死んでもすぐに前世の記憶を持ったまま生まれ変わるようになった2人。
生まれては死ぬまで鬼と戦い、死んではまた生まれ変わる。
鬼との戦いは千年を超え、現代。
鬼は減るどころか増えた、強力になった。
なぜ?何かの前兆なのか?
2人は現代の人間達と協力し、鬼を討つ。平和はもちろん、自分達の終のために。
ここ最近急激に増え知能が高くなった鬼。
1体しかいないはずの、過去に倒したはずの大型鬼の出現。
統率の取れた行動を見せる鬼。
様々な鬼に関する謎に立ち向かう2人が行きつく先にあるものとは?
終は必ず来る
そう信じて2人は前に進み続ける。
異世界王女に転生したけど、貧乏生活から脱出できるのか
片上尚
ファンタジー
海の事故で命を落とした山田陽子は、女神ロミア様に頼まれて魔法がある世界のとある国、ファルメディアの第三王女アリスティアに転生!
悠々自適の贅沢王女生活やイケメン王子との結婚、もしくは現代知識で無双チートを夢見て目覚めてみると、待っていたのは3食草粥生活でした…
アリスティアは現代知識を使って自国を豊かにできるのか?
痩せっぽっちの王女様奮闘記。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる