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最終章 一度目のその先へ

未来をかえるために

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「十五時の鐘が鳴って少ししてから、小さくて長い揺れがありました。そして次の下から突き上げるような大きな揺れは屋敷に向かう途中の開けた丘の手前だったから、たぶん三十分~四十分後ぐらいだったと思います」

 多分あの大きな揺れの後、一気に街は火に包まれたのだろう。
 あの日は祭りで火を使っていた屋台もたくさん出ていたし、家の前にも蝋燭を立てたランプが沢山吊るされていた。
 記憶を思い出し、青ざめた顔のユアンをメアリーがその肩を抱き寄せる。

「やはり、一番大きな問題は火災だな」

 レイモンドが呟く。

「あと、建物の倒壊です。僕の屋敷は崩れてこそいなかったですが、室内は物が散乱してとても歩ける状態じゃなかったです。街の建物は古くて手入れをしてないものが多いから、もっと倒壊しやすいと思います」
「そうだな、それもやはり手を加える必要があるな」
「ちょうど祭りの時だから、普段より騎士や魔法使いを多く配置しよう。それに蝋燭のランプの代わりに、魔法石の明かりを支給すれば火災はだいぶ減らせるはずだ」

 アレクが言った。

「そうね、噴水や水場の整備も進んでいるし、古い建物の改修工事が難しくても、土魔法石を色々な箇所に設置しておけばいざ倒壊しても周りに被害をださずくいとめられるかもしれないわ」

 ルナが提案する。

「そうだな、まだ時間はある。やれることは全てやっていこう、他にもいい案が浮かんだものはすぐに報告するように」

 レイモンドはそういうと、ユアンの方に向きなおった。

「私たちは私たちができることをやるだけだ、ユアン君が責任を感じることはない、寧ろ私たちを信用して話してくれて感謝している」

 そういって改めてレイモンドは頭を垂れた。
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