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第二章 青春をもう一度
魔法石と魔法陣2
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「でも魔法陣が解析できたとしてそれをどうやって魔法石と組み合わせるのですか?」
「それは簡単ですわ。魔法石に直接掘ってしまえばいいのですわ」
スクロールに魔法陣を書いたように。
(でもあの複雑な紋様を魔法石なんかに掘ることは可能なのだろうか?)
「すべてを書こうとは考えてませんわ。魔法石から魔力を出すための鍵穴と鍵を書き込めばよいのですわ」
ユアンの疑問に答えるように言葉を足す。
「しかし、魔法陣がまだしきりに使われていた時に歴代の魔法使いたちがそれを思いつかなかったとは考えにくい」
「きっと、思いついていたけれど、それをやる技術がなかったのか、またはしたくなかったのか」
意味深な顔で呟くアスタ。
確かに、いくら魔法石の発見があったとはいえ、魔法陣を禁止したのだからそれなりの理由はあるのだろう。
「あとスクロールは確かに便利でしたが、一度きりの使い捨てなので王族か裕福な貴族しか手にいれることはできなかったようですわ」
ローズマリーが続ける。
「スクロールさえあれば、魔法使いがいなくても戦場で魔法は使えましたわ」
「魔法使いは国で管理できても、スクロールをすべて管理するのは難しい」
「そうです。魔法使いの価値を高めるためにも、誰でもお金さえ積めば魔法が使えるスクロースを発展させるより、魔法使いしか魔法が使えないとしておきたかったのかもしれませんわね」
アスタとローズマリーが目と目で頷く。
「なら、魔法石を皆が使えるようにするのは、国的にはまずいのでは」
「そうだな。でもそんなこと知ったことじゃない」
アスタがバンと机を叩く。
「どうせ僕たちが気がついくようなことだ、いつか誰かが気が付くさ。それに、逆に今僕たちがこの特許を独占してしまえば、悪いことには使えないよう、国に手回しができるはずだろ」
その笑みを見てふとマッドサイエンティストという言葉が浮かぶ。
いつかはこのことに気づくものは出てくるだろう。
ならば、今先に自分たちがこの研究を完成させ、使い方の方向性と、間違った使い方がされないように法律を先に作ってしまえば。
(なんてったって、こっちには次期王太子と王太子妃が付いているのだから)
そんな考えが浮かんだ。
「俺はよくわからないが、この研究は人のためにやってたものだろ。なんだってそうだが、道具は使い方次第だ。今から悪用されること恐れて研究をとめることはないんじゃないか」
(そうだな、そこは深く考えるのまた偉い人にしてもらおう)
アレクの意見に頷く。
(それにこの歴史はかわらない。彼らが魔法石を使った街灯を作るのはもう決まっている未来なのだから。だから、きっとどうにかなったのだろう)
国家反逆罪で捕まるようなことはないだろうと、そう思いつつ、街灯を作るということが歴史的発明というだけでなく、すごく大変な試みであったことを改めて思い知った。
「それは簡単ですわ。魔法石に直接掘ってしまえばいいのですわ」
スクロールに魔法陣を書いたように。
(でもあの複雑な紋様を魔法石なんかに掘ることは可能なのだろうか?)
「すべてを書こうとは考えてませんわ。魔法石から魔力を出すための鍵穴と鍵を書き込めばよいのですわ」
ユアンの疑問に答えるように言葉を足す。
「しかし、魔法陣がまだしきりに使われていた時に歴代の魔法使いたちがそれを思いつかなかったとは考えにくい」
「きっと、思いついていたけれど、それをやる技術がなかったのか、またはしたくなかったのか」
意味深な顔で呟くアスタ。
確かに、いくら魔法石の発見があったとはいえ、魔法陣を禁止したのだからそれなりの理由はあるのだろう。
「あとスクロールは確かに便利でしたが、一度きりの使い捨てなので王族か裕福な貴族しか手にいれることはできなかったようですわ」
ローズマリーが続ける。
「スクロールさえあれば、魔法使いがいなくても戦場で魔法は使えましたわ」
「魔法使いは国で管理できても、スクロールをすべて管理するのは難しい」
「そうです。魔法使いの価値を高めるためにも、誰でもお金さえ積めば魔法が使えるスクロースを発展させるより、魔法使いしか魔法が使えないとしておきたかったのかもしれませんわね」
アスタとローズマリーが目と目で頷く。
「なら、魔法石を皆が使えるようにするのは、国的にはまずいのでは」
「そうだな。でもそんなこと知ったことじゃない」
アスタがバンと机を叩く。
「どうせ僕たちが気がついくようなことだ、いつか誰かが気が付くさ。それに、逆に今僕たちがこの特許を独占してしまえば、悪いことには使えないよう、国に手回しができるはずだろ」
その笑みを見てふとマッドサイエンティストという言葉が浮かぶ。
いつかはこのことに気づくものは出てくるだろう。
ならば、今先に自分たちがこの研究を完成させ、使い方の方向性と、間違った使い方がされないように法律を先に作ってしまえば。
(なんてったって、こっちには次期王太子と王太子妃が付いているのだから)
そんな考えが浮かんだ。
「俺はよくわからないが、この研究は人のためにやってたものだろ。なんだってそうだが、道具は使い方次第だ。今から悪用されること恐れて研究をとめることはないんじゃないか」
(そうだな、そこは深く考えるのまた偉い人にしてもらおう)
アレクの意見に頷く。
(それにこの歴史はかわらない。彼らが魔法石を使った街灯を作るのはもう決まっている未来なのだから。だから、きっとどうにかなったのだろう)
国家反逆罪で捕まるようなことはないだろうと、そう思いつつ、街灯を作るということが歴史的発明というだけでなく、すごく大変な試みであったことを改めて思い知った。
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