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第四章 誓いをもう一度

卒業前は告白ラッシュ

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「ユアン、ごめんなさい」
「えっ?」

 俯き加減にそういったメアリーの言葉の意味が分からず、ユアンのつなぎかけていた手は空中で行先を失いさまよった。

「今日も、一緒に帰れないの」
「あぁ、また何か用事?」

 伏し目がちにコクリと頷く。

「わかった。じゃあ、また明日」

 そう言って、待ち合わせ場所から離れる。
 振り返ると、メアリーの少し申し訳なさそうな顔がまだユアンの背中を見送っていた。
 ユアンは校門を出たところで、こっそりともう一度メアリーの立っていた場所を確かめる。
 メアリーはクルリと背を向けて再び学園の奥の方に歩いていく。

「用事ってなんだ」

 この一週間、用事があると言って一緒に帰れなかったのはこれで3度目だった。
 そしてその理由もいつも話してくれない。

 いつか話してくれるはず。そう信じてはいるが。
 あの少し困ったような、作り笑いを見せられては心配にもなる。

「もしやまた昨年のように、よからぬことに巻き込まれているのかもしれない」

 一抹の不安とよからぬ考えにユアンがこぶしを握り締める。

「何してるんだ?」

 突然背後から声をかけられユアンが飛び上がらんばかりに驚く。

「なんだキールか」

 フウと胸を撫でおろす。

「いや、ちょっとメアリーが心配で」

 ユアンの視線の先に歩いているメアリーを見てキールが神妙な面持ちで尋ねる。

「何が心配なんだ、またなにかあったのか?」
「いや、まだ、何かあったかどうかもわからないんだが……」

 多少の後ろめたさからしどろもどろになる。

「メアリーが何かを隠してる気がして……」
「そんなの直接聞いてみればいいじゃないか」

 それが聞けないからこんなことをしているのにと、首を傾げているキールをジトリと見上げる。

「もう、キールと話していたらメアリーを見失うじゃないか」

 真っすぐ突き進むしか知らないキールに説明してもわかってもらえる気がしない、ユアンが再びメアリーを追いかける。

「で、キールはなんでついてきてるんだ」
「だって、なにか危険なことが起こるかもしれないんだろ?」
「…………まぁ、そうだな」

 真っすぐに自分を見つめる視線から目をそらす。

「勝手に飛び出したりするんじゃないぞ」

 一応念を押すとキールは素直に頷いた。
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