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第四章 誓いをもう一度
ダンスパーティー
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アスタとローズマリーは研究学部の方で共同研究をするが正式に決まり、魔具研は自然消滅したように他の生徒たちには見えた。
しかし、密かにデートをする振りをしてメアリーとユアンは、ローズマリーが経営する猫カフェの奥に作られた研究ラボで、実験を続けていた。
ルナとクリスもいまではそこに足を運んで研究を手伝っている。
そうして、ユアンの学園生活は静かに終わろうとしていた。
昨年は散々な目に合ったダンスパーティー。
今回はちゃんと参加できた。
キールはアンリがいないため多くの女生徒たちから狙われていたが、同じくパートナーが卒業しているローズマリーと一緒に入ることで、お互いを狙うファンを牽制することに成功した。
「メアリー踊りましょ」
ローズマリーがメアリーを誘う。
別に絶対男女で踊らなくてはならないという決まりはないが、それはとても画期的な誘いと言えた。
「でも私男性パートなんて踊れないわ」
「大丈夫ですわ、私はこの日のために練習してきましたの」
ローズマリーはいったいどこを目指しているのか、そんなことをさらりという。
そして昨年とは違い、男性パートを踊るローズマリーを非難の目で見るものなどいない、逆にうっとりとそれを眺める他の生徒たち特に下の学年の女生徒などは、次は私と踊ってくださいと、その後長蛇の列ができたほどだ。
「お兄様、ルナと踊ってください」
メアリーがローズマリーに奪われてしまったユアンのもとに今だとばかりにルナがやってくる。
「ルナさん、次は僕と」
モジモジとその後ろでクリスがルナを誘う。
「まぁそうね考えとくは」
冷たく言い放つが、クリスから見えないところで満更でもなさそうな顔をのぞかす。
「クリスにもう少しやさしくしてやれよ」
「あら、私はいつだってやさしいですよ」
これは将来尻に引かれるクリスが見えたきがして、ハハっと小さく笑う。
「メアリー」
「ユアン」
ようやくそれぞれ解放された二人がお互いに手を取る。
「ねぇ、メアリー知ってる?」
「何をですか?」
「三年のダンスパーティーで最後の曲を踊った男女は、ずっと一緒にいられるらしいよ」
最後の曲までにはまだあと何曲かある。
「じゃあ、最後の曲はユアンを予約しときますね」
メアリーはコロコロと鈴が鳴るような声で、可愛らしいことを言う。
「じゃあ僕もメアリーを予約させてもらってもいいかな」
「仕方ないですね」
冗談ぽくメアリーが返す。
そこにキールが割って入った。
「メアリーごめん、次俺と踊ってくれないか?」
「あら、キール様どうしたのですか?」
「なんか女性たちが今年怖くて」
昨年はアンリのために出席したが、あんな事件があったので、探りを入れるために色々な女生徒たちとも踊ったキールだったが、今年はアンリもいないし断ろうとしていたようだが、ローズマリーが「私主催のダンスパーティーを欠席などしませんわよね」といわれてしまい、仕方なく出席したのだ。
学友たちと食事をしながら語らってればいいか、と軽い気持ちで参加したようだが、さっきからキールを狙う女生徒たちに追いかけまわされているようだった。
学友からも睨みつける女性たちを前に「俺たちはいいから踊ってこい」と売られてしまったようだ。
そして、次は私の番とばかりに争いを始める女生徒たちから逃げるように、今は知り合いを転々と頼っているらしい。
「いいですよ。キール様にも色々お世話になりましたし、私で良ければ隠れ蓑に使ってください」
「すまん、メアリー。そしてちょっとメアリーを借りるぞユアン」
「まぁメアリーがいいなら」
キールには一番のライバルになりうると変な八つ当たりをしたこともあったな。なんて思い出しながら、二人が踊る様子を眺める。
「あの、ハーリング様よかったら私と踊っていただけませんか?」
二人ばかりを気にしていたユアンに、そんな声がかかる。
ダンスに誘われるなんて思ってもいなかったので、思わず驚いた目を向ける。
「次は、私とも踊ってくださいねハーリング様」
そこには何人かのクラスメートたちの顔があった。
前回の人生ではこうやって、クラスメートたちとダンスをするなど考えられたなかったことだ。
「僕で良ければ」
ユアンが照れくさそうに笑うと、女生徒たちも笑い返す。
前回とは違う。今はクラスメートの顔だけではなく名前もわかる。
そしてユアンとメアリーはそれぞれダンスを楽しんだ後、最後に再び手を取り合うとラストダンスを踊った。
ちなみにキールのラストダンスの相手は同じく婚約者のいるローズマリーで落ち着いたようだ。
しかし、密かにデートをする振りをしてメアリーとユアンは、ローズマリーが経営する猫カフェの奥に作られた研究ラボで、実験を続けていた。
ルナとクリスもいまではそこに足を運んで研究を手伝っている。
そうして、ユアンの学園生活は静かに終わろうとしていた。
昨年は散々な目に合ったダンスパーティー。
今回はちゃんと参加できた。
キールはアンリがいないため多くの女生徒たちから狙われていたが、同じくパートナーが卒業しているローズマリーと一緒に入ることで、お互いを狙うファンを牽制することに成功した。
「メアリー踊りましょ」
ローズマリーがメアリーを誘う。
別に絶対男女で踊らなくてはならないという決まりはないが、それはとても画期的な誘いと言えた。
「でも私男性パートなんて踊れないわ」
「大丈夫ですわ、私はこの日のために練習してきましたの」
ローズマリーはいったいどこを目指しているのか、そんなことをさらりという。
そして昨年とは違い、男性パートを踊るローズマリーを非難の目で見るものなどいない、逆にうっとりとそれを眺める他の生徒たち特に下の学年の女生徒などは、次は私と踊ってくださいと、その後長蛇の列ができたほどだ。
「お兄様、ルナと踊ってください」
メアリーがローズマリーに奪われてしまったユアンのもとに今だとばかりにルナがやってくる。
「ルナさん、次は僕と」
モジモジとその後ろでクリスがルナを誘う。
「まぁそうね考えとくは」
冷たく言い放つが、クリスから見えないところで満更でもなさそうな顔をのぞかす。
「クリスにもう少しやさしくしてやれよ」
「あら、私はいつだってやさしいですよ」
これは将来尻に引かれるクリスが見えたきがして、ハハっと小さく笑う。
「メアリー」
「ユアン」
ようやくそれぞれ解放された二人がお互いに手を取る。
「ねぇ、メアリー知ってる?」
「何をですか?」
「三年のダンスパーティーで最後の曲を踊った男女は、ずっと一緒にいられるらしいよ」
最後の曲までにはまだあと何曲かある。
「じゃあ、最後の曲はユアンを予約しときますね」
メアリーはコロコロと鈴が鳴るような声で、可愛らしいことを言う。
「じゃあ僕もメアリーを予約させてもらってもいいかな」
「仕方ないですね」
冗談ぽくメアリーが返す。
そこにキールが割って入った。
「メアリーごめん、次俺と踊ってくれないか?」
「あら、キール様どうしたのですか?」
「なんか女性たちが今年怖くて」
昨年はアンリのために出席したが、あんな事件があったので、探りを入れるために色々な女生徒たちとも踊ったキールだったが、今年はアンリもいないし断ろうとしていたようだが、ローズマリーが「私主催のダンスパーティーを欠席などしませんわよね」といわれてしまい、仕方なく出席したのだ。
学友たちと食事をしながら語らってればいいか、と軽い気持ちで参加したようだが、さっきからキールを狙う女生徒たちに追いかけまわされているようだった。
学友からも睨みつける女性たちを前に「俺たちはいいから踊ってこい」と売られてしまったようだ。
そして、次は私の番とばかりに争いを始める女生徒たちから逃げるように、今は知り合いを転々と頼っているらしい。
「いいですよ。キール様にも色々お世話になりましたし、私で良ければ隠れ蓑に使ってください」
「すまん、メアリー。そしてちょっとメアリーを借りるぞユアン」
「まぁメアリーがいいなら」
キールには一番のライバルになりうると変な八つ当たりをしたこともあったな。なんて思い出しながら、二人が踊る様子を眺める。
「あの、ハーリング様よかったら私と踊っていただけませんか?」
二人ばかりを気にしていたユアンに、そんな声がかかる。
ダンスに誘われるなんて思ってもいなかったので、思わず驚いた目を向ける。
「次は、私とも踊ってくださいねハーリング様」
そこには何人かのクラスメートたちの顔があった。
前回の人生ではこうやって、クラスメートたちとダンスをするなど考えられたなかったことだ。
「僕で良ければ」
ユアンが照れくさそうに笑うと、女生徒たちも笑い返す。
前回とは違う。今はクラスメートの顔だけではなく名前もわかる。
そしてユアンとメアリーはそれぞれダンスを楽しんだ後、最後に再び手を取り合うとラストダンスを踊った。
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