【完結】二度目の人生、君ともう一度!〜彼女を守りたいだけなのに〜

トト

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第四章 誓いをもう一度

クリスの水魔法

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「攻撃魔法としては」

 そう言ってクリスが手を合わせる。

「水魔法”水鉄砲”」

 手の平から真っすぐに目標の木に向かって水が飛び出す。その様子はローズマリーの火炎放射に似ている。

「魔力を調節すれば、貫通まではいきませんが木の皮を何枚か剥ぐくらいの威力はでます」

 にこやかに恐ろしいことを言う。

「回復魔法はメアリーさんと同じように傷を塞いだりするほかに」

 説明しながら

「水魔法”聖水”」

 瓶の中に手から出した聖水を注ぐ。

「聖水が作れるんですか!?」

 ローズマリーとメアリーが同時に驚きの声を上げる。ユアンは魔法に詳しくないのでそれがどんなにすごいことなのかはよくわからない。

「はい、水魔法の水と回復魔法を混ぜながら魔力を出すことで、作ることができます」

 なんでもないように言っているが。多分二人の表情から察するにとんでもないことなのだろう。

「凄いですわ! こんな逸材がいたなんて」

 ローズマリーが興奮気味に出来上がったばかりの聖水の成分を分析し始める。

「すごいです。私なんてようやく傷の治りが早くなったぐらいなのに」
「いや、メアリー様は言葉にも聖魔法が乗せられるじゃないですか、それに比べれば、僕の魔法なんて、両方使える人には簡単なことですよ」

 メアリーも今でも続けている放送は実はすごいことらしい。あの放送のおかげで学園からいじめや不登校が減ったという本当か嘘かわからないことまで囁かれているほどだ。それだけ人の心を癒す効果がメアリーの言葉にはあるのだろう。

「凄いことは認めてあげるわ」

 腕組みをしながら機嫌が悪そうにその様子を見ていたルナが言い放つ。

 前回はあんなに好きだったのに、なんでそんな態度をとっているのか、今回はクリスが好きだといっているのだから、さらにうまくいきそうな気がするのに。
 女心は難しいなと妹を眺める。それから前回の人生では気づかなかったが、すごい実力者だったんだなと感嘆する。

(確か宮廷魔法師ではなく、教会に努めてたのはこの能力のせいだったのか)

 教会関係者も王宮魔法師に次ぐぐらい権力を持っているが、教会はまた階級制度が複雑でユアンもクリスの役職などはよくわかっていなかった、ユアンの記憶ではクリスはずっと街の教会の見習い、もしくはお手伝いをしているようにしか見えなかったが……

(ああ見えて結構な地位にいたのだろうか)

 今となってはわからない。


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