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第四章 誓いをもう一度
帰り道
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「なんだかまたにぎやかになりそうですね」
メアリーがニコニコとユアンに話しかける。
ローズマリーとルナは学校の門の前で待っている馬車のところで分かれたあと、メアリーを女子寮まで送るのが付き合いだしてからの日課だ。
クリスが入ってくれるのはとてもありがたいが、今年の魔法発表会のことを考えると果たして信用できる人物か、また本人の覚悟も聞いておかないといけないとと悩むローズマリーに、「そこは大丈夫」とユアンが保証した。
「なぜお兄様が」という目でルナに睨まれたが、未来の妹の旦那様だ。その性格はだいたいわかっている。
彼は魔力がないからと人を下に見る人物でもないし性根もいい。もし話を聞いて辞退してもそれを誰かに言いふらすような人物でもない。
案の定魔法陣の話をしたが、それ以上に魔力のない人たちでも使える魔法石の方に興味を持って目を輝かせた。
『クリス・ギレット。水属性です。回復と攻撃魔法両方使えます』
クリスの言葉を思い出す。
「水魔法の使い手はいなかったから、これで五大魔法がそろいましたね」
魔法は大きく分けて。火・水・土・風・光・闇の六つが六大魔法と呼ばれ後はそこから派生した魔法である。
それにとメアリーが続ける。
「回復と攻撃も使えるなんて、クリス君はすごいですね」
水は聖とはまた違うが回復系の魔法が使える唯一の魔力だ。そして回復系が使えるのは水も聖もごくわずかなものしかいないので、メアリーは数少ない同志ができてうれしいのだろう。
「クリス君はルナを追ってきたんですからね」
すねた口調でユアンがそう言う。メアリーが一瞬キョトンとした顔でユアンを見上げてから。クスリと小さく笑った。
「そうですね。まるで誰かさんそっくりで。つい応援したくなります」
ユアンが顔を赤らめながら言葉に詰まる。
「メアリー……」
メアリーを引き寄せその額に口づけをする。途端にボッとメアリーの顔が真っ赤になる。
「応援だけにしてくださいね」
クリスとユアンは似ている。いまでこそ見た目は全然違うのだが、少しふくよかな体形はユアンの幼き頃に似ているし、行動というか思考というか。それもなんだか共感するものがある。だから前回でルナがあれだけ気に入ったのだろう。ということは、前の人生の太っちょユアンも好きになったメアリーが好きにならないという可能性がゼロではないということだ。まぁそんなことは絶対ないのだが。
それは言い訳でなんだか自分だけやきもちを焼いてるようで、ついメアリーを困らせたくなったのだ。
「ユアン様。こんな通りで」
「ユアン様じゃなくて、ユ・ア・ンでしょ」
顔を赤らめながらあわあわと慌てるメアリーの姿に、ユアンがいたずらっ子のような笑みを浮かべてほほ笑んだ。
「もう、ユアンの意地悪っ」
プイッとそっぽを向くメアリーがたまらなく愛おしくて、ユアンはもう一度キスをした。
メアリーがニコニコとユアンに話しかける。
ローズマリーとルナは学校の門の前で待っている馬車のところで分かれたあと、メアリーを女子寮まで送るのが付き合いだしてからの日課だ。
クリスが入ってくれるのはとてもありがたいが、今年の魔法発表会のことを考えると果たして信用できる人物か、また本人の覚悟も聞いておかないといけないとと悩むローズマリーに、「そこは大丈夫」とユアンが保証した。
「なぜお兄様が」という目でルナに睨まれたが、未来の妹の旦那様だ。その性格はだいたいわかっている。
彼は魔力がないからと人を下に見る人物でもないし性根もいい。もし話を聞いて辞退してもそれを誰かに言いふらすような人物でもない。
案の定魔法陣の話をしたが、それ以上に魔力のない人たちでも使える魔法石の方に興味を持って目を輝かせた。
『クリス・ギレット。水属性です。回復と攻撃魔法両方使えます』
クリスの言葉を思い出す。
「水魔法の使い手はいなかったから、これで五大魔法がそろいましたね」
魔法は大きく分けて。火・水・土・風・光・闇の六つが六大魔法と呼ばれ後はそこから派生した魔法である。
それにとメアリーが続ける。
「回復と攻撃も使えるなんて、クリス君はすごいですね」
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「クリス君はルナを追ってきたんですからね」
すねた口調でユアンがそう言う。メアリーが一瞬キョトンとした顔でユアンを見上げてから。クスリと小さく笑った。
「そうですね。まるで誰かさんそっくりで。つい応援したくなります」
ユアンが顔を赤らめながら言葉に詰まる。
「メアリー……」
メアリーを引き寄せその額に口づけをする。途端にボッとメアリーの顔が真っ赤になる。
「応援だけにしてくださいね」
クリスとユアンは似ている。いまでこそ見た目は全然違うのだが、少しふくよかな体形はユアンの幼き頃に似ているし、行動というか思考というか。それもなんだか共感するものがある。だから前回でルナがあれだけ気に入ったのだろう。ということは、前の人生の太っちょユアンも好きになったメアリーが好きにならないという可能性がゼロではないということだ。まぁそんなことは絶対ないのだが。
それは言い訳でなんだか自分だけやきもちを焼いてるようで、ついメアリーを困らせたくなったのだ。
「ユアン様。こんな通りで」
「ユアン様じゃなくて、ユ・ア・ンでしょ」
顔を赤らめながらあわあわと慌てるメアリーの姿に、ユアンがいたずらっ子のような笑みを浮かべてほほ笑んだ。
「もう、ユアンの意地悪っ」
プイッとそっぽを向くメアリーがたまらなく愛おしくて、ユアンはもう一度キスをした。
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