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第三章 告白をもう一度
告白2
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「ごめん。ごめんねメアリー」
メアリーの肩を暖かい何かが湿らす。
「僕が好きなのはメアリーだよ。それ以外の誰でもない、本当だよ」
(ずっとずっと好きなんだ。たとえ何度生まれ変わってもこの気持ちは変わらない)
「今の僕じゃあ、信じてもらえないかもしれないけど」
初めてこの世界に戻って来た日、ユアンはメアリーを探した。自分が助けられなかったメアリーを。
でもこの世界で生きていくうちに、前とは違うメアリーの生き方に戸惑いながらも、それでも新しい彼女を見つけるたびにやはりどんどん好きになっていった。
比べてしまうこともある。
前の人生では自分だけのメアリーだったのに、今のメアリーの周りには沢山の人が居る。
それはすごく良いことなのに、たまにすごく寂しく感じる。だから昔を懐かしんでしまう時もある。
ユアンにとっては同じメアリーのことでも、そんなことは今のメアリーにはわからない。
「ユアン様?」
「ごめんね、メアリーさん。確かに僕は君の中に違う面影を重ねてしまっていた。でも今僕の目に映っているのは誰?」
そういうと、嘘偽りのない真摯な眼差しで若草色の瞳を覗き込む。
藍色の瞳の中に栗色の髪の少女が揺れている。
「彼女は僕にとってとてもとても、大切な人だったから。僕はこの先も彼女を忘れることはできない。そのせいで君をまた傷つけてしまうかもしれない」
メアリーがユアンの中のメアリーを自分と違うと感じるのなら、そこに嘘は付けない。
「でも今僕が心から好きなのは、守りたいと思っているのは。今この瞳に映っているメアリー、君なんだ」
過去を捨てることはできない、ただメアリーが変わったようにユアンも変わる時がきたのかもしれない。比べたり懐かしむのではなく、今のメアリーと向き合う時が。
「誰かじゃない、メアリー・ベーカー、君が好きだ」
真っ直ぐな言葉を投げる。
メアリーの頬を涙が伝う。
「ずるいです。忘れられない人がいるという口で、私を好きだというなんて」
少しすねたようにいいながら、ユアンの瞳をじっと見つめて小さく微笑む。
「嫉妬しちゃいます。でも、わかってましたから。それがユアン様だって」
「メアリー……」
「私負けません。いつかその人よりユアン様を夢中にさせてみせます。思い出だって上書きしちゃうぐらいに」
そう言って花がほころぶように笑う。
ユアンがそれに少し困ったように小さく笑いかえす。
「もう僕は君に夢中なのに、これ以上夢中にさせられたら、僕は四六時中君から離れられなくなるよ」
「それは素敵ですね」
「ねぇ、メアリー。僕からもう一度ちゃんと言わせて」
藍色の瞳で真っすぐに若草色の瞳を覗き込む。
「メアリーさん。こんな僕ですが、どうか僕と付き合っていただけますか?」
返事の代わりに今度はメアリーがユアンの首に自分の腕を回すとおもいっきり抱き寄せる。そしてその耳元で小さく「はい」と返事をする。
そうしてはにかんだ笑みで微笑みあった後、どちらからともなくそっと唇を重ねた。
メアリーの肩を暖かい何かが湿らす。
「僕が好きなのはメアリーだよ。それ以外の誰でもない、本当だよ」
(ずっとずっと好きなんだ。たとえ何度生まれ変わってもこの気持ちは変わらない)
「今の僕じゃあ、信じてもらえないかもしれないけど」
初めてこの世界に戻って来た日、ユアンはメアリーを探した。自分が助けられなかったメアリーを。
でもこの世界で生きていくうちに、前とは違うメアリーの生き方に戸惑いながらも、それでも新しい彼女を見つけるたびにやはりどんどん好きになっていった。
比べてしまうこともある。
前の人生では自分だけのメアリーだったのに、今のメアリーの周りには沢山の人が居る。
それはすごく良いことなのに、たまにすごく寂しく感じる。だから昔を懐かしんでしまう時もある。
ユアンにとっては同じメアリーのことでも、そんなことは今のメアリーにはわからない。
「ユアン様?」
「ごめんね、メアリーさん。確かに僕は君の中に違う面影を重ねてしまっていた。でも今僕の目に映っているのは誰?」
そういうと、嘘偽りのない真摯な眼差しで若草色の瞳を覗き込む。
藍色の瞳の中に栗色の髪の少女が揺れている。
「彼女は僕にとってとてもとても、大切な人だったから。僕はこの先も彼女を忘れることはできない。そのせいで君をまた傷つけてしまうかもしれない」
メアリーがユアンの中のメアリーを自分と違うと感じるのなら、そこに嘘は付けない。
「でも今僕が心から好きなのは、守りたいと思っているのは。今この瞳に映っているメアリー、君なんだ」
過去を捨てることはできない、ただメアリーが変わったようにユアンも変わる時がきたのかもしれない。比べたり懐かしむのではなく、今のメアリーと向き合う時が。
「誰かじゃない、メアリー・ベーカー、君が好きだ」
真っ直ぐな言葉を投げる。
メアリーの頬を涙が伝う。
「ずるいです。忘れられない人がいるという口で、私を好きだというなんて」
少しすねたようにいいながら、ユアンの瞳をじっと見つめて小さく微笑む。
「嫉妬しちゃいます。でも、わかってましたから。それがユアン様だって」
「メアリー……」
「私負けません。いつかその人よりユアン様を夢中にさせてみせます。思い出だって上書きしちゃうぐらいに」
そう言って花がほころぶように笑う。
ユアンがそれに少し困ったように小さく笑いかえす。
「もう僕は君に夢中なのに、これ以上夢中にさせられたら、僕は四六時中君から離れられなくなるよ」
「それは素敵ですね」
「ねぇ、メアリー。僕からもう一度ちゃんと言わせて」
藍色の瞳で真っすぐに若草色の瞳を覗き込む。
「メアリーさん。こんな僕ですが、どうか僕と付き合っていただけますか?」
返事の代わりに今度はメアリーがユアンの首に自分の腕を回すとおもいっきり抱き寄せる。そしてその耳元で小さく「はい」と返事をする。
そうしてはにかんだ笑みで微笑みあった後、どちらからともなくそっと唇を重ねた。
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