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第二章 青春をもう一度
ルナと新土人形
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ローズマリーの噂を探りながら、魔術研究発表会の準備もするという日が始まった。そして、そんな中でルナも少し早いが魔法道具研究倶楽部の部員として正式に入部が決まった。
「ルナ・ハーリングです。お兄様共々これからもよろしくお願いいたします」
可愛らしくスカートの裾を持って一礼する。
「よろしくね。ルナちゃん」
ニコリと微笑むアンリに、思わずルナがポーと頬を赤らめながら見惚れる。
「それで少しは成長したのか?」
身長の話ではない、ルナもわかってますと言わんばかりにもうすでに部室の一角に置いている土のたっぷり盛られている皿を持ってくる。
「お兄様たちが合宿でどんな訓練をしていたのかわ存じませんが、ルナも休み中すごーく成長したんですからね」
もったいつけるようにそういうと土の上に両手をかざし魔法の言葉を唱える。
「土魔法”新お兄様”」
なんだかんだ言っていたが、兄からは離れられないのか、皆の顔に思わず笑み浮かぶ。
「まあ、確かに”新”なのかな」
前期に見せても立った土人形が熊のぬいぐるみなら、”新お兄様”は今のユアンのようなスマートな三十センチ程の大きさの人型だった。それが三体。
「まぁ、ユアンにしては美化されすぎているが」
八頭身のスリムなユアンの姿に、アスタがクククと笑い声を立てる。
「アスタ先輩、まだこれだけじゃないんですよ」
ルナがさらに得意げにそういうと、魔法の言葉を続けて唱えた。
「命令します!”腕立て”・”腹筋”・”反復横跳び”」
ルナが三体の土人形にそう命令を下すと、それぞれが”腕立て”・”腹筋”・”反復横跳び”を始めた。
それにはみんなも「おぉ~」と感嘆の声を上げた。しかし──
「これ、本当の意味で腹、割れてきてないか」
腹筋をしている土人形の腹が運動に耐えかねて、腹から崩れてきていた。他の腕立てと反復横跳びをしていた土人形たちも、次第にぼろぼろと崩れいく。
「まだ、継続するには。魔力量が少ないしコントロールも不安定みたいだな」
こんなはずではなかったと言わんばかりのルナの慌てた顔に、アスタが優しく言葉をかける。
「でもすごいですわ、自分の魔力に気が付いてから半年ほどしかたっていないのに、これだけ精密な土人形を作り上げ命令通りに動かせるなんて」
ローズマリーがルナを褒める。
「本当にすごいです。私よりぜんぜん使いこなしていますよ」
メアリーも「私も先輩としてもっとがんばらないと」と妙に気合を入れている。
「すごいぞ、一人で良くここまで成長させたな」
ユアンがルナの頭に手を置いて褒めると、ルナの瞳がぱっと輝きをました。
「はい、ルナがんばりました」
そういってユアンに抱き着く。そんな姿をみなは温かい目で見守った。
「ルナ・ハーリングです。お兄様共々これからもよろしくお願いいたします」
可愛らしくスカートの裾を持って一礼する。
「よろしくね。ルナちゃん」
ニコリと微笑むアンリに、思わずルナがポーと頬を赤らめながら見惚れる。
「それで少しは成長したのか?」
身長の話ではない、ルナもわかってますと言わんばかりにもうすでに部室の一角に置いている土のたっぷり盛られている皿を持ってくる。
「お兄様たちが合宿でどんな訓練をしていたのかわ存じませんが、ルナも休み中すごーく成長したんですからね」
もったいつけるようにそういうと土の上に両手をかざし魔法の言葉を唱える。
「土魔法”新お兄様”」
なんだかんだ言っていたが、兄からは離れられないのか、皆の顔に思わず笑み浮かぶ。
「まあ、確かに”新”なのかな」
前期に見せても立った土人形が熊のぬいぐるみなら、”新お兄様”は今のユアンのようなスマートな三十センチ程の大きさの人型だった。それが三体。
「まぁ、ユアンにしては美化されすぎているが」
八頭身のスリムなユアンの姿に、アスタがクククと笑い声を立てる。
「アスタ先輩、まだこれだけじゃないんですよ」
ルナがさらに得意げにそういうと、魔法の言葉を続けて唱えた。
「命令します!”腕立て”・”腹筋”・”反復横跳び”」
ルナが三体の土人形にそう命令を下すと、それぞれが”腕立て”・”腹筋”・”反復横跳び”を始めた。
それにはみんなも「おぉ~」と感嘆の声を上げた。しかし──
「これ、本当の意味で腹、割れてきてないか」
腹筋をしている土人形の腹が運動に耐えかねて、腹から崩れてきていた。他の腕立てと反復横跳びをしていた土人形たちも、次第にぼろぼろと崩れいく。
「まだ、継続するには。魔力量が少ないしコントロールも不安定みたいだな」
こんなはずではなかったと言わんばかりのルナの慌てた顔に、アスタが優しく言葉をかける。
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「すごいぞ、一人で良くここまで成長させたな」
ユアンがルナの頭に手を置いて褒めると、ルナの瞳がぱっと輝きをました。
「はい、ルナがんばりました」
そういってユアンに抱き着く。そんな姿をみなは温かい目で見守った。
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