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第二章 青春をもう一度
この空気のまま進めるつもりですか
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おかしな空気の中ルナがここに来た理由を話しだす。
「最近一年生の間で、マリー姉さまに対する根の葉もない噂が流れているのはご存じですか?」
突然名前を言われてローズマリーが驚いたようにルナを見た。
ローズマリーのことはもう大丈夫だと高をくくっていたので、ここにきて悪い噂が流れていると聞いて心ここに在らずだったユアンも現実に引く戻される。
「どんな噂なんだ?」
なんだかとても嫌な予感がする。
みんなが注目する中ルナは一年生の間で流れている噂について話し出した。
内容は、ユアンが前の人生で聞いてきたものとは少し違っていたが、やはり『傲慢。人を見下した態度。王妃候補として相応しくない人物』というようなものだった。
「でも、今年の一年生はメアリーさんの通訳のおかげでマリーさんが本当に伝えたいことはわかってくれているはずだよね」
ユアンが頭を抱えながらルナを見る。そしてローズマリーはもっとショックを受けているだろう。自分の意図が全く違う風に伝わっているのだから。そう思ってローズマリーを見たが、ローズマリーは眉間にしわを寄せ首をかしげているだけで、特にショックを受けているという感じではない。むしろ顔面蒼白になってショックを受けているのはメアリーのほうだった。
「私が、ちゃんと伝えられなかったから」
「メアリーさんのせいでは絶対ない、あれ以上的確にローズマリー語を通訳できる人間はこの学園、いやこの国には存在しないだろう」と、ユアンが口に出すより先に
「メアリーのせいではないですわ。私が皆さんに誤解されるような振る舞いをしていたということですわ」
ローズマリーがメアリーの頬をパチンと軽く挟むと自分の方に顔を向けさせた。
「そうですよ、ルナも初めはマリー姉さまのことをあくが強いし見た目は怖いし、関わればろくなことにならない人だと思ってましたが」
さらりと首が飛んでもおかしくないようなことを言っている。
「でもメアリー姉さまの通訳とここでのマリー姉さまを見て、単に本当は真面目で正義感もあり優しい残念な人だったんだなと気が付きました」
それはフォローになっているのだろうか。ユアンが独り背中に冷たい汗を流す。
「そうなんです、マリーは本当にいい子なんです、ただそれを伝えるのが下手すぎなんです、だから私ががんばって伝えてきたのに」
伝わっていると思ったのにと涙を流す。
言われ放題のローズマリーだが、なぜかメアリーにもらい泣きをして、メアリーのせいじゃありませんわと肩を抱いている。
「でも大丈夫です、ルナも知り合いにマリー姉さまはそんな人じゃないと話したら周りの子もわかってくれましたから」
「じゃあなぜわざわざ、その話を言いに来た」
「お兄様、わかりませんか?噂は一年生だけで流れているのではないということです」
「最近一年生の間で、マリー姉さまに対する根の葉もない噂が流れているのはご存じですか?」
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「どんな噂なんだ?」
なんだかとても嫌な予感がする。
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内容は、ユアンが前の人生で聞いてきたものとは少し違っていたが、やはり『傲慢。人を見下した態度。王妃候補として相応しくない人物』というようなものだった。
「でも、今年の一年生はメアリーさんの通訳のおかげでマリーさんが本当に伝えたいことはわかってくれているはずだよね」
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ローズマリーがメアリーの頬をパチンと軽く挟むと自分の方に顔を向けさせた。
「そうですよ、ルナも初めはマリー姉さまのことをあくが強いし見た目は怖いし、関わればろくなことにならない人だと思ってましたが」
さらりと首が飛んでもおかしくないようなことを言っている。
「でもメアリー姉さまの通訳とここでのマリー姉さまを見て、単に本当は真面目で正義感もあり優しい残念な人だったんだなと気が付きました」
それはフォローになっているのだろうか。ユアンが独り背中に冷たい汗を流す。
「そうなんです、マリーは本当にいい子なんです、ただそれを伝えるのが下手すぎなんです、だから私ががんばって伝えてきたのに」
伝わっていると思ったのにと涙を流す。
言われ放題のローズマリーだが、なぜかメアリーにもらい泣きをして、メアリーのせいじゃありませんわと肩を抱いている。
「でも大丈夫です、ルナも知り合いにマリー姉さまはそんな人じゃないと話したら周りの子もわかってくれましたから」
「じゃあなぜわざわざ、その話を言いに来た」
「お兄様、わかりませんか?噂は一年生だけで流れているのではないということです」
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