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第一章 出会いからもう一度
キールと学術祭
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お昼からユアンとキールは合流して一緒に学術祭をまわる約束をしていた。
「ユアン、せっかく痩せたのにいいのかよ」
「今日はお祭りだぞ、今日ぐらい大丈夫だよ」
フランクフルトに、厚い肉の挟まれたサンドイッチ。こないだの貿易で東洋のものを生徒たちが見よう見まねで作ったという、たこ焼きやお団子。確かに学術祭を満喫したい気持ちも嘘ではないが、ユアンのこの食欲の半分はやけ食いに近いものだった。
「この、ハフハフ、たこ焼きの、ハフハフ、再現力など、素晴らしい、ものが、あるぞ」
ハフハフしながら食べながら、ユアンは学生たちの努力の成果だと感涙する。
「そういえば魔法研究発表会、あの人たちも出たのかな」
二日目は午前は魔術学部の生徒による魔法研究発表が行われる。学年ごとの発表のほかにも、自主活動のクラブや研究生達の発表もあるのだ。今頃は、最優秀賞が表彰されている頃だろう。
「でもあそこは同好会だから、参加できないだろ」
しかしクラブと認められていない同好会は出場できない決まりだ。
「そうか」
「午後の魔術大会は出るかな」
「上の男2人は魔法使いだったみたいだし、でるんじゃないか、でもアンリさんは魔法使いじゃないから出ないぞ」
「だよな」
「別に、会いたいなら直接いけばいいじゃないか、どうせあの小屋に誰かしらいるだろうし」
先ほどから心ここにあらずと言う感じのキールに、ユアンが仕方なく助け舟を出す。
「べ、別に会いたいとか、そんなんじゃないぞ、ちょっと何してるか気になっただけで」
(それを会いたいというのでは)
まあ、いままで恋愛に興味がなかったキールにそんなことを言ったところで無駄だろう。自分だって、メアリーに恋をしていると気が付いたのは、出会ってから何年もたってからのことだった。
「まぁ、昨日は、なんか最後釈然としない終わり方だったし、もう一度ぐらい行って白黒つけてもいいんだけどさ」
「確かにアンリさん突然飛び出していったままだっだしな」
そんなことを思い出しながら、チラリとキールの横顔を伺う。
「よくわからないけど怒らしたみたいだし」
「……はいはい、ここでぼやいてても仕方ないし、行ってみようか」
「まぁユアンもそういうなら」
そう言ったキールは今日一番、キラキラした顔をしていた。
「ユアン、せっかく痩せたのにいいのかよ」
「今日はお祭りだぞ、今日ぐらい大丈夫だよ」
フランクフルトに、厚い肉の挟まれたサンドイッチ。こないだの貿易で東洋のものを生徒たちが見よう見まねで作ったという、たこ焼きやお団子。確かに学術祭を満喫したい気持ちも嘘ではないが、ユアンのこの食欲の半分はやけ食いに近いものだった。
「この、ハフハフ、たこ焼きの、ハフハフ、再現力など、素晴らしい、ものが、あるぞ」
ハフハフしながら食べながら、ユアンは学生たちの努力の成果だと感涙する。
「そういえば魔法研究発表会、あの人たちも出たのかな」
二日目は午前は魔術学部の生徒による魔法研究発表が行われる。学年ごとの発表のほかにも、自主活動のクラブや研究生達の発表もあるのだ。今頃は、最優秀賞が表彰されている頃だろう。
「でもあそこは同好会だから、参加できないだろ」
しかしクラブと認められていない同好会は出場できない決まりだ。
「そうか」
「午後の魔術大会は出るかな」
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「だよな」
「別に、会いたいなら直接いけばいいじゃないか、どうせあの小屋に誰かしらいるだろうし」
先ほどから心ここにあらずと言う感じのキールに、ユアンが仕方なく助け舟を出す。
「べ、別に会いたいとか、そんなんじゃないぞ、ちょっと何してるか気になっただけで」
(それを会いたいというのでは)
まあ、いままで恋愛に興味がなかったキールにそんなことを言ったところで無駄だろう。自分だって、メアリーに恋をしていると気が付いたのは、出会ってから何年もたってからのことだった。
「まぁ、昨日は、なんか最後釈然としない終わり方だったし、もう一度ぐらい行って白黒つけてもいいんだけどさ」
「確かにアンリさん突然飛び出していったままだっだしな」
そんなことを思い出しながら、チラリとキールの横顔を伺う。
「よくわからないけど怒らしたみたいだし」
「……はいはい、ここでぼやいてても仕方ないし、行ってみようか」
「まぁユアンもそういうなら」
そう言ったキールは今日一番、キラキラした顔をしていた。
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