32 / 147
第一章 出会いからもう一度
三者三様
しおりを挟む
「えー、俺が1番イケてる長男アレク・オルレアン」
3人の中で1番背の高いチラシを渡した少年が自分たちの紹介を始める。
「こいつは、頭は良いが融通がきかない次男のアスタ」
彼はなぜか先ほどからずっとキールをにらみつけている。
「で、この1番かわいいのが、妹のアンリ」
「その節はご迷惑をおかけしました」
ペコリと頭を下げるアンリ。街で会った時はどちらかと言うと、化けの皮がはがれたアスタのような口調だったが、どうやらこちらが本当の彼女らしい。
銀髪に黒縁眼鏡に紫の瞳。アレクだけが他の二人に比べ少しだけ背が高い。それもこうして三人並んでいるからわかる程度の違いであって、それぞれバラバラで会ったら誰が誰だか区別をつけることは不可能だろう。
「よく、女の子だってわかったな」
「そりゃわかるさ」
「いや、普通わからないよ」
ぼそぼそとキールとつつく。だってあの時だって服は男性用の格好だったし、髪も男の子のように短く揃えられている。今だって、誰が誰だかユアンには区別がつかない。
「そういえば制服」
3人とも男子の制服だ。それもおかしな話なのだが、アレクとアスタは黒い魔法学部の制服を着ているのだが、アンリだけはなぜか行政学部の制服を着ているのだ。たまに魔力があるにもかかわらず、弱すぎて魔法学部に入らない生徒もいることにはいるが、街で出会ったのが本当に彼女なら、あれだけの風魔法を使える人物が魔法学部に入ってないのは、逆に監視の対象になりかねない。
「ボクに魔力はないよ」
顔に出てしまっていたのだろう、アンリが先に答える。
「えっ、だって君」
「とりあえず立ち話もなんだ、詳しくは席についてからにしよう」
アレクが指を鳴らすと、部屋の隅に置かれていた椅子と丸机が部屋の中央に移動してきた。
「君たちが不思議だと思うのも仕方ない」
促されるまま席に着く。
「これはなんだか知ってるかい?」
透き通るような透明な石。
「魔法石ですね」
「そうこれはまだ魔力が込められていない魔法石」
そう言うとアレクがその石を両手で握りしめた。
「で、今俺がそれに風の魔法を閉じ込めました」
そう言って見せてくれた魔法石は先ほどの無色透明から、アレクの手の中で緑色に変わっていた。
「普通魔法石に貯められた魔力は、魔法使いが自分の魔法を強力にしたり補充したりするのに使ってるのは知ってるよな?」
ユアン達は頷いてみせる。
「そしてその魔力は、魔法石に魔力を込めた本人にしか反応しない」
常識だ。
「しかし俺たちは魔力を込めた魔法使いじゃない魔法使いや、さらには魔力が無い人間が使っても、閉じ込められた魔法を使えるようする研究しているんだ」
「「──なんだって!?」」
ユアンとキールが同時に驚きの声を上げる。
3人の中で1番背の高いチラシを渡した少年が自分たちの紹介を始める。
「こいつは、頭は良いが融通がきかない次男のアスタ」
彼はなぜか先ほどからずっとキールをにらみつけている。
「で、この1番かわいいのが、妹のアンリ」
「その節はご迷惑をおかけしました」
ペコリと頭を下げるアンリ。街で会った時はどちらかと言うと、化けの皮がはがれたアスタのような口調だったが、どうやらこちらが本当の彼女らしい。
銀髪に黒縁眼鏡に紫の瞳。アレクだけが他の二人に比べ少しだけ背が高い。それもこうして三人並んでいるからわかる程度の違いであって、それぞれバラバラで会ったら誰が誰だか区別をつけることは不可能だろう。
「よく、女の子だってわかったな」
「そりゃわかるさ」
「いや、普通わからないよ」
ぼそぼそとキールとつつく。だってあの時だって服は男性用の格好だったし、髪も男の子のように短く揃えられている。今だって、誰が誰だかユアンには区別がつかない。
「そういえば制服」
3人とも男子の制服だ。それもおかしな話なのだが、アレクとアスタは黒い魔法学部の制服を着ているのだが、アンリだけはなぜか行政学部の制服を着ているのだ。たまに魔力があるにもかかわらず、弱すぎて魔法学部に入らない生徒もいることにはいるが、街で出会ったのが本当に彼女なら、あれだけの風魔法を使える人物が魔法学部に入ってないのは、逆に監視の対象になりかねない。
「ボクに魔力はないよ」
顔に出てしまっていたのだろう、アンリが先に答える。
「えっ、だって君」
「とりあえず立ち話もなんだ、詳しくは席についてからにしよう」
アレクが指を鳴らすと、部屋の隅に置かれていた椅子と丸机が部屋の中央に移動してきた。
「君たちが不思議だと思うのも仕方ない」
促されるまま席に着く。
「これはなんだか知ってるかい?」
透き通るような透明な石。
「魔法石ですね」
「そうこれはまだ魔力が込められていない魔法石」
そう言うとアレクがその石を両手で握りしめた。
「で、今俺がそれに風の魔法を閉じ込めました」
そう言って見せてくれた魔法石は先ほどの無色透明から、アレクの手の中で緑色に変わっていた。
「普通魔法石に貯められた魔力は、魔法使いが自分の魔法を強力にしたり補充したりするのに使ってるのは知ってるよな?」
ユアン達は頷いてみせる。
「そしてその魔力は、魔法石に魔力を込めた本人にしか反応しない」
常識だ。
「しかし俺たちは魔力を込めた魔法使いじゃない魔法使いや、さらには魔力が無い人間が使っても、閉じ込められた魔法を使えるようする研究しているんだ」
「「──なんだって!?」」
ユアンとキールが同時に驚きの声を上げる。
0
お気に入りに追加
29
あなたにおすすめの小説

オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!
みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した!
転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!!
前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。
とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。
森で調合師して暮らすこと!
ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが…
無理そうです……
更に隣で笑う幼なじみが気になります…
完結済みです。
なろう様にも掲載しています。
副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。
エピローグで完結です。
番外編になります。
※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。

【完結】初級魔法しか使えない低ランク冒険者の少年は、今日も依頼を達成して家に帰る。
アノマロカリス
ファンタジー
少年テッドには、両親がいない。
両親は低ランク冒険者で、依頼の途中で魔物に殺されたのだ。
両親の少ない保険でやり繰りしていたが、もう金が尽きかけようとしていた。
テッドには、妹が3人いる。
両親から「妹達を頼む!」…と出掛ける前からいつも約束していた。
このままでは家族が離れ離れになると思ったテッドは、冒険者になって金を稼ぐ道を選んだ。
そんな少年テッドだが、パーティーには加入せずにソロ活動していた。
その理由は、パーティーに参加するとその日に家に帰れなくなるからだ。
両親は、小さいながらも持ち家を持っていてそこに住んでいる。
両親が生きている頃は、父親の部屋と母親の部屋、子供部屋には兄妹4人で暮らしていたが…
両親が死んでからは、父親の部屋はテッドが…
母親の部屋は、長女のリットが、子供部屋には、次女のルットと三女のロットになっている。
今日も依頼をこなして、家に帰るんだ!
この少年テッドは…いや、この先は本編で語ろう。
お楽しみくださいね!
HOTランキング20位になりました。
皆さん、有り難う御座います。

【完結】お父様。私、悪役令嬢なんですって。何ですかそれって。
紅月
恋愛
小説家になろうで書いていたものを加筆、訂正したリメイク版です。
「何故、私の娘が処刑されなければならないんだ」
最愛の娘が冤罪で処刑された。
時を巻き戻し、復讐を誓う家族。
娘は前と違う人生を歩み、家族は元凶へ復讐の手を伸ばすが、巻き戻す前と違う展開のため様々な事が見えてきた。

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します
怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。
本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。
彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。
世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。
喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。

婚約破棄?一体何のお話ですか?
リヴァルナ
ファンタジー
なんだかざまぁ(?)系が書きたかったので書いてみました。
エルバルド学園卒業記念パーティー。
それも終わりに近付いた頃、ある事件が起こる…
※エブリスタさんでも投稿しています
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

元ゲーマーのオタクが悪役令嬢? ごめん、そのゲーム全然知らない。とりま異世界ライフは普通に楽しめそうなので、設定無視して自分らしく生きます
みなみ抄花
ファンタジー
前世で死んだ自分は、どうやらやったこともないゲームの悪役令嬢に転生させられたようです。
女子力皆無の私が令嬢なんてそもそもが無理だから、設定無視して自分らしく生きますね。
勝手に転生させたどっかの神さま、ヒロインいじめとか勇者とか物語の盛り上げ役とかほんっと心底どうでも良いんで、そんなことよりチート能力もっとよこしてください。

強制力がなくなった世界に残されたものは
りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った
令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達
世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか
その世界を狂わせたものは
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる