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第一章 出会いからもう一度
三者三様
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「えー、俺が1番イケてる長男アレク・オルレアン」
3人の中で1番背の高いチラシを渡した少年が自分たちの紹介を始める。
「こいつは、頭は良いが融通がきかない次男のアスタ」
彼はなぜか先ほどからずっとキールをにらみつけている。
「で、この1番かわいいのが、妹のアンリ」
「その節はご迷惑をおかけしました」
ペコリと頭を下げるアンリ。街で会った時はどちらかと言うと、化けの皮がはがれたアスタのような口調だったが、どうやらこちらが本当の彼女らしい。
銀髪に黒縁眼鏡に紫の瞳。アレクだけが他の二人に比べ少しだけ背が高い。それもこうして三人並んでいるからわかる程度の違いであって、それぞれバラバラで会ったら誰が誰だか区別をつけることは不可能だろう。
「よく、女の子だってわかったな」
「そりゃわかるさ」
「いや、普通わからないよ」
ぼそぼそとキールとつつく。だってあの時だって服は男性用の格好だったし、髪も男の子のように短く揃えられている。今だって、誰が誰だかユアンには区別がつかない。
「そういえば制服」
3人とも男子の制服だ。それもおかしな話なのだが、アレクとアスタは黒い魔法学部の制服を着ているのだが、アンリだけはなぜか行政学部の制服を着ているのだ。たまに魔力があるにもかかわらず、弱すぎて魔法学部に入らない生徒もいることにはいるが、街で出会ったのが本当に彼女なら、あれだけの風魔法を使える人物が魔法学部に入ってないのは、逆に監視の対象になりかねない。
「ボクに魔力はないよ」
顔に出てしまっていたのだろう、アンリが先に答える。
「えっ、だって君」
「とりあえず立ち話もなんだ、詳しくは席についてからにしよう」
アレクが指を鳴らすと、部屋の隅に置かれていた椅子と丸机が部屋の中央に移動してきた。
「君たちが不思議だと思うのも仕方ない」
促されるまま席に着く。
「これはなんだか知ってるかい?」
透き通るような透明な石。
「魔法石ですね」
「そうこれはまだ魔力が込められていない魔法石」
そう言うとアレクがその石を両手で握りしめた。
「で、今俺がそれに風の魔法を閉じ込めました」
そう言って見せてくれた魔法石は先ほどの無色透明から、アレクの手の中で緑色に変わっていた。
「普通魔法石に貯められた魔力は、魔法使いが自分の魔法を強力にしたり補充したりするのに使ってるのは知ってるよな?」
ユアン達は頷いてみせる。
「そしてその魔力は、魔法石に魔力を込めた本人にしか反応しない」
常識だ。
「しかし俺たちは魔力を込めた魔法使いじゃない魔法使いや、さらには魔力が無い人間が使っても、閉じ込められた魔法を使えるようする研究しているんだ」
「「──なんだって!?」」
ユアンとキールが同時に驚きの声を上げる。
3人の中で1番背の高いチラシを渡した少年が自分たちの紹介を始める。
「こいつは、頭は良いが融通がきかない次男のアスタ」
彼はなぜか先ほどからずっとキールをにらみつけている。
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「その節はご迷惑をおかけしました」
ペコリと頭を下げるアンリ。街で会った時はどちらかと言うと、化けの皮がはがれたアスタのような口調だったが、どうやらこちらが本当の彼女らしい。
銀髪に黒縁眼鏡に紫の瞳。アレクだけが他の二人に比べ少しだけ背が高い。それもこうして三人並んでいるからわかる程度の違いであって、それぞれバラバラで会ったら誰が誰だか区別をつけることは不可能だろう。
「よく、女の子だってわかったな」
「そりゃわかるさ」
「いや、普通わからないよ」
ぼそぼそとキールとつつく。だってあの時だって服は男性用の格好だったし、髪も男の子のように短く揃えられている。今だって、誰が誰だかユアンには区別がつかない。
「そういえば制服」
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「ボクに魔力はないよ」
顔に出てしまっていたのだろう、アンリが先に答える。
「えっ、だって君」
「とりあえず立ち話もなんだ、詳しくは席についてからにしよう」
アレクが指を鳴らすと、部屋の隅に置かれていた椅子と丸机が部屋の中央に移動してきた。
「君たちが不思議だと思うのも仕方ない」
促されるまま席に着く。
「これはなんだか知ってるかい?」
透き通るような透明な石。
「魔法石ですね」
「そうこれはまだ魔力が込められていない魔法石」
そう言うとアレクがその石を両手で握りしめた。
「で、今俺がそれに風の魔法を閉じ込めました」
そう言って見せてくれた魔法石は先ほどの無色透明から、アレクの手の中で緑色に変わっていた。
「普通魔法石に貯められた魔力は、魔法使いが自分の魔法を強力にしたり補充したりするのに使ってるのは知ってるよな?」
ユアン達は頷いてみせる。
「そしてその魔力は、魔法石に魔力を込めた本人にしか反応しない」
常識だ。
「しかし俺たちは魔力を込めた魔法使いじゃない魔法使いや、さらには魔力が無い人間が使っても、閉じ込められた魔法を使えるようする研究しているんだ」
「「──なんだって!?」」
ユアンとキールが同時に驚きの声を上げる。
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