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第一章 出会いからもう一度
お悩みキール
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学術祭が近づくにつれ、皆浮き足始める。
キールへの心配事も消えたユアンも、もちろんその1人である。
メアリーとは、挨拶や立ち話ぐらいはするようになったとはいえ、まだまだ顔見知りレベル。
「前はたまたま会って、そのまま自然に一緒に見て回るぐらいに親しくなっていたのに……」
今回それは期待できない。
(体重は軽くなったのに、なんて恋のフットワークは重たいのだろう)
「今回は初めからちゃんと誘わなければ」
ユアンがそんな闘志を燃やしていると。
「なぁユアン、ちょっといいか?」
部屋に戻ってきたキールが神妙な面持ちで声をかけてきた。
いつも悩みなどなさそうなキールにしてはめずらしいことだった。
だが、すでにメアリーとの学園祭デート計画を妄想しているユアンはそれに気がつかない。
「ごめんキール、今からいかなければならないところがあるから、後でいいか」
「あっ、うん。わかった。大丈夫だ。俺の用事は急ぐものでもないし、行ってこい」
ニカリと笑うキールに、背中を押されユアンは、鼻息も荒く部屋を飛び出した。
「まあ、同じ生徒だし、そのうち見つかるだろう……」
去り行くユアンの背中にぼそりと呟く。
「しかし、ユアンはずいぶん積極的になったな」
そう言ってずいぶん頼もしくなった親友を見送るのであった。
キールへの心配事も消えたユアンも、もちろんその1人である。
メアリーとは、挨拶や立ち話ぐらいはするようになったとはいえ、まだまだ顔見知りレベル。
「前はたまたま会って、そのまま自然に一緒に見て回るぐらいに親しくなっていたのに……」
今回それは期待できない。
(体重は軽くなったのに、なんて恋のフットワークは重たいのだろう)
「今回は初めからちゃんと誘わなければ」
ユアンがそんな闘志を燃やしていると。
「なぁユアン、ちょっといいか?」
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いつも悩みなどなさそうなキールにしてはめずらしいことだった。
だが、すでにメアリーとの学園祭デート計画を妄想しているユアンはそれに気がつかない。
「ごめんキール、今からいかなければならないところがあるから、後でいいか」
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