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第一章 出会いからもう一度

買い出し

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「こんなもんかな」

 キールはメモ書きを見ながら、一通りの買い物を終えると「悪いな付き合わせて、お礼に何かおごるよ」と 既に両手いっぱいの荷物を抱えたユアンにまぶしい笑顔を向けた。

 ユアンがキールを守ると心に誓ってから2週間、特に何事も起こらなかった。
 そしてこの間「なあ今度の休みの日、クラスの出し物の手伝いで街に買い物に行かなきゃいけないんだけど、いっしょに行かないか」とキールに誘われた。ユアンは迷わず「行く!」と返事を返した。

 ──そして現在。

「初めから荷物持ちにするつもりだったんだろう」

 口を尖らせながら文句をたれる。

「だいたいなんで全部僕が持ってるんだよ、おかしいだろ」
「これもトレーニングの1つだよ『大切なものをすべて持って逃げれるぐらい力持ちになりたい』そうお願いしてきただろ」

 そういって笑うとキールはユアンの頭をポンポンと軽く叩きながら。

「団子10本おごってやるから、がんばれ」
「そうやってすぐ食い物で人をつって、まあトレーニングだというなら仕方なくもないが……」

 もごもごと口ごもりながら、結局承諾する。

 その時だった。突然キールがユアンの肩を自分の胸に引き寄せた。それと同時にさっきまでユアンの立っていた場所を、数人の男たちが走り抜ける。
 キールが引き寄せてくれなければ、ユアンは男たちに突き飛ばされていただろう。

「なんなんだよ今のは」
「悪いここで待っててくれ、俺ちょっと行ってくるよ」

 言うが早いか、キールが男たちの後を追ってかけだしていた。

「ちょっとキール待てよ!」

 一瞬呆然と立ち尽くしていたユアンだったが、ハッと現実にもどる。

(キールの怪我の原因はこれに違いない)

 そう直感した。ユアンは両手に荷物を抱えたまま、男たちを追いかけるキールを追いかけた。
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