【完結】二度目の人生、君ともう一度!〜彼女を守りたいだけなのに〜

トト

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第一章 出会いからもう一度

ローズマリーという令嬢

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 ローズマリーに子猫を預けてから1週間、里親が見つかったという連絡を受けた。
 里親になってくれた猫カフェの常連さんで、子猫を引き取ったあとも猫カフェにきては子猫の今の生活ぶりを話してくれてるらしい、そしてそれは従業員からローズマリーに、ローズマリーからユアンたちに伝えられた。

(里親を探してくれただけではなく、その後の様子も伝えてくれるなんて、なんてマメな令嬢なんだ)

『氷のような冷たい心の令嬢。平民は虫けらとしか思っていない。傲慢。嫌味な女』

 前の人生でローズマリーに関して色んな噂を聞いた。
 そしてそんな噂を耳にしてどれだけ自分も彼女のことを色眼鏡で見てきたか、同級生が自分の陰口を言ってるのを、見た目で人を差別する低俗な人間だと蔑んできたのに、まさに自分も昔は同じことをしてきたんだと、改めて突き付けられてる気がした。

(そういえば、僕はどんなことを言われて嫌だと思ったんだっけ?)

『肉ばかり食べて不健康ですわ』
『その贅肉は、少し落としたらよろしくないですの』
『学友一人もいないあなたに、私が話しかけてあげてるんですからもっと喜びなさい』

 そんな言葉を思い出す。

(そういえば、最近もよくローズマリーに話しかけられるようになったが)

『草しか食べれないほど貧乏ですの』
  そう言っては皿の上に肉をのせられ。

『筋肉ばかりつけて、暑苦しいですわ』
 そう言っては熱いひざしの日は、ランニングに行こうとすることを引き留めるられ。

『よほど学力に自信がおありですのね』
  眠りかけるユアンを譲り起こし、ノートを見せてくれた。

(あれ? なんかこれって……)

 今も昔も一見喧嘩を売ってるようにも聞こえるが、いや、言葉選びとしてはやはり間違っている気もするが、色眼鏡を置いて見てみれば、嫌味ではなくやさしさから出た言葉だというのがわかる。

 ──家柄も高く、先生方の評判も良い。それでいて容姿端麗。才色兼備。

 ただ生まれ持った家柄のせいか自然と出てくる命令口調。傲慢な口ぶり。
 怒っているわけではないけれど、ちょっとつり目がちなその目と、その奥に光るあの燃え上がるような真っ赤な瞳が、彼女の印象をきつい性格に見せてしまっている。
 その上であの素直でない言葉のチョイス、またそれがうまい具合に人のコンプレックスを刺激する。
 
「なんて残念なご令嬢なんだよ」

 同世代の時は気がつかなかったが、その口調も言葉も、今のユアンからしたら精一杯背伸びをしている、ちょっと強気な年相応な少女だった。
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