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第一章 出会いからもう一度
トレーニングは終わりを知らない
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子猫の一見以来、メアリーとは廊下で挨拶をかわすぐらいには仲良くなれた。しかしそれ以上の進展がないまま、前期は終わりをつげ、長期休暇中に入ってしまった。そしてほとんどの生徒が実家に帰るように、メアリーも実家に帰ってしまった。
そして、ユアンはというと……。
「あぁ、メアリー」
腕をプルプルさせながら、ユアンは絶望の叫びを上げる。
「集中しないと死ぬぞ! ユアン!」
実家の大きなベッドで久しぶりに羽をのばしていたユアンだったが、突然押しかけてきたキールに「いくぞ肉体改造強化訓練!」と無理やり連れ出され、なぜだか今、フーブル王国を囲むようにそびえる絶壁を登らされていた。
「無理、死ぬ、これ絶対死ぬやつ」
「お前ならできる!」
絶壁を登りきりハイテンションのキールを涙目で見上げる。痩せるという目標はほぼ達成した、メアリーを守るという目標はまだ力不足かもしれないが
「付き合う前に死んじゃうよ~」
ユアンの叫びは虚しくこだました。
※ ※ ※
──学園生活後期が始まった。
結局長期休暇の間中、キールの厳しい訓練から逃げられなかったユアンは
「キール・チェスター卿とそちらはユアン・ハーリング卿であってますか?」
寮長に二度見されるほどの変身を遂げていた。
「長く寮長を勤めてますが、この短期間で、よくここまで鍛えあげましたね」
寮に入った当初は、ぽっちゃり色白おぼちゃまだったユアンは、今ではキールと同じ、綺麗な小麦色の引き締まったボディに変わっていた。
幼さなさの残っていた顔立ちも、少年から青年に変わり始め、声変わりも始まった。
この長い休みの間にユアンとキールは13歳になっていた。
そして、ユアンはというと……。
「あぁ、メアリー」
腕をプルプルさせながら、ユアンは絶望の叫びを上げる。
「集中しないと死ぬぞ! ユアン!」
実家の大きなベッドで久しぶりに羽をのばしていたユアンだったが、突然押しかけてきたキールに「いくぞ肉体改造強化訓練!」と無理やり連れ出され、なぜだか今、フーブル王国を囲むようにそびえる絶壁を登らされていた。
「無理、死ぬ、これ絶対死ぬやつ」
「お前ならできる!」
絶壁を登りきりハイテンションのキールを涙目で見上げる。痩せるという目標はほぼ達成した、メアリーを守るという目標はまだ力不足かもしれないが
「付き合う前に死んじゃうよ~」
ユアンの叫びは虚しくこだました。
※ ※ ※
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「キール・チェスター卿とそちらはユアン・ハーリング卿であってますか?」
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「長く寮長を勤めてますが、この短期間で、よくここまで鍛えあげましたね」
寮に入った当初は、ぽっちゃり色白おぼちゃまだったユアンは、今ではキールと同じ、綺麗な小麦色の引き締まったボディに変わっていた。
幼さなさの残っていた顔立ちも、少年から青年に変わり始め、声変わりも始まった。
この長い休みの間にユアンとキールは13歳になっていた。
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