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第一章 出会いからもう一度

キール相談を受ける

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「誤解を解きたいが解き方がわからない?」

 いままで人に何を言われようが我関せず、我が道を突き進んでいるような幼馴染であるユアンが、人間関係の相談? 
 しばらくキールは自分の耳を疑った。

「で、何を誤解されたんだよ」

 気を取り直してもう一度訊ねる。

「いや、誤解かどうかもわからないんだけど」

 もごもごと歯切れの悪い語りで、団子事件のいきさつを聞いたキールは、思わずユアンの頬をつねり上げた。

「イタタっ、痛いよ、なにするんだよキール」
「いや、ユアンからまさか恋の相談をされるとは思わなくて」
「だからなんでそれで、つねるんだよ」
「いや夢かなって」

 それなら自分の頬をつねるだろ普通。ユアンにツッコまれる。

「まああれだな、たぶんカツアゲじゃなくて、ナンパだと思われた可能性はあるな」
「はぁ、ナンパ?」

 指摘されて初めてユアンがハッとした表情を見せた。
 ただ次に続いたキールの言葉には大きく首を横に振った。

「まあ女の子に囲まれてるの見せられ、やきもち焼かれたのかもな」

 ユアンが大層なため息を吐く。

「キールに相談したのが間違いだったよ」
「そうか? 的を得てると思うが」
「僕が女の子にもてないの知ってるだろ」

 キールはそれに対してキョトンと首を傾げる。

「いやいや、ユアン、いつの話をしてるんだよ。最近鏡みてるか? 今のユアンなら──」
「はいはい、ありがとうキール」

 まったく本気にしてない様子のユアンに、キールが少し呆れたように笑う。

「まあ。そうだな、しかしそうかユアンが恋ね」

 キールがまるで父親のような口ぶりで感慨にふける。

「鍛えてくれと言ってきた時から、何かあるんじゃないかとは思ってはいたが」

 何とも言えない生暖かいまなざしをユアンに向ける。
 するとユアンは少し罰が悪そうに頬を染め、もういいと部屋を飛び出していった。
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