【完結】二度目の人生、君ともう一度!〜彼女を守りたいだけなのに〜

トト

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第一章 出会いからもう一度

最悪の出会い方!?

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 夢でも走馬灯でもなく、現実だと受け入れてしまうと、すっと気持ちが楽になった。
 そして、昨日見たまだ幼さの残る可愛らしいメアリーの顔を思い浮かべる。
 
「可愛かったな」

 栗色のフワフワした髪、目があった時の引きつったような笑顔。

(引きつった…?)

 さっと血の気が引いた。

「最悪だっ! やばい、これは最悪な出会いかたをしてしまったのではないか!?」

 前の人生でも、ユアンとメアリーは洗礼パーティーで出会った。
 最後のカップケーキに手を同時に伸ばし、そしてお互い譲り合い、半分こした。子供らしい、なんとも微笑ましい思い出。
 そしてその後始まる学園生活で、お互いに食べることが好きだと言う共通点でよく同じ店で出会うことが多く、挨拶やちょっとした情報交換をするようになっていった、そして2学年になった時同じクラスになり、一緒に食事をしたり行動を共にするようになる。
 二人の馴れ初め。

 さっきまでのウキウキした気持ちが一瞬で吹き飛ぶ。
 目をつぶり昨日のことをよく思い出す。

 走って来たユアンに驚いて手を引っ込めるメアリー。
 息もたえだえに、カップケーキごしに目が合い引きつるメアリー。
 カップケーキを渡され、ポロポロと泣きだすユアンに脱兎の如く立ち去るメアリー。

 これでは誰がどう見ても、カップケーキ欲しさに全速力で走ってきて、最後のカップケーキを譲ってもらい、喜びのあまり泣いているただの食いしん坊少年。

「絶対そう思われてる!!」

 布団にいやぁーと言いながら飛び込む。
 さらに昨日の記憶が追い討ちをかけてくる。
 走馬灯だと思い込んでいたユアンは、メアリーにも会えたし、他にも心残りがないようにとテーブルに並べられていた、ありとあらゆる食べ物を食べられるだけ食べつくしたのだ。

「ぐあー!!!」

 枕を顔に押し付け雄叫びをあげベッドの上でのたうち回る。
 あの時は気にしなかったが、周りの子たちも遠巻きにそんな自分を見ていたことを思い出す。
 メアリーにも、同じような目で見られてたかも知れない。と思うと恥ずかしさで顔から火が出そうだ。

「印象最悪すぎるだろ!!」

 きっと彼女のユアンに対する第一印象は、『食い意地が張ったデブ』になっているに違いない。

「これは次会う時までに、汚名返上しなくては」

 堅く心に誓うように叫ぶ。

「『食い意地が張ったデブ』なんて嫌だ!! ダイエットして格好いいって思われるんだ」
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