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三人の思惑
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「ミハイル殿下ですって」
それならばダニーが断れるはずもないし、疑わなかったのも頷ける。
だが、なぜミハイル殿下がここで出てくるのだ。
「ディア様だけでも信じられないのに、なんで殿下まで」
アリナも言葉を失っている。
ミハイルが出てきたいじょう、いままでと同じように直接本人に聞くわけにもいかない、それにミハイルはローラが聖女になって魔力量が増えたことを知っている数少ない人物の一人である、その彼が、ローラにわたるよう魔晶石をディアがダニーに渡しているのを見れば、止めるはずだ、それをとめなかったということは、彼もこの計画の一員であるということである。
「確かに、私は皇太子妃にもミハイルにも興味はないとはいってけど、命を狙われなくちゃならない理由がわからないわ」
さすがにいつも強気なローラも、意気消沈している。
「あの、さっきから、命を狙われるって、どうしてたかが魔晶石で」
ダニーがオロオロしながらそういった。
アリナは今までのことをダニーに説明した。体を入れ替わってたことも含めて。
※ ※ ※
「そんなことが……」
「……えっ、じゃあローラ様が黒魔法に感心を持っていたのも」
「そう呪いについて探るため」
「最近やけに熱心に僕の話を聞いてくれていたのは」
「私じゃなく、アリナね」
ポッとダニーに頬が赤くなる。
「なんだ、やっぱり、そうだったんだ。なんだ、僕は──」
照れ笑いを浮かべるダニーにアリナもダニーが考えてることが伝わったのか、頬を染める。
「ほら、そこ。二人でいい感じのところ悪いけれど、今は私の問題に付き合ってもらえませんか」
拗ねた子供のように二人の間に割って入る。
「殿下とディア様も、魔晶石を聖女が飲むとそんなことになるとは知らなかったと思います」
まあどんな文献にも載ってないことだし、たぶんそうなのだろう。
「あぁ、じゃあ私の体質のせいだからもう追及するなというの」
ブスッと頬を膨らます。
確かに相手がいたずらな気持ち、または何かを企んでしたこととは言え命まで狙った行為ではなかったとしても、やられた本人はたまったものではない。
偶然とはいえ危うく命の危険さえあったのだ。
「でも、このことを皇帝陛下に話したら」
下手をすると、聖女殺人未遂で、皇太子とは言え王位継承権を失うかもしれない。ウラジオス家は良くて取りつぶしだろう。
「それは僕としても困る」
ミハイルには年の離れた弟はいるが、弟はまだ三歳にもみたない、とても王位を継げる年齢ではない。そうすると皇帝がダニーを認知する可能性がでてくるのだ。
「いいじゃない、皇帝になれるのよ」
「「よくない」」
ダニーとアリナが同時に叫ぶ。
思わず二人で顔を見合わせてまた頬を染める。
「何が問題なのよ、どうせ皇太子妃候補は変わらないのだから、アリナがなればいいじゃない」
「私は皇太子妃にはなりたくないし、今から人気を集める自信はないわ」
「僕は皇太子なんかになりたくないです、僕はもっと魔法について研究したいし、アリナにもその研究を一緒に手伝って欲しい。アリナが皇太子妃になれないというわけではなく、今のまま研究員の一人であるアリナが僕は好きなんです」
「ダニー」
「はいはい、そうですか」
見詰めある二人に呆れながらも、笑みが浮かぶ。
「あぁ、でも一言文句くらいいってもいいよね、それになぜそんなことをしたかの理由もはっきりしないし」
「そうだね、確かに聖女になったせいで、ローラが第一有力候補にはなったけど、ディアがそこまで皇太子妃になりたかったとは、おもわなかった。それに殿下も知っていたとなると、実は二人はすでに両想いだったとか」
でもいくら思い浮かべても、ディアの殿下に対する態度は恋する乙女には見えなかった。殿下もディアに対して、恋人というより友人に接するような態度だった。
「とりあえず、二人に文句をいいに行きましょう」
それならばダニーが断れるはずもないし、疑わなかったのも頷ける。
だが、なぜミハイル殿下がここで出てくるのだ。
「ディア様だけでも信じられないのに、なんで殿下まで」
アリナも言葉を失っている。
ミハイルが出てきたいじょう、いままでと同じように直接本人に聞くわけにもいかない、それにミハイルはローラが聖女になって魔力量が増えたことを知っている数少ない人物の一人である、その彼が、ローラにわたるよう魔晶石をディアがダニーに渡しているのを見れば、止めるはずだ、それをとめなかったということは、彼もこの計画の一員であるということである。
「確かに、私は皇太子妃にもミハイルにも興味はないとはいってけど、命を狙われなくちゃならない理由がわからないわ」
さすがにいつも強気なローラも、意気消沈している。
「あの、さっきから、命を狙われるって、どうしてたかが魔晶石で」
ダニーがオロオロしながらそういった。
アリナは今までのことをダニーに説明した。体を入れ替わってたことも含めて。
※ ※ ※
「そんなことが……」
「……えっ、じゃあローラ様が黒魔法に感心を持っていたのも」
「そう呪いについて探るため」
「最近やけに熱心に僕の話を聞いてくれていたのは」
「私じゃなく、アリナね」
ポッとダニーに頬が赤くなる。
「なんだ、やっぱり、そうだったんだ。なんだ、僕は──」
照れ笑いを浮かべるダニーにアリナもダニーが考えてることが伝わったのか、頬を染める。
「ほら、そこ。二人でいい感じのところ悪いけれど、今は私の問題に付き合ってもらえませんか」
拗ねた子供のように二人の間に割って入る。
「殿下とディア様も、魔晶石を聖女が飲むとそんなことになるとは知らなかったと思います」
まあどんな文献にも載ってないことだし、たぶんそうなのだろう。
「あぁ、じゃあ私の体質のせいだからもう追及するなというの」
ブスッと頬を膨らます。
確かに相手がいたずらな気持ち、または何かを企んでしたこととは言え命まで狙った行為ではなかったとしても、やられた本人はたまったものではない。
偶然とはいえ危うく命の危険さえあったのだ。
「でも、このことを皇帝陛下に話したら」
下手をすると、聖女殺人未遂で、皇太子とは言え王位継承権を失うかもしれない。ウラジオス家は良くて取りつぶしだろう。
「それは僕としても困る」
ミハイルには年の離れた弟はいるが、弟はまだ三歳にもみたない、とても王位を継げる年齢ではない。そうすると皇帝がダニーを認知する可能性がでてくるのだ。
「いいじゃない、皇帝になれるのよ」
「「よくない」」
ダニーとアリナが同時に叫ぶ。
思わず二人で顔を見合わせてまた頬を染める。
「何が問題なのよ、どうせ皇太子妃候補は変わらないのだから、アリナがなればいいじゃない」
「私は皇太子妃にはなりたくないし、今から人気を集める自信はないわ」
「僕は皇太子なんかになりたくないです、僕はもっと魔法について研究したいし、アリナにもその研究を一緒に手伝って欲しい。アリナが皇太子妃になれないというわけではなく、今のまま研究員の一人であるアリナが僕は好きなんです」
「ダニー」
「はいはい、そうですか」
見詰めある二人に呆れながらも、笑みが浮かぶ。
「あぁ、でも一言文句くらいいってもいいよね、それになぜそんなことをしたかの理由もはっきりしないし」
「そうだね、確かに聖女になったせいで、ローラが第一有力候補にはなったけど、ディアがそこまで皇太子妃になりたかったとは、おもわなかった。それに殿下も知っていたとなると、実は二人はすでに両想いだったとか」
でもいくら思い浮かべても、ディアの殿下に対する態度は恋する乙女には見えなかった。殿下もディアに対して、恋人というより友人に接するような態度だった。
「とりあえず、二人に文句をいいに行きましょう」
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