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アリナたち、犯人を追う
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──ダニー・キリリチェフ
いつからいたのか、彼はアリナの父親の研究所にいつのころからか出入りするようになっていた。でも決して屋敷の中に入って来ることはなく、誰かと仲良く談笑する姿も見たことがなかった。
まだ母親が生きていた時、アリナは母と共に父の研究所にお弁当を持っていくときに、そんな彼に気がついた。
歳はアリナより二つ上と同じ、まだ自分の力に目覚めてなく、誰にでも笑顔を向けることができたアリナは、屋敷にいる人と同じように、彼にも笑顔で話しかけた。
初めこそそんなアリナを避けていたダニーだったが、いつしか、彼も彼女といる時間を楽しみにするようになっていった。そしてそのころから、彼の魔法に関する才能は開花していった。
彼が新しい術を作り出すたびに、アリナも一緒に喜んだ。
彼がどうして父の研究所に預けられたのか、彼の出生などアリナにはどうでもよかった、ただ彼が、彼が作り出す黒魔法に魅了された。
そしてアリナも黒魔法の研究に一緒にハマっていった。
「ダニーは王の私生児よ。正式には認められていないけど、もし王様が認めたら、継承権は第二位になるわ」
ローラが言った。
「そんなわけ。ダニーは平民よ。父に黒魔法の才能を見初められて、うちに来たって」
アリナが首を振る、ローラもはじめは信じられなかったが、今回の呪いで色々調べてるうちにその事実を知ってしまったらしい。
「でも髪の色だって」
王族はみな輝くばかりの金色をしている。
「髪なんてどうとでも染められるわよ」
「だからといって、どうしてダニーがローラにそんなことをする必要があるのよ」
たとえダニーが王族だとしても、ローラを陥れてダニーに利になることが分からない。
二人のただならぬ様子に、いつも口を挟んでくるリズも大人しくしている。
「ここで話しててもらちが明かないわ。私ダニーに聞いてくる」
アリナはそういうと走り出した。
いつからいたのか、彼はアリナの父親の研究所にいつのころからか出入りするようになっていた。でも決して屋敷の中に入って来ることはなく、誰かと仲良く談笑する姿も見たことがなかった。
まだ母親が生きていた時、アリナは母と共に父の研究所にお弁当を持っていくときに、そんな彼に気がついた。
歳はアリナより二つ上と同じ、まだ自分の力に目覚めてなく、誰にでも笑顔を向けることができたアリナは、屋敷にいる人と同じように、彼にも笑顔で話しかけた。
初めこそそんなアリナを避けていたダニーだったが、いつしか、彼も彼女といる時間を楽しみにするようになっていった。そしてそのころから、彼の魔法に関する才能は開花していった。
彼が新しい術を作り出すたびに、アリナも一緒に喜んだ。
彼がどうして父の研究所に預けられたのか、彼の出生などアリナにはどうでもよかった、ただ彼が、彼が作り出す黒魔法に魅了された。
そしてアリナも黒魔法の研究に一緒にハマっていった。
「ダニーは王の私生児よ。正式には認められていないけど、もし王様が認めたら、継承権は第二位になるわ」
ローラが言った。
「そんなわけ。ダニーは平民よ。父に黒魔法の才能を見初められて、うちに来たって」
アリナが首を振る、ローラもはじめは信じられなかったが、今回の呪いで色々調べてるうちにその事実を知ってしまったらしい。
「でも髪の色だって」
王族はみな輝くばかりの金色をしている。
「髪なんてどうとでも染められるわよ」
「だからといって、どうしてダニーがローラにそんなことをする必要があるのよ」
たとえダニーが王族だとしても、ローラを陥れてダニーに利になることが分からない。
二人のただならぬ様子に、いつも口を挟んでくるリズも大人しくしている。
「ここで話しててもらちが明かないわ。私ダニーに聞いてくる」
アリナはそういうと走り出した。
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