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アリナ、入れ替わりを解除する

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「ふう」

 久しぶりの自分の体は逆少し重たく、動きづらく感じた。

「ローラ、これどういうことよ」

 明らかに、ふっくらした頬とお腹周りに手を当てローラを睨みつける。

「だって、あなた一人暮らしだから、誰にも咎められることもないから」

 ここぞとばかりに、外食三昧をしていたらしい。

「だからって」

 こんなに太ったらダニーに嫌われちゃう。

「大丈夫よ、男なんて本当はちょっとぽっちゃりしてる女性の方が好きらしいわよ」

 スレンダー美人に言われても説得力に欠ける。

「人の体だと思って」
「まあまあ、元に戻って食事量も戻れば、すぐに元通りになるわよ」

 今にも魔法で攻撃してきそうなアリナをなだめるように、ローラが早口で言う。

「それより、呪いが解けたことをお父様とお母様に報告したいわ」
「お母様……」

 自分に向けられているものではないとわかっていても、ローラの母親から向けられていた愛情深い眼差しを思い出し、その美しい瞳にさしていた憂いが晴れるのだとおもうと、アリナもうれしくて胸が熱くなった。

「そうね、お母様……、エルモレンコ夫人に教えてあげましょう」

 ※ ※ ※

「あぁ、なんてことなの、本当に、本当にありがとうございます」

 流れる涙を縫うぐ事なせず、ローラに抱きついてその体を胸に抱きしめながら、エルモレンコ夫人は何度もアリナにお礼を述べた。

「この御恩は、エルモレンコの名に懸けて生涯返していきますわ」

「いえ、私は友人としてローラの力になりたかっただけです。本当に呪いが解けてよかったです」

 脅されて始まった関係だったが、今では本当にローラは大切な友達で、助けたい人物なのには間違いなかった。
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