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アリナ、総合的に考える

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「話した感じ、ディア様は皇太子妃になりたくないわけではないけれど、積極的になりたい感じもしないし、人を呪うような人とはやはり思えない」

 全ての犯人候補者と接触した結果、アリナはそう結論付けた。

「私だってそう思いたいわよ」
「そもそも初めからこの中にいないんじゃない」
「…………」
「たまたまローラの聖女が確定したタイミングで事件が起きただけで、皇太子妃候補ではなく聖女狙いとか、またはローラが」

 標的だった。はさすがに言葉を飲み込んだ。

「そうね、私個人を狙うような人もいないわけではないし」

 睨まれたアリナは罰が悪そうに乾いた笑みを浮かべた。

「呪いにかかる前に、怪しい人とかいなかった」

 慌てて話題をそらす。

「いつ呪いにかかったかはわからないの」
「たぶん」

 最終候補者に残ったメンバーが集められた最後の顔合わせ。
 あの夜体調を崩して寝込んで、そのまま今に至る。

「ローラの方は進展はあったの?」
「私も探り入れてみたけどあまり変わりないわ。まあ多少自分のことをみんながどう思ってるかわかったぐらいよ」

 鼻で笑いながらそう報告する。

「あとはアリナの家の書籍をいくつか読ませてもらったけど、私に少し難しいものが多いわ。今度一緒に見てよ」
「わかった。あと、私も色々試したのだけど、もしかしてこの呪い解けるかも」
「えっ」

 あれだけ書物をあさったのになんの手がかりも見つけられなかったことを、アリナはどうしてそんな結論にいたったのか、ローラが目を丸くする。

「今試してるんだけど、まだ断言はできないけど、もう少ししたらわかるわ」
「本当に、やっぱアリナは天才ね」
「そんなこと」

 頬を赤らめながら下を向く。

 ※ ※ ※

「やっぱり」

 アリナはその夜ベッドの上で一人そう呟いた。

 あれから体の中でおかしな反応を示しているところに集中して、そこのマナだけを体を循環させるのではなく、腹のある一点に集めていた。
 そして集まったマナを、包み込む。
 包み込んだそれを体から出そうとしたがうまくいかない。でもそれはマナが排出されたないのではなく、何か別のものにマナがくっついているかだと気がついた。そしてそれらはどうやら胃に集まっているようだ。なので胃から口の方に持ってくるよう意識を集める。そして

「クッ、ゴホゴホ」

 アリナはゴミ箱に顔を突っ込むとそれをそこに吐き出した。

「これは」

 透明な膜で覆われて出てきた、赤い粒。
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