41 / 53
アリナ、総合的に考える
しおりを挟む
「話した感じ、ディア様は皇太子妃になりたくないわけではないけれど、積極的になりたい感じもしないし、人を呪うような人とはやはり思えない」
全ての犯人候補者と接触した結果、アリナはそう結論付けた。
「私だってそう思いたいわよ」
「そもそも初めからこの中にいないんじゃない」
「…………」
「たまたまローラの聖女が確定したタイミングで事件が起きただけで、皇太子妃候補ではなく聖女狙いとか、またはローラが」
標的だった。はさすがに言葉を飲み込んだ。
「そうね、私個人を狙うような人もいないわけではないし」
睨まれたアリナは罰が悪そうに乾いた笑みを浮かべた。
「呪いにかかる前に、怪しい人とかいなかった」
慌てて話題をそらす。
「いつ呪いにかかったかはわからないの」
「たぶん」
最終候補者に残ったメンバーが集められた最後の顔合わせ。
あの夜体調を崩して寝込んで、そのまま今に至る。
「ローラの方は進展はあったの?」
「私も探り入れてみたけどあまり変わりないわ。まあ多少自分のことをみんながどう思ってるかわかったぐらいよ」
鼻で笑いながらそう報告する。
「あとはアリナの家の書籍をいくつか読ませてもらったけど、私に少し難しいものが多いわ。今度一緒に見てよ」
「わかった。あと、私も色々試したのだけど、もしかしてこの呪い解けるかも」
「えっ」
あれだけ書物をあさったのになんの手がかりも見つけられなかったことを、アリナはどうしてそんな結論にいたったのか、ローラが目を丸くする。
「今試してるんだけど、まだ断言はできないけど、もう少ししたらわかるわ」
「本当に、やっぱアリナは天才ね」
「そんなこと」
頬を赤らめながら下を向く。
※ ※ ※
「やっぱり」
アリナはその夜ベッドの上で一人そう呟いた。
あれから体の中でおかしな反応を示しているところに集中して、そこのマナだけを体を循環させるのではなく、腹のある一点に集めていた。
そして集まったマナを、包み込む。
包み込んだそれを体から出そうとしたがうまくいかない。でもそれはマナが排出されたないのではなく、何か別のものにマナがくっついているかだと気がついた。そしてそれらはどうやら胃に集まっているようだ。なので胃から口の方に持ってくるよう意識を集める。そして
「クッ、ゴホゴホ」
アリナはゴミ箱に顔を突っ込むとそれをそこに吐き出した。
「これは」
透明な膜で覆われて出てきた、赤い粒。
全ての犯人候補者と接触した結果、アリナはそう結論付けた。
「私だってそう思いたいわよ」
「そもそも初めからこの中にいないんじゃない」
「…………」
「たまたまローラの聖女が確定したタイミングで事件が起きただけで、皇太子妃候補ではなく聖女狙いとか、またはローラが」
標的だった。はさすがに言葉を飲み込んだ。
「そうね、私個人を狙うような人もいないわけではないし」
睨まれたアリナは罰が悪そうに乾いた笑みを浮かべた。
「呪いにかかる前に、怪しい人とかいなかった」
慌てて話題をそらす。
「いつ呪いにかかったかはわからないの」
「たぶん」
最終候補者に残ったメンバーが集められた最後の顔合わせ。
あの夜体調を崩して寝込んで、そのまま今に至る。
「ローラの方は進展はあったの?」
「私も探り入れてみたけどあまり変わりないわ。まあ多少自分のことをみんながどう思ってるかわかったぐらいよ」
鼻で笑いながらそう報告する。
「あとはアリナの家の書籍をいくつか読ませてもらったけど、私に少し難しいものが多いわ。今度一緒に見てよ」
「わかった。あと、私も色々試したのだけど、もしかしてこの呪い解けるかも」
「えっ」
あれだけ書物をあさったのになんの手がかりも見つけられなかったことを、アリナはどうしてそんな結論にいたったのか、ローラが目を丸くする。
「今試してるんだけど、まだ断言はできないけど、もう少ししたらわかるわ」
「本当に、やっぱアリナは天才ね」
「そんなこと」
頬を赤らめながら下を向く。
※ ※ ※
「やっぱり」
アリナはその夜ベッドの上で一人そう呟いた。
あれから体の中でおかしな反応を示しているところに集中して、そこのマナだけを体を循環させるのではなく、腹のある一点に集めていた。
そして集まったマナを、包み込む。
包み込んだそれを体から出そうとしたがうまくいかない。でもそれはマナが排出されたないのではなく、何か別のものにマナがくっついているかだと気がついた。そしてそれらはどうやら胃に集まっているようだ。なので胃から口の方に持ってくるよう意識を集める。そして
「クッ、ゴホゴホ」
アリナはゴミ箱に顔を突っ込むとそれをそこに吐き出した。
「これは」
透明な膜で覆われて出てきた、赤い粒。
0
お気に入りに追加
41
あなたにおすすめの小説
身代わりの公爵家の花嫁は翌日から溺愛される。~初日を挽回し、溺愛させてくれ!~
湯川仁美
恋愛
姉の身代わりに公爵夫人になった。
「貴様と寝食を共にする気はない!俺に呼ばれるまでは、俺の前に姿を見せるな。声を聞かせるな」
夫と初対面の日、家族から男癖の悪い醜悪女と流され。
公爵である夫とから啖呵を切られたが。
翌日には誤解だと気づいた公爵は花嫁に好意を持ち、挽回活動を開始。
地獄の番人こと閻魔大王(善悪を判断する審判)と異名をもつ公爵は、影でプレゼントを贈り。話しかけるが、謝れない。
「愛しの妻。大切な妻。可愛い妻」とは言えない。
一度、言った言葉を撤回するのは難しい。
そして妻は普通の令嬢とは違い、媚びず、ビクビク怯えもせず普通に接してくれる。
徐々に距離を詰めていきましょう。
全力で真摯に接し、謝罪を行い、ラブラブに到着するコメディ。
第二章から口説きまくり。
第四章で完結です。
第五章に番外編を追加しました。
私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?
新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。
※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!
竜人のつがいへの執着は次元の壁を越える
たま
恋愛
次元を超えつがいに恋焦がれるストーカー竜人リュートさんと、うっかりリュートのいる異世界へ落っこちた女子高生結の絆されストーリー
その後、ふとした喧嘩らか、自分達が壮大な計画の歯車の1つだったことを知る。
そして今、最後の歯車はまずは世界の幸せの為に動く!
ついうっかり王子様を誉めたら、溺愛されまして
夕立悠理
恋愛
キャロルは八歳を迎えたばかりのおしゃべりな侯爵令嬢。父親からは何もしゃべるなと言われていたのに、はじめてのガーデンパーティで、ついうっかり男の子相手にしゃべってしまう。すると、その男の子は王子様で、なぜか、キャロルを婚約者にしたいと言い出して──。
おしゃべりな侯爵令嬢×心が読める第4王子
設定ゆるゆるのラブコメディです。
どうして私にこだわるんですか!?
風見ゆうみ
恋愛
「手柄をたてて君に似合う男になって帰ってくる」そう言って旅立って行った婚約者は三年後、伯爵の爵位をいただくのですが、それと同時に旅先で出会った令嬢との結婚が決まったそうです。
それを知った伯爵令嬢である私、リノア・ブルーミングは悲しい気持ちなんて全くわいてきませんでした。だって、そんな事になるだろうなってわかってましたから!
婚約破棄されて捨てられたという噂が広まり、もう結婚は無理かな、と諦めていたら、なんと辺境伯から結婚の申し出が! その方は冷酷、無口で有名な方。おっとりした私なんて、すぐに捨てられてしまう、そう思ったので、うまーくお断りして田舎でゆっくり過ごそうと思ったら、なぜか結婚のお断りを断られてしまう。
え!? そんな事ってあるんですか? しかもなぜか、元婚約者とその彼女が田舎に引っ越した私を追いかけてきて!?
おっとりマイペースなヒロインとヒロインに恋をしている辺境伯とのラブコメです。ざまぁは後半です。
※独自の世界観ですので、設定はゆるめ、ご都合主義です。
王子殿下の慕う人
夕香里
恋愛
エレーナ・ルイスは小さい頃から兄のように慕っていた王子殿下が好きだった。
しかし、ある噂と事実を聞いたことで恋心を捨てることにしたエレーナは、断ってきていた他の人との縁談を受けることにするのだが──?
「どうして!? 殿下には好きな人がいるはずなのに!!」
好きな人がいるはずの殿下が距離を縮めてくることに戸惑う彼女と、我慢をやめた王子のお話。
※小説家になろうでも投稿してます
お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。
下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。
またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。
あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。
ご都合主義の多分ハッピーエンド?
小説家になろう様でも投稿しています。
【電子書籍化進行中】声を失った令嬢は、次期公爵の義理のお兄さまに恋をしました
八重
恋愛
※発売日少し前を目安に作品を引き下げます
修道院で生まれ育ったローゼマリーは、14歳の時火事に巻き込まれる。
その火事の唯一の生き残りとなった彼女は、領主であるヴィルフェルト公爵に拾われ、彼の養子になる。
彼には息子が一人おり、名をラルス・ヴィルフェルトといった。
ラルスは容姿端麗で文武両道の次期公爵として申し分なく、社交界でも評価されていた。
一方、怠惰なシスターが文字を教えなかったため、ローゼマリーは読み書きができなかった。
必死になんとか義理の父や兄に身振り手振りで伝えようとも、なかなか伝わらない。
なぜなら、彼女は火事で声を失ってしまっていたからだ──
そして次第に優しく文字を教えてくれたり、面倒を見てくれるラルスに恋をしてしまって……。
これは、義理の家族の役に立ちたくて頑張りながら、言えない「好き」を内に秘める、そんな物語。
※小説家になろうが先行公開です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる