【完結】呪われ聖女と入れ替わり令嬢~拗らせ片思い~

トト

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アリナ、リズと遭遇する1

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「ローラ嬢今日こそ勝負だ! ん?  そこにいるのはアリナ嬢ではないか。これはちょうどいい、アリナ嬢、いつもいつも私の挑戦を無視して。二人とも勝負しろ!」

 ローラとそんな話をして数日、アリナはリズがどんな人物か興味をもったことを後悔した。

「リズ。何度も言いますが。私はあなたと勝負する気はありません」

 ローズになり切ってきっぱりとアリナがいう。
 教会はもう目の前だというのに、行く手を阻むように立ちふさがるリズのせいで教会までたどり着けない。
 こっちは魔法を維持しながら午前の授業を無事終えて、疲労困憊しているというのに。

「なんだ、なら負けを認めるのか」

 いっそ認めてしまえば早いのだが、ローラもそれは認めたくないらしくいままでのらりくらりと交わしてきたのだ、それを勝手にアリナが決めるわけにはいかない。

 平時に合えば少し幼く可愛らしいリズの顔にアリナも、少しときめいたかもしれない、しかしバレやしないかと気を遣いながら、そして学園でのローラを演じながら、魔力を自分の体に定着し続けなければならないのだ、ようやくお昼休みに結界のはってある教会で一休みできると思ったのに、もう魔力を維持するのも限界に近かったアリナには、今はリズは子憎たらしくさえ思える。

「リズ、様。僭越ながらローラ様は今からお祈りの時間に入られます。ここはお引き取りください」
「なんでアリナ嬢が答えるのだ。私は今ローラ嬢と話しているのに」
「すみません。ならば、一度ローラ様を教会に連れて行ってから、私と勝負しませんか」
「アリナ嬢と」

 いままでさんざん逃げられてきたアリナからの申し出に、リズの関心が一気にアリナに向いた。
 しかし驚いたのはリズだけではない、アリナは無言でローラを見やる。

「────」
「大丈夫です」

 それに、アリナの顔をしたずローラが自信ありげに微笑み返す。

「怪我などしませんから」

(いや、そういう問題じゃなくて。さんざん自分は誤魔化してきたくせに、まさかアリナの姿でリズをこてんぱにはしませんよね)

 不安が顔にでる。

「いままで逃げまわっていた人が、今日は強気だな」

 うれしそうにリズが好戦的な笑みを浮かべる。

『アリナ大丈夫です。これでもいくつかの黒魔法もマスターしてるから、少し相手するだけだから。それより早く結界の中に入らないと、魔力が切れてしまうわよ』

 ローラがアリナの耳元でささやく。

「皇太子妃とは、国で一番偉い女性、そして国を影で支える人物。そんな女性は国で誰よりも強くあるべきだ」

 リズが叫ぶ。

「だからもし、私に勝つことができたなら、私は喜んでアリナ嬢を皇太子妃として推薦しましょう」

 わけのわからない自分勝手な考えで、迷惑でしかない提案を押し付けてきたリズに、アリナが青ざめる。
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