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アリナ、考える3

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「リズは、勝負方法はいつも真っ向勝負」
「真っ向勝負」
「そう、別に私が聖女に選ばれる前から、皇太子妃候補に名があがったみんなに、勝負を挑んでるのよ。アリナは挑まれてないの」

 そういえば、記憶の片隅で、いつも誰かに呼び止められそうな気配を感じるたびに、脱兎のごとく逃げていた時期があった。

「私を呼び止めていたのは、リズ様だったのね」

 よく逃げれたわねと、変なところに感心される。

「気配を消すのは得意なの」

 照れたように頬を掻く。

「で、どんな勝負を挑んでくるの」
「もちろん、皇太子妃をかけた決闘よ」
「決闘!」
「だって相手はまかりなりにも、赤い騎士団団長の娘で、剣の天才って呼ばれている令嬢よね」

 捕まらなくて良かったと、心から思う。

「まあ、でも彼女、確かに剣の腕はいいけど、動きが単純だから、数回見れば、すぐ見切れるようになるわよ」
「いやいや。そんなわけないじゃない」

 おもわずツッコみを入れる。

「じゃあ、ローラが勝ったのね」
「いえ、勝ったら勝ったらで、面倒そうだから、私もいつも切りのいいところで逃げてたわ」
「それで余計に付きまとわれるんじゃ」
「いいのよ、下手に勝ってリズが私を皇太子妃候補に推薦でもしたら、もっと大変だもの」

 最終候補者に残ったものは、怪我や不妊などやむなき事柄が判明し皇太子妃になれないとなった場合、自分より優れている者を推薦することができる。その時推薦された者は、推薦したものの支持者も一緒に得られるので一発逆転が狙えるのだ。
 だがいままでの歴史上推薦者が現れたことはない。

「だから彼女はこんな呪いなんてもので人を蹴落とすような人物ではないわ。そんなこと考えもつかないだろうし」

 褒めているのか貶しているのかその口調からは読み取れない。

「でも、だからといってライザ様ですよ。あの誰にでもやさしい、まさに聖女のような」

 そこでハッと口元を押さえる。
 本物の聖女に向かって、これではまるで、あなたが偽物です。といっているようなものである、しかしローラはそんなこと気にする様子もない。
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