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アリナ、ダニー・キリリチェフと会う1

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「今日はこれぐらいにしときましょう」

 すでに暗くなってきた窓の外をみてローラがそういった。
 それから夕食を共にしてローラは帰っていった。

「明日も休んじゃおうかな」

 今日の練習で疲れたこともあったが、学友たちと親し気に話している自分の姿をみるのにはまだ心の準備が足りてないようだった。

「うん、明日も……」

 そうしてアリナは深い眠りに落ちていった。

 ※ ※ ※

「ローラお嬢様。ローラお嬢様」
「誰よ、私はローラ……」

 じゃないと。と口に出しそうになったところで、目が覚めた。

「おはようございます。ローラお嬢様」
「おはよう、でも今日も休むって私言わなかったかしら」

 なるべく不機嫌そうに自分を起こした執事に向かって口を開く。
 ローラの真似もだいぶ板についてきたと内心ほくそ笑む。

「承知しております。ローラお嬢様。しかし、今門の前に、お嬢様から頼まれごとをされたという方がお見えです」

 約束があるなど聞いてないよ。と心の中でローラに愚痴りながら。「誰なの?」と問いかける。

「ダニー・キリリチェフ様です」
「ダニー!」

 思わず大きな声をだしてしまい、慌てて口を押える。

「わかったわ。でも少し待ってもらってて」
「わかりました」

 執事と入れ替わるようにメイドが入って来る。

「どのような、ドレスを召されますか?」
「ど、どのようにすればいいでしょう?」
「?」

 知らずに漏れた心の声に、メイドがキョトンとした顔をする。

「とりあえず、可愛くして頂戴」

 慌てて言い直すが、もう心臓がバクバクでそれ以上頭が回らなかった。

 ダニーにおかしな魔法を使って近づいてきたローラを威嚇したのは、ダニーは大切な研究者仲間で、兄弟のように育ってきた間柄だからだと、アリナはそう思ってきた、いや思い込もうとしてきたのに。

(ローラが変なこというから)

 変に意識してしまう。

(なに意識してるのよ。それにダニーは私じゃなくて、ローラに会いに来たのよ。その理由も知ってるじゃない)
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