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出会い
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父が連れてきた青年は瑞月といった。
「朝陽、この子は平野瑞月だ。 今日から一緒に暮らす。 良くしてやってくれ」
瑞月は白い肌にすんなりとした華奢な体躯を持つ青年だった。背丈は今年18歳になる朝陽よりも少し低い。
「今日からよろしく、朝陽」
「……よろしく」
差し出された瑞月の手は想像と違わずほっそりとしていた。朝陽よりも年上の男のものとは思えないほど滑らかな手で、以前、偶然触れてしまったクラスの女子の手のようだと思った。
「あの」
「え?」
「手を離してくれるかな」
眉を八の字にした瑞月に言われて、彼の手をずっと握ったままだったことにようやく気がついた。
「あ、ああ……」
慌てて手を離すと瑞月は解放された手のひらをじっと見つめて長いまつ毛に縁取られた瞳を瞬かせた後、
「手、大きいね」
と微笑んだ。
その笑みを見て朝陽はぞくりと背中を振るわせた。朝陽はこの美しい青年を見ていると心がざわついて落ち着かない、その場を離れて駆け出したくなるのだ。その衝動は彼の黒目がちな瞳や薄い唇を見るとより強いものとなる。
「じ、じゃあ勉強するから」
「ああ、朝陽。 今日の夕食は外で食べるから少ししたら降りてきなさい」
「……わかった」
瑞月は朝陽の二歳年上の大学生で、一年目は実家から電車で通学していたそうなのだが、朝陽の家が大学に近いからと父親同士の繋がりでこの春から下宿ことになったらしい。提案したのは朝陽の父親だそうだ。父親が言うには小さい頃に一度遊んだことがあるらしいが覚えていない。
「おはよう朝陽」
「おはよう」
翌朝、キッチンに立つ瑞月は起きてきた朝陽に気がついて昨日と同じ微笑みを浮かべて声をかける。
家事は朝陽と父親が交代で行っていたのだが、瑞月が世話になるのだからやらせてほしいと言い、任せることになった。
「弁当を詰めたから包んでくれる?」
テーブルを見ると弁当箱が三つ並んでいた。父親と朝陽、見慣れないもう一つは瑞月の物だろう。一緒に用意されていた大判のハンカチでそれぞれ包み、冷凍庫から出した保冷剤と一緒にランチバッグに入れた。
「ありがとう朝陽。 朝食ももうすぐ出来るから」
「……父さん、起こしてくる」
「うん、よろしく」
その場から逃げ出すように父の部屋へ向かう。瑞月と二人きりになりたくなかったからだ。
「父さん、朝」
ノックをして声をかけるとおお、と気の抜けた声が返ってくる。この声の時、父はなかなか覚醒せずゆっくりと時間をかけて起きてくる。昨日の夜、強くもないのに酒を飲んでいたからそのせいだろう。
今日は朝の補習があるからいつもより早く家を出なければならないから父が起きるのを待っているわけにはいかない。仕方なく瑞月が待っているリビングへ戻ることにした。
テーブルには出来上がった朝食が並べられていた。戻ってきたのが朝陽だけなことに瑞月は首を傾げた。
「おじさんは?」
「まだ起きてこない。 今日補習あるから先に食べる」
「分かった。 俺も食べようかな」
そう言って二人分のご飯と味噌汁を用意し、朝陽の向かいに座る。いただきます、と手を合わせる瑞月に倣って朝陽も手を合わせていただきます、と小さく呟く。
「おじさんから朝はご飯派って聞いてたからそれで用意したんだけど、どうかな」
「どうって」
「美味しい?」
「……まずくはない」
「よかった」
安堵した様子で瑞月も自分で作った朝食を食べ始めた。二人での朝食は終始無言で少々気まずいものだった。話を切り出すにも何を話したらいいか分からないし、そもそも朝陽はそういったことは苦手だった。
瑞月は特に気にした素振りもなく黙々と食べ進めている。薄い唇が開いて、ちらりと舌が覗いたと思うとそこに箸で白米やらおかずやらが運び込まれる。咀嚼をして細い喉を上下させて嚥下する。ただ食事をしているだけなのに、よくない物を見てしまっている気がした。
「俺の顔に何かついてる?」
「いや……」
「朝陽にはついてるよ」
「どこ」
指で取ろうとして口の周りを撫でるが手に触るものがなくて戸惑う。その様子をクスクスと笑って見ていた瑞月は手を伸ばして朝陽の頬を触った。
「はい取れた」
瑞月は朝陽の頬から取った食べかすをひょい、と口に入れた。
「子供みたいだね朝陽」
そう言われて恥ずかしさで顔がカッと熱くなった。
「っ、ごちそうさまでした」
何か言い返そうとしたが、返す言葉が思い浮かばずにただそれだけ言って立ち上がる。
「お粗末様でした」
食器を流しに運んでリビングを出ようとすると、ちょうど起きてきた父親とすれ違う。
「朝陽、もう学校に行くのか?」
「補習あるから。 行ってきます」
「おお、気をつけてな」
父親の声を背中で受けて朝陽は玄関を出る。
通学路でよお、と軽い声と共に背中を強く叩かれる。振り向くと洋介と茉莉の二人が立っていた。二人とも小学校からの友人で高校もクラスも一緒だ。
「おはよ朝陽」
「おはよう茉莉」
「俺に挨拶は無しかよ」
「背中を思い切り叩くのが挨拶とは知らなかった」
そう言って洋介の背中を叩き返す。いってえ!と声を上げる洋介を見て朝陽と茉莉が笑う。
「ねえ、来週から試験じゃん? 週末、勉強会しない?」
「いいなそれ。 朝陽も予定空いてるだろ?」
「ああ。 どこでやる?」
「いつも通り朝陽の家でいいんじゃねえ?」
「わかった……あ、待った」
了承しようとしたが言葉を引っ込める。家には新しい住人が増えたのだ。彼らが知ったら興味を持って色々と聞かれるに違いない。
「今回、というか今後は無理かも」
「なんで?」
「昨日から下宿してる人がいて」
「朝陽ー!」
背後からその下宿している男の声がして驚いて振り返ると、ランチボックスを持った瑞月がこちらへ向かってきていた。走ってきたせいで白い頬が紅潮していて息も荒い。
「追いついて良かった。 お弁当忘れてたよ」
「……ありがとう」
「うん。 じゃあ気をつけて行ってらっしゃい」
柔軟剤の甘い匂いを香らせて、瑞月は来た道を引き返す。
弁当を受け取った朝陽は自分が走ったわけではないのに息苦しさを感じながら瑞月の背中を見送る。
「ちょちょちょ、朝陽」
ぐい、と洋介がぼーっとしていた朝陽の腕を引っ張る。
「今のが下宿してる人?」
もう片方の腕を茉莉に引っ張られる。
「めっちゃ美人……え、なにあの人? 芸能人?」
「いや、一般人のはずだけど」
「朝陽、週末はお前の家で勉強会決定な」
洋介が言う。
「賛成」
「いや勝手に決めるなって……」
茉莉が短く洋介に同意する。この二人は昔から変なところで息が合う。そうなった二人を朝陽は止めることができない。
「週末もうちに入るとは限らないからな」
せめてもの抵抗でそう言うが二人は朝陽を挟んで瑞月のことを話していて聞こえていないようだった。
朝陽は弁当を忘れた少し前の自分を恨むと共に、週末は瑞月が留守にすることを祈った。
「いらっしゃい」
「こんにちはー!」
土曜日、玄関で洋介と茉莉を迎え入れる瑞月を見て朝陽はがっくりと肩を落とした。そわそわと落ち着かない様子の二人を見ていると、瑞月の週末の予定が何もなく家にいると分かった時点で勉強会を断るべきだったと後悔した。
「ほら、部屋に行くぞ」
「あとでお茶持っていくね」
「いや、いらな……」
「ありがとうございます」
断ろうとした朝陽を遮って洋介が勝手に返事をする。茉莉も早く行こう、と朝陽の背中を押した。
朝陽の自室にローテーブルを出して三人でノートと参考書を出して、それぞれペンを動かす。二人も集中しているようで良かったと朝陽が安堵した矢先、洋介が口を開いた。
「なあ、あの人名前は? 大学生?」
「洋介、うるさい」
「なんだようるさいって。 教えてくれてもいいだろ?」
「いいから勉強しろ」
やはり断れば良かった。瑞月について二人にあれこれと聞いこられるのは鬱陶しく、嫌な気分だった。
どうやって二人を黙らせようかと考え始めた時、ドアがノックされた。瑞月だ。
「お茶を持ってきたんだけど、両手が塞がっちゃって……開けてくれる?」
朝陽はドアを開けてやるとお茶とケーキを乗せたトレイを持った朝陽が立っていた。
「ありがとう。 じゃあ俺達勉強するから……」
「ちょっと待った、お兄さんも一緒に食べませんか?」
朝陽はトレイを受け取って瑞月を戻らせようとしたが、またしても洋介が勝手に瑞月を引き入れようとする。お兄さん、とは随分気安い呼びかけだと思った。これには瑞月も少し困ったように返した。
「若者達に入るのは気が引けるな。 勉強の邪魔しちゃ悪いし」
「お兄さんもまだ若者じゃないですか」
「そろそろ休憩にしようとしてたので大丈夫です」
「……ならお言葉に甘えようかな。 今自分の分持って来るね」
そう言って瑞月は本当に自分の分のケーキとお茶を携えて朝陽の部屋にやってきた。
「一人で食べるのは寂しいなって思ってたんだ。 朝陽、隣失礼するよ」
瑞月は朝陽の隣に腰を下ろす。細身だからそんなにスペースがなくても座れたようだ。ケーキをつつきながら瑞月が向かいに座る二人に話しかける。
「二人は朝陽の友達?」
「小学校からずっと一緒なんですよ」
「それで高校も一緒かあ……仲良しだね。 羨ましい」
「ただの腐れ縁です」
瑞月の問いに洋介と茉莉が交互に答える。
「お兄さんは朝陽の親戚ですか?」
「瑞月でいいよ。 親戚ではないけど俺と朝陽の父親が知り合いでその繋がりで下宿させてもらってるんだ」
「瑞月さんは大学生ですか?」
「そう。 A大学って知ってる? そこの二回生」
A大学と聞いて朝陽も反応する。朝陽の志望大学がA大だった。
「めっちゃ頭いいじゃないですか! 勉強教えてもらってもいいですか?」
「ダメ。 俺、教えるの得意じゃないんだ。 じゃあ、用事もあるしお暇しようかな。 三人とも、勉強頑張って」
瑞月はいつの間にかケーキとお茶を平らげていたようで、空になった皿とカップを持ってさっさと部屋を出て行ってしまった。出る間際、朝陽に向けて小さく手を振って。
(用事無いって言ってたよな……)
面倒臭くなって切り上げたのだろうか。
面倒臭いと思われたであろう一人は瑞月が出て行ったドアを見て何やら感心している様子だった。
「瑞月さん、美人で頭も良くて……あんな人いるんだなあ……」
キラキラした目でドアを見つめる洋介は気持ち悪かった。隣の茉莉が腰を小突いて現実に引き戻す。
「洋介、ケーキ食べたら勉強」
「お、おう……なんだよ茉莉まで急に真面目かよ……」
ぶちぶちと呟きながら洋介はケーキを食べてその甘さに機嫌を直したようだった。茉莉の方は勉強会の初めた頃よりもずっと集中して勉強するようになり、時折洋介が瑞月のことを口にするとうるさい、と背中を叩いた。
「勉強会終わった?」
二人が帰った気配を察して瑞月がひょっこりと自室から顔を出した。朝陽が思った通り、瑞月は用事はなかったようでずっと部屋にいたらしい。
「いやあ、若者は押しが強くて困るね」
苦笑しながら瑞月が部屋に入ってくる。三人分の空になった皿とカップを片付けるためだ。
「なあ、A大生って本当?」
「本当だよ。 朝陽の志望大もA大でしょ? おじさんから聞いてるよ」
瑞月が受かったら俺の後輩だね、と笑う。
「勉強も見てやってくれないかって言われたんだけど、どうかな」
「教えるの得意じゃないんだろ」
「あの場はああ言わないと洋介君に捕まりそうだったし……朝陽、俺にあの場にいてほしくなかったでしょ?」
「……まあ」
「素直でよろしい」
「分かってるなら出かけるなりすれば良かっただろ」
「それはそれ。 用事も無いのに出かけたく無いよ俺」
(こいつ……)
のらりくらりと躱されてだんだんと腹が立ってくる。
「ねえ、茉莉ちゃんは彼女?」
「は?」
突拍子も無い質問にびっくりして瑞月を見返す。揶揄うような口調だが、目が笑っていない。
「違う。 ていうかあいつ洋介が好きだろ。 多分だけど」
「そっか……ふふ、なんか意外」
「なにが」
「朝陽はそういうの鈍そうだったから」
そう言われて少しムッとする。実際その通りなのだが、なぜ瑞月にこんなこと言われなくてはならないのだろうか。
「そういうあんたは恋愛慣れしてそうだな」
「してないよ」
「嘘つけ。 顔もいいしモテてそうなのに」
「ほんとにほんとだよ? 子供の頃からずっと好きな子がいてね。 俺、その子に一途なんだ」
ほんのりと頬を染める瑞月に朝陽はなにも言えなくなってしまった。
「というか朝陽、俺の顔がいいって思ってくれてるんだ?」
「は……ああ……」
瑞月がずいっと顔を寄せてくる。
「ねえ、具体的にどこ?」
ふさふさとした睫毛に縁取られた瞳がじっと見つめてくる。
(ち、近いっ)
吐息が触れ合う距離だ。この男にパーソナルスペースというものはないのかと頭を抱えそうになる。
「朝陽?」
薄い唇に名前を紡がれると、背中がゾワゾワと震えて顔を背けたくなる。やはりこの男は苦手だ。瑞月といると心がざわついて落ち着かない気持ちになる。
「ただいまー」
階下から玄関のドアが開く音とともに父親の声が聞こえた。
「お帰りなさい」
瑞月が声を張って父親に返事をし、トレイを持って立ち上がる。部屋を出ようとしたところでくるりと朝陽に向き直った。
「朝陽、考えておいて」
「な、にを……」
「俺が勉強教える件。 じゃあご飯作ってくるからキリのいい所で下においでね」
そう言い残して瑞月は鼻歌混じりに一階へ降りていった。
「魚屋さんが鯖がおすすめっていうから買ってきたよ」
「ありがとうございます。 なら、今夜は鯖味噌にしましょうか」
階下からそんな会話が聞こえてきて朝陽はベットに顔を突っ伏した。
(なんなんだ……)
瑞月は朝陽をからかって遊んでいるのだろう。相手にしなければいいのだろうが、瑞月は不思議な引力を持っているようで、そばにいられると目で追い、話しかけられると応じてしまう。
(顔は綺麗だけど、中身は……)
恋人がいなかったというのは真実なのだろう。あのふざけた性格では女性は面白がりこそすれ、付き合おうとはしないだろう。
『子供の頃からずっと好きな子がいてね。 俺、その子に一途なんだ』
朝陽も似たような体験はしている。小さい頃に一度だけ遊んだことがある女の子に一目惚れをした。とても可愛い子だったと思う。だが、名前も覚えていないし瑞月のように一途にはなれない。
ふう、と大きなため息をついてベッドから顔を上げる。
(勉強するか……)
明後日から学年初めのテストだ。さらに今年度初めの模試もある。
ローテーブルを片付け学習机に勉強道具を移し、夕食ができるまでの間、勉強に集中しようと努めた。
(……分からん)
机に場所を移したはいいが、朝陽は早速詰まっていた。今解いているのは英語の長文問題だ。月曜は朝から英語のテストだから範囲に指定されている問題集に取り組んでいたのだが、朝陽は英語が苦手だった。
頭を抱えているとドアの外から声がかけられた。
「朝陽、ご飯出来たよ」
「ああ……今の問題解いたら……」
「どれくらいで終わりそう?」
「……」
どれくらいと言われても分からない。質問に沈黙で応えると瑞月が部屋に入ってきた。
「勝手に入ってくるなよ」
「朝陽が無視するからでしょ? へえ、英語か。 長文苦手?」
「……英語全般が苦手」
「そっかそっか」
瑞月はニヤ、と笑う。
「俺、英語のセンターの点180点台」
「……自慢か?」
「まあそう」
(……コイツ)
得意げにあっさり自慢であると認める。本当にいけすかない。
朝陽の苛立ちが伝わったのか瑞月は苦笑して言った。
「ごめん、怒らないで。 教えてあげようか?」
「いらない。 先行ってて」
「そう言わずに。 ああ、なるほどなるほど……」
瑞月は問題集を強奪して、目を通し終えて元の位置に戻した。朝陽の座る椅子の横にしゃがんで勝手に解説を始める。白く細い指がちょうど朝陽が詰まっていた箇所を示す。
「こことここの繋がりで詰まってるんだろ? ここの単語、見落としてない?」
「……!」
「おお、これだけで理解できるんだ。 基礎は出来てるね」
瑞月は問題を解き始めた朝陽にまたヒントを与える。
「本当にその解答でいい? 選択肢の文章よく読んでごらん?」
「は? あー……」
朝陽が選んだ選択肢は本文とは順接と逆接が異なっていて、問題文の意図から外れていた。他の文を落ち着いて読んで別の選択肢を選ぶと瑞月は目を細めた。
「正解。 じゃあご飯にしよう。 鯖の味噌煮、美味しく出来たんだ」
「ああ……」
部屋を先に出ていこうとする瑞月の背中に向かって言う。
「その、ありがとう」
「どういたしまして」
「……また分からないところがあったら聞いても?」
振り返った瑞月は少し驚いた顔をした。
「もちろん」
破顔してそう言い、瑞月は朝陽の部屋を出て行った。
(……本当になんなんだ)
瑞月の態度も、妙にそわつくこの妙な気分も分からない。空腹のせいにして、朝陽も部屋を後にした。
朝陽の通う学校では学校内の試験や外部機関の模試があると成績上位者が総合成績と科目ごとに張り出される。
先日の試験の結果が廊下に張り出されたと朝のホームルームで連絡があり、一限後に確認しに行くと英語の下の方に自身の名前を見つけた。朝陽は小さくガッツポーズを決めた。
あの後も何度か分からない箇所を瑞月に聞きにいった。その度に瑞月は嫌な顔をせずに教えてくれた。そのお陰で今回のテストは過去最高点を叩き出すことができた。
(なんかお礼とかしないとな……)
しかし瑞月が好みそうなものが一つも浮かばない。だが何もしないというのも落ち着かないから、本人に聞いてみるのがいいだろう。
張り出された結果表の他の科目でも自分の名前を見つけることができた。朝陽は安堵して廊下のロッカーから次の授業に使う資料集を取り出して教室に入った。
「朝陽、この子は平野瑞月だ。 今日から一緒に暮らす。 良くしてやってくれ」
瑞月は白い肌にすんなりとした華奢な体躯を持つ青年だった。背丈は今年18歳になる朝陽よりも少し低い。
「今日からよろしく、朝陽」
「……よろしく」
差し出された瑞月の手は想像と違わずほっそりとしていた。朝陽よりも年上の男のものとは思えないほど滑らかな手で、以前、偶然触れてしまったクラスの女子の手のようだと思った。
「あの」
「え?」
「手を離してくれるかな」
眉を八の字にした瑞月に言われて、彼の手をずっと握ったままだったことにようやく気がついた。
「あ、ああ……」
慌てて手を離すと瑞月は解放された手のひらをじっと見つめて長いまつ毛に縁取られた瞳を瞬かせた後、
「手、大きいね」
と微笑んだ。
その笑みを見て朝陽はぞくりと背中を振るわせた。朝陽はこの美しい青年を見ていると心がざわついて落ち着かない、その場を離れて駆け出したくなるのだ。その衝動は彼の黒目がちな瞳や薄い唇を見るとより強いものとなる。
「じ、じゃあ勉強するから」
「ああ、朝陽。 今日の夕食は外で食べるから少ししたら降りてきなさい」
「……わかった」
瑞月は朝陽の二歳年上の大学生で、一年目は実家から電車で通学していたそうなのだが、朝陽の家が大学に近いからと父親同士の繋がりでこの春から下宿ことになったらしい。提案したのは朝陽の父親だそうだ。父親が言うには小さい頃に一度遊んだことがあるらしいが覚えていない。
「おはよう朝陽」
「おはよう」
翌朝、キッチンに立つ瑞月は起きてきた朝陽に気がついて昨日と同じ微笑みを浮かべて声をかける。
家事は朝陽と父親が交代で行っていたのだが、瑞月が世話になるのだからやらせてほしいと言い、任せることになった。
「弁当を詰めたから包んでくれる?」
テーブルを見ると弁当箱が三つ並んでいた。父親と朝陽、見慣れないもう一つは瑞月の物だろう。一緒に用意されていた大判のハンカチでそれぞれ包み、冷凍庫から出した保冷剤と一緒にランチバッグに入れた。
「ありがとう朝陽。 朝食ももうすぐ出来るから」
「……父さん、起こしてくる」
「うん、よろしく」
その場から逃げ出すように父の部屋へ向かう。瑞月と二人きりになりたくなかったからだ。
「父さん、朝」
ノックをして声をかけるとおお、と気の抜けた声が返ってくる。この声の時、父はなかなか覚醒せずゆっくりと時間をかけて起きてくる。昨日の夜、強くもないのに酒を飲んでいたからそのせいだろう。
今日は朝の補習があるからいつもより早く家を出なければならないから父が起きるのを待っているわけにはいかない。仕方なく瑞月が待っているリビングへ戻ることにした。
テーブルには出来上がった朝食が並べられていた。戻ってきたのが朝陽だけなことに瑞月は首を傾げた。
「おじさんは?」
「まだ起きてこない。 今日補習あるから先に食べる」
「分かった。 俺も食べようかな」
そう言って二人分のご飯と味噌汁を用意し、朝陽の向かいに座る。いただきます、と手を合わせる瑞月に倣って朝陽も手を合わせていただきます、と小さく呟く。
「おじさんから朝はご飯派って聞いてたからそれで用意したんだけど、どうかな」
「どうって」
「美味しい?」
「……まずくはない」
「よかった」
安堵した様子で瑞月も自分で作った朝食を食べ始めた。二人での朝食は終始無言で少々気まずいものだった。話を切り出すにも何を話したらいいか分からないし、そもそも朝陽はそういったことは苦手だった。
瑞月は特に気にした素振りもなく黙々と食べ進めている。薄い唇が開いて、ちらりと舌が覗いたと思うとそこに箸で白米やらおかずやらが運び込まれる。咀嚼をして細い喉を上下させて嚥下する。ただ食事をしているだけなのに、よくない物を見てしまっている気がした。
「俺の顔に何かついてる?」
「いや……」
「朝陽にはついてるよ」
「どこ」
指で取ろうとして口の周りを撫でるが手に触るものがなくて戸惑う。その様子をクスクスと笑って見ていた瑞月は手を伸ばして朝陽の頬を触った。
「はい取れた」
瑞月は朝陽の頬から取った食べかすをひょい、と口に入れた。
「子供みたいだね朝陽」
そう言われて恥ずかしさで顔がカッと熱くなった。
「っ、ごちそうさまでした」
何か言い返そうとしたが、返す言葉が思い浮かばずにただそれだけ言って立ち上がる。
「お粗末様でした」
食器を流しに運んでリビングを出ようとすると、ちょうど起きてきた父親とすれ違う。
「朝陽、もう学校に行くのか?」
「補習あるから。 行ってきます」
「おお、気をつけてな」
父親の声を背中で受けて朝陽は玄関を出る。
通学路でよお、と軽い声と共に背中を強く叩かれる。振り向くと洋介と茉莉の二人が立っていた。二人とも小学校からの友人で高校もクラスも一緒だ。
「おはよ朝陽」
「おはよう茉莉」
「俺に挨拶は無しかよ」
「背中を思い切り叩くのが挨拶とは知らなかった」
そう言って洋介の背中を叩き返す。いってえ!と声を上げる洋介を見て朝陽と茉莉が笑う。
「ねえ、来週から試験じゃん? 週末、勉強会しない?」
「いいなそれ。 朝陽も予定空いてるだろ?」
「ああ。 どこでやる?」
「いつも通り朝陽の家でいいんじゃねえ?」
「わかった……あ、待った」
了承しようとしたが言葉を引っ込める。家には新しい住人が増えたのだ。彼らが知ったら興味を持って色々と聞かれるに違いない。
「今回、というか今後は無理かも」
「なんで?」
「昨日から下宿してる人がいて」
「朝陽ー!」
背後からその下宿している男の声がして驚いて振り返ると、ランチボックスを持った瑞月がこちらへ向かってきていた。走ってきたせいで白い頬が紅潮していて息も荒い。
「追いついて良かった。 お弁当忘れてたよ」
「……ありがとう」
「うん。 じゃあ気をつけて行ってらっしゃい」
柔軟剤の甘い匂いを香らせて、瑞月は来た道を引き返す。
弁当を受け取った朝陽は自分が走ったわけではないのに息苦しさを感じながら瑞月の背中を見送る。
「ちょちょちょ、朝陽」
ぐい、と洋介がぼーっとしていた朝陽の腕を引っ張る。
「今のが下宿してる人?」
もう片方の腕を茉莉に引っ張られる。
「めっちゃ美人……え、なにあの人? 芸能人?」
「いや、一般人のはずだけど」
「朝陽、週末はお前の家で勉強会決定な」
洋介が言う。
「賛成」
「いや勝手に決めるなって……」
茉莉が短く洋介に同意する。この二人は昔から変なところで息が合う。そうなった二人を朝陽は止めることができない。
「週末もうちに入るとは限らないからな」
せめてもの抵抗でそう言うが二人は朝陽を挟んで瑞月のことを話していて聞こえていないようだった。
朝陽は弁当を忘れた少し前の自分を恨むと共に、週末は瑞月が留守にすることを祈った。
「いらっしゃい」
「こんにちはー!」
土曜日、玄関で洋介と茉莉を迎え入れる瑞月を見て朝陽はがっくりと肩を落とした。そわそわと落ち着かない様子の二人を見ていると、瑞月の週末の予定が何もなく家にいると分かった時点で勉強会を断るべきだったと後悔した。
「ほら、部屋に行くぞ」
「あとでお茶持っていくね」
「いや、いらな……」
「ありがとうございます」
断ろうとした朝陽を遮って洋介が勝手に返事をする。茉莉も早く行こう、と朝陽の背中を押した。
朝陽の自室にローテーブルを出して三人でノートと参考書を出して、それぞれペンを動かす。二人も集中しているようで良かったと朝陽が安堵した矢先、洋介が口を開いた。
「なあ、あの人名前は? 大学生?」
「洋介、うるさい」
「なんだようるさいって。 教えてくれてもいいだろ?」
「いいから勉強しろ」
やはり断れば良かった。瑞月について二人にあれこれと聞いこられるのは鬱陶しく、嫌な気分だった。
どうやって二人を黙らせようかと考え始めた時、ドアがノックされた。瑞月だ。
「お茶を持ってきたんだけど、両手が塞がっちゃって……開けてくれる?」
朝陽はドアを開けてやるとお茶とケーキを乗せたトレイを持った朝陽が立っていた。
「ありがとう。 じゃあ俺達勉強するから……」
「ちょっと待った、お兄さんも一緒に食べませんか?」
朝陽はトレイを受け取って瑞月を戻らせようとしたが、またしても洋介が勝手に瑞月を引き入れようとする。お兄さん、とは随分気安い呼びかけだと思った。これには瑞月も少し困ったように返した。
「若者達に入るのは気が引けるな。 勉強の邪魔しちゃ悪いし」
「お兄さんもまだ若者じゃないですか」
「そろそろ休憩にしようとしてたので大丈夫です」
「……ならお言葉に甘えようかな。 今自分の分持って来るね」
そう言って瑞月は本当に自分の分のケーキとお茶を携えて朝陽の部屋にやってきた。
「一人で食べるのは寂しいなって思ってたんだ。 朝陽、隣失礼するよ」
瑞月は朝陽の隣に腰を下ろす。細身だからそんなにスペースがなくても座れたようだ。ケーキをつつきながら瑞月が向かいに座る二人に話しかける。
「二人は朝陽の友達?」
「小学校からずっと一緒なんですよ」
「それで高校も一緒かあ……仲良しだね。 羨ましい」
「ただの腐れ縁です」
瑞月の問いに洋介と茉莉が交互に答える。
「お兄さんは朝陽の親戚ですか?」
「瑞月でいいよ。 親戚ではないけど俺と朝陽の父親が知り合いでその繋がりで下宿させてもらってるんだ」
「瑞月さんは大学生ですか?」
「そう。 A大学って知ってる? そこの二回生」
A大学と聞いて朝陽も反応する。朝陽の志望大学がA大だった。
「めっちゃ頭いいじゃないですか! 勉強教えてもらってもいいですか?」
「ダメ。 俺、教えるの得意じゃないんだ。 じゃあ、用事もあるしお暇しようかな。 三人とも、勉強頑張って」
瑞月はいつの間にかケーキとお茶を平らげていたようで、空になった皿とカップを持ってさっさと部屋を出て行ってしまった。出る間際、朝陽に向けて小さく手を振って。
(用事無いって言ってたよな……)
面倒臭くなって切り上げたのだろうか。
面倒臭いと思われたであろう一人は瑞月が出て行ったドアを見て何やら感心している様子だった。
「瑞月さん、美人で頭も良くて……あんな人いるんだなあ……」
キラキラした目でドアを見つめる洋介は気持ち悪かった。隣の茉莉が腰を小突いて現実に引き戻す。
「洋介、ケーキ食べたら勉強」
「お、おう……なんだよ茉莉まで急に真面目かよ……」
ぶちぶちと呟きながら洋介はケーキを食べてその甘さに機嫌を直したようだった。茉莉の方は勉強会の初めた頃よりもずっと集中して勉強するようになり、時折洋介が瑞月のことを口にするとうるさい、と背中を叩いた。
「勉強会終わった?」
二人が帰った気配を察して瑞月がひょっこりと自室から顔を出した。朝陽が思った通り、瑞月は用事はなかったようでずっと部屋にいたらしい。
「いやあ、若者は押しが強くて困るね」
苦笑しながら瑞月が部屋に入ってくる。三人分の空になった皿とカップを片付けるためだ。
「なあ、A大生って本当?」
「本当だよ。 朝陽の志望大もA大でしょ? おじさんから聞いてるよ」
瑞月が受かったら俺の後輩だね、と笑う。
「勉強も見てやってくれないかって言われたんだけど、どうかな」
「教えるの得意じゃないんだろ」
「あの場はああ言わないと洋介君に捕まりそうだったし……朝陽、俺にあの場にいてほしくなかったでしょ?」
「……まあ」
「素直でよろしい」
「分かってるなら出かけるなりすれば良かっただろ」
「それはそれ。 用事も無いのに出かけたく無いよ俺」
(こいつ……)
のらりくらりと躱されてだんだんと腹が立ってくる。
「ねえ、茉莉ちゃんは彼女?」
「は?」
突拍子も無い質問にびっくりして瑞月を見返す。揶揄うような口調だが、目が笑っていない。
「違う。 ていうかあいつ洋介が好きだろ。 多分だけど」
「そっか……ふふ、なんか意外」
「なにが」
「朝陽はそういうの鈍そうだったから」
そう言われて少しムッとする。実際その通りなのだが、なぜ瑞月にこんなこと言われなくてはならないのだろうか。
「そういうあんたは恋愛慣れしてそうだな」
「してないよ」
「嘘つけ。 顔もいいしモテてそうなのに」
「ほんとにほんとだよ? 子供の頃からずっと好きな子がいてね。 俺、その子に一途なんだ」
ほんのりと頬を染める瑞月に朝陽はなにも言えなくなってしまった。
「というか朝陽、俺の顔がいいって思ってくれてるんだ?」
「は……ああ……」
瑞月がずいっと顔を寄せてくる。
「ねえ、具体的にどこ?」
ふさふさとした睫毛に縁取られた瞳がじっと見つめてくる。
(ち、近いっ)
吐息が触れ合う距離だ。この男にパーソナルスペースというものはないのかと頭を抱えそうになる。
「朝陽?」
薄い唇に名前を紡がれると、背中がゾワゾワと震えて顔を背けたくなる。やはりこの男は苦手だ。瑞月といると心がざわついて落ち着かない気持ちになる。
「ただいまー」
階下から玄関のドアが開く音とともに父親の声が聞こえた。
「お帰りなさい」
瑞月が声を張って父親に返事をし、トレイを持って立ち上がる。部屋を出ようとしたところでくるりと朝陽に向き直った。
「朝陽、考えておいて」
「な、にを……」
「俺が勉強教える件。 じゃあご飯作ってくるからキリのいい所で下においでね」
そう言い残して瑞月は鼻歌混じりに一階へ降りていった。
「魚屋さんが鯖がおすすめっていうから買ってきたよ」
「ありがとうございます。 なら、今夜は鯖味噌にしましょうか」
階下からそんな会話が聞こえてきて朝陽はベットに顔を突っ伏した。
(なんなんだ……)
瑞月は朝陽をからかって遊んでいるのだろう。相手にしなければいいのだろうが、瑞月は不思議な引力を持っているようで、そばにいられると目で追い、話しかけられると応じてしまう。
(顔は綺麗だけど、中身は……)
恋人がいなかったというのは真実なのだろう。あのふざけた性格では女性は面白がりこそすれ、付き合おうとはしないだろう。
『子供の頃からずっと好きな子がいてね。 俺、その子に一途なんだ』
朝陽も似たような体験はしている。小さい頃に一度だけ遊んだことがある女の子に一目惚れをした。とても可愛い子だったと思う。だが、名前も覚えていないし瑞月のように一途にはなれない。
ふう、と大きなため息をついてベッドから顔を上げる。
(勉強するか……)
明後日から学年初めのテストだ。さらに今年度初めの模試もある。
ローテーブルを片付け学習机に勉強道具を移し、夕食ができるまでの間、勉強に集中しようと努めた。
(……分からん)
机に場所を移したはいいが、朝陽は早速詰まっていた。今解いているのは英語の長文問題だ。月曜は朝から英語のテストだから範囲に指定されている問題集に取り組んでいたのだが、朝陽は英語が苦手だった。
頭を抱えているとドアの外から声がかけられた。
「朝陽、ご飯出来たよ」
「ああ……今の問題解いたら……」
「どれくらいで終わりそう?」
「……」
どれくらいと言われても分からない。質問に沈黙で応えると瑞月が部屋に入ってきた。
「勝手に入ってくるなよ」
「朝陽が無視するからでしょ? へえ、英語か。 長文苦手?」
「……英語全般が苦手」
「そっかそっか」
瑞月はニヤ、と笑う。
「俺、英語のセンターの点180点台」
「……自慢か?」
「まあそう」
(……コイツ)
得意げにあっさり自慢であると認める。本当にいけすかない。
朝陽の苛立ちが伝わったのか瑞月は苦笑して言った。
「ごめん、怒らないで。 教えてあげようか?」
「いらない。 先行ってて」
「そう言わずに。 ああ、なるほどなるほど……」
瑞月は問題集を強奪して、目を通し終えて元の位置に戻した。朝陽の座る椅子の横にしゃがんで勝手に解説を始める。白く細い指がちょうど朝陽が詰まっていた箇所を示す。
「こことここの繋がりで詰まってるんだろ? ここの単語、見落としてない?」
「……!」
「おお、これだけで理解できるんだ。 基礎は出来てるね」
瑞月は問題を解き始めた朝陽にまたヒントを与える。
「本当にその解答でいい? 選択肢の文章よく読んでごらん?」
「は? あー……」
朝陽が選んだ選択肢は本文とは順接と逆接が異なっていて、問題文の意図から外れていた。他の文を落ち着いて読んで別の選択肢を選ぶと瑞月は目を細めた。
「正解。 じゃあご飯にしよう。 鯖の味噌煮、美味しく出来たんだ」
「ああ……」
部屋を先に出ていこうとする瑞月の背中に向かって言う。
「その、ありがとう」
「どういたしまして」
「……また分からないところがあったら聞いても?」
振り返った瑞月は少し驚いた顔をした。
「もちろん」
破顔してそう言い、瑞月は朝陽の部屋を出て行った。
(……本当になんなんだ)
瑞月の態度も、妙にそわつくこの妙な気分も分からない。空腹のせいにして、朝陽も部屋を後にした。
朝陽の通う学校では学校内の試験や外部機関の模試があると成績上位者が総合成績と科目ごとに張り出される。
先日の試験の結果が廊下に張り出されたと朝のホームルームで連絡があり、一限後に確認しに行くと英語の下の方に自身の名前を見つけた。朝陽は小さくガッツポーズを決めた。
あの後も何度か分からない箇所を瑞月に聞きにいった。その度に瑞月は嫌な顔をせずに教えてくれた。そのお陰で今回のテストは過去最高点を叩き出すことができた。
(なんかお礼とかしないとな……)
しかし瑞月が好みそうなものが一つも浮かばない。だが何もしないというのも落ち着かないから、本人に聞いてみるのがいいだろう。
張り出された結果表の他の科目でも自分の名前を見つけることができた。朝陽は安堵して廊下のロッカーから次の授業に使う資料集を取り出して教室に入った。
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