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7 実家っていいですね、ところでどういう状況ですか?
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「…というわけで、私は王城から出てきたんです」
私は、お父様とお母様に王城での出来事と、グレイの手を借りて王城から脱出したことを話した。侍女からの嫌がらせや教育係の言い分、ガーネット様の暴言の下りではお父様はあからさまに顔をしかめた。二人とも息も忘れて聞き入っていたが、やがてため息をついて首を横に振った。
「そんなにまで追い詰められていたとは…リリア、気づいてやれずにすまなかった」
お父様はうなだれながら謝罪した。私は慌ててそれを止めに入る。
「お父様のせいではありません!どうか謝らないでください…こうなる前に私が何とかするべきだったのです」
「でも、王城の方々はまともに話もできないほどだったんでしょう?だったらあなた一人でどうこうなることではなかったと思うわ。よく頑張ったわね、リリア」
お母様は花がほころぶような優しい笑みをうかべて私を見た。お母様に慰められてまた涙腺が緩みそうになったが、子供じゃないのだからと自分にいいきかせて何とか前を向く。
「ありがとうございます、お母様、お父様。私…二人の娘でよかったです。帰ってこれて本当にうれしい…」
「リリア!」
お父様が椅子から立ち上がってガバッと私に抱きついた。ひげが顔に当たってチクチクと痛い。
「もう心配しなくていい。おまえをどこにもやらない。たとえ殿下が這いつくばって謝罪したとしてもおまえは許さなくていい。ずっとここに居ればいいからな!」
「お、お父様…」
「まああなた、リリアを窒息させる気ですか?ご覧なさい、息が止まってしまいますよ。リリア、あなたはしばらく休む必要があるわね。つらいことを忘れるためにもよく休みなさいな」
「はい、お母様」
本当に、いろんなことがあった。殿下に傷つけられて、ガーネット様に傷つけられて、グレイに助けられて。いろんなことが起こりすぎて忘れていたけど、殿下とは結婚する予定だったのだ。殿下と結婚するのが楽しみだった自分は、一体どこに行ってしまったのだろう。
すると、後ろから慌ただしい足音が聞こえた。
「お嬢様ぁ~!!」
半泣きの声に振り返ると、私付きの侍女、アンナが目に涙を浮かべて立っていた。いつもはもっと落ち着いているくせ毛が踊っているところを見ると、ろくに髪の手入れもしていないのだろう。
「アンナ、久しぶりね。元気にしてた?」
「アンナは元気ですぅ!!でも、お嬢様が…お嬢様が、王城でいじめられてころされかけてるってぇ…!」
「ころされかけてる?私が?誰から聞いたの?」
「旦那様ですう!お嬢様はイヤシイメギツネ?にいじめられてころされかけたんですよねぇ!?」
アンナは目をうるませながら私ににじり寄った。思わず一歩後ろに引いてしまう。おそらくイヤシイメギツネの意味は分かっていないのだろう、首をかしげながらそう尋ねてくる。お父様が話しているのをきいて覚えたのかもしれない。
「…あのね、アンナ。ころされかけたっていうか、いじめられたっていう方が正しいと思うわ」
「なんておかわいそうなお嬢様!!これからはアンナがイヤシイショーフからお守りしますぅ!!」
そういってアンナはおいおいと泣いてしまった。アンナのボキャブラリーに一抹の不安を覚えつつもその肩を抱いて慰める。お父様。心配してくださるのは嬉しいですが、純粋な侍女を不安に陥れるのはやめてくださいませ。
私が遠い目をしていると、玄関口が騒がしくなった。
「お兄様が帰ってこられたのかしら」
「そうかもしれませんね!見に行ってまいります!」
アンナがそう言うが早いか、執事長が慌てた様子で駆け込んできた。
「た…大変です!!た、ただいま王太子殿下がご到着されました!」
私は、お父様とお母様に王城での出来事と、グレイの手を借りて王城から脱出したことを話した。侍女からの嫌がらせや教育係の言い分、ガーネット様の暴言の下りではお父様はあからさまに顔をしかめた。二人とも息も忘れて聞き入っていたが、やがてため息をついて首を横に振った。
「そんなにまで追い詰められていたとは…リリア、気づいてやれずにすまなかった」
お父様はうなだれながら謝罪した。私は慌ててそれを止めに入る。
「お父様のせいではありません!どうか謝らないでください…こうなる前に私が何とかするべきだったのです」
「でも、王城の方々はまともに話もできないほどだったんでしょう?だったらあなた一人でどうこうなることではなかったと思うわ。よく頑張ったわね、リリア」
お母様は花がほころぶような優しい笑みをうかべて私を見た。お母様に慰められてまた涙腺が緩みそうになったが、子供じゃないのだからと自分にいいきかせて何とか前を向く。
「ありがとうございます、お母様、お父様。私…二人の娘でよかったです。帰ってこれて本当にうれしい…」
「リリア!」
お父様が椅子から立ち上がってガバッと私に抱きついた。ひげが顔に当たってチクチクと痛い。
「もう心配しなくていい。おまえをどこにもやらない。たとえ殿下が這いつくばって謝罪したとしてもおまえは許さなくていい。ずっとここに居ればいいからな!」
「お、お父様…」
「まああなた、リリアを窒息させる気ですか?ご覧なさい、息が止まってしまいますよ。リリア、あなたはしばらく休む必要があるわね。つらいことを忘れるためにもよく休みなさいな」
「はい、お母様」
本当に、いろんなことがあった。殿下に傷つけられて、ガーネット様に傷つけられて、グレイに助けられて。いろんなことが起こりすぎて忘れていたけど、殿下とは結婚する予定だったのだ。殿下と結婚するのが楽しみだった自分は、一体どこに行ってしまったのだろう。
すると、後ろから慌ただしい足音が聞こえた。
「お嬢様ぁ~!!」
半泣きの声に振り返ると、私付きの侍女、アンナが目に涙を浮かべて立っていた。いつもはもっと落ち着いているくせ毛が踊っているところを見ると、ろくに髪の手入れもしていないのだろう。
「アンナ、久しぶりね。元気にしてた?」
「アンナは元気ですぅ!!でも、お嬢様が…お嬢様が、王城でいじめられてころされかけてるってぇ…!」
「ころされかけてる?私が?誰から聞いたの?」
「旦那様ですう!お嬢様はイヤシイメギツネ?にいじめられてころされかけたんですよねぇ!?」
アンナは目をうるませながら私ににじり寄った。思わず一歩後ろに引いてしまう。おそらくイヤシイメギツネの意味は分かっていないのだろう、首をかしげながらそう尋ねてくる。お父様が話しているのをきいて覚えたのかもしれない。
「…あのね、アンナ。ころされかけたっていうか、いじめられたっていう方が正しいと思うわ」
「なんておかわいそうなお嬢様!!これからはアンナがイヤシイショーフからお守りしますぅ!!」
そういってアンナはおいおいと泣いてしまった。アンナのボキャブラリーに一抹の不安を覚えつつもその肩を抱いて慰める。お父様。心配してくださるのは嬉しいですが、純粋な侍女を不安に陥れるのはやめてくださいませ。
私が遠い目をしていると、玄関口が騒がしくなった。
「お兄様が帰ってこられたのかしら」
「そうかもしれませんね!見に行ってまいります!」
アンナがそう言うが早いか、執事長が慌てた様子で駆け込んできた。
「た…大変です!!た、ただいま王太子殿下がご到着されました!」
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