693 / 716
第26幕 iの意味
12
しおりを挟む
「元々は僕たちのせいで君たち二人に辛い思いをさせてしまった。もし君たち二人が別れてしまったら、僕と歩も別れようって話していたんだ」
「えっ! それはダメだよ! 俺たちの問題と祐一さんたちの問題は、全く別で……」
「うん、でも……切っかけは、お爺様を説得できなかった僕たちのせいだから」
「祐一さん、それは違うよ。それにさ、悠斗も俺も今はこうして……俺、正直しんどかったけど、振り返るとよかったかなって。まだまだ弱虫で頼りないけど、この二年間で凄く強くなれたんだ。みんなをいっぱい傷付けてしまったけど、悠斗の想いも、仲間の想いも、これからもっと大切にしたいなって」
「おっ! 瀬菜、いいこと言うね~♪ まっ、この前まで瀬菜はダメダメ人間だったけどね~♪」
クスクス笑いながら、実千流が茶化してくる。言い返せないのは、俺が本当にダメ人間だったから仕方がない。
神妙な面持ちの祐一さんも、そんな俺たちの明るい様子に笑ってくれた。
「僕たちもね、やっとこお爺様を説得できたんだ。それでね、養子縁組して歩と家族になったんだよ。今日はその報告も兼ねてだったんだけど……どうやらお邪魔しちゃったみたいで」
照れ臭そうに笑いながら、祐一さんは「本当に僕たちって、空気読めないよね~」と呟いていた。
「わぁ~おめでとう! へへっ、なんか心強いな。そっか、家族か~」
「凄い~♪ 祐一さん、おめでとうございます! 瀬菜、いいお手本だよ! 俺たちもあとに続かなきゃだね!」
「二人共ありがとう。えへへっ、なんか……照れるね」
「折角休みもらったんだし、祐一さんたちもゆっくりしてって。佐伯さんも、ああして手伝ってくれてる訳だし!」
「いいの⁉︎ それじゃお言葉に甘えようかな」
幸せそうにする祐一さん。幸せな姿の裏で、祐一さんも佐伯さんも二人でいっぱい戦ってきたのだろう。
だからこそきっと今、素敵な笑顔になれているはずだ。
「俺も、もっと頑張らないと……」
「瀬菜は頑張り過ぎて空回りするんだから、今ぐらいでいいよ!」
「そうそう! 瀬菜君ひとりで考え込むからね~」
二人の言葉にギクッとしながら、三人で吹き出してしまう。
「おーい、そこの姫君たち。そろそろ女子トークは終わりにして、少しは手伝え~」
環樹先輩が嫌味交じりに、料理をテーブルに並べた。このあと多澤と由良りん、村上と玉夫も来る予定だ。
大人数のパーティーには、料理はまだ足りなそうだ。料理人のように悠斗と佐伯さんは、次から次へと料理を作ってくれていれていた。
「環樹じゃ戦力にならないもんね!」
「アホ言え~。実千流よりはマシだ。だいたい手伝うからって早く来たんだろ? 喋っていてどうする」
「あー環樹君だっけ? ごめんね? なら僕も張り切って参戦しようかな!」
「……祐一、お前はもう先に飲ませてもらえ」
「ちょっと! 歩! 僕だって料理ぐらい!」
「いや、本当に止めてくれ。折角の新居を火事にしたくない」
「ククッ……そういうことなら。綺麗なお兄さん、僕がお注ぎしますよ~♪」
「あーー環樹またそうやって‼︎」
部屋の中に笑い声と、料理のいい匂いがしている。広いリビングも人が増えると賑やかだ。
楽しそうにワイワイしているみんなの姿を眺めているだけで、平和だなと自然と笑みが溢れてしまう。
「えっ! それはダメだよ! 俺たちの問題と祐一さんたちの問題は、全く別で……」
「うん、でも……切っかけは、お爺様を説得できなかった僕たちのせいだから」
「祐一さん、それは違うよ。それにさ、悠斗も俺も今はこうして……俺、正直しんどかったけど、振り返るとよかったかなって。まだまだ弱虫で頼りないけど、この二年間で凄く強くなれたんだ。みんなをいっぱい傷付けてしまったけど、悠斗の想いも、仲間の想いも、これからもっと大切にしたいなって」
「おっ! 瀬菜、いいこと言うね~♪ まっ、この前まで瀬菜はダメダメ人間だったけどね~♪」
クスクス笑いながら、実千流が茶化してくる。言い返せないのは、俺が本当にダメ人間だったから仕方がない。
神妙な面持ちの祐一さんも、そんな俺たちの明るい様子に笑ってくれた。
「僕たちもね、やっとこお爺様を説得できたんだ。それでね、養子縁組して歩と家族になったんだよ。今日はその報告も兼ねてだったんだけど……どうやらお邪魔しちゃったみたいで」
照れ臭そうに笑いながら、祐一さんは「本当に僕たちって、空気読めないよね~」と呟いていた。
「わぁ~おめでとう! へへっ、なんか心強いな。そっか、家族か~」
「凄い~♪ 祐一さん、おめでとうございます! 瀬菜、いいお手本だよ! 俺たちもあとに続かなきゃだね!」
「二人共ありがとう。えへへっ、なんか……照れるね」
「折角休みもらったんだし、祐一さんたちもゆっくりしてって。佐伯さんも、ああして手伝ってくれてる訳だし!」
「いいの⁉︎ それじゃお言葉に甘えようかな」
幸せそうにする祐一さん。幸せな姿の裏で、祐一さんも佐伯さんも二人でいっぱい戦ってきたのだろう。
だからこそきっと今、素敵な笑顔になれているはずだ。
「俺も、もっと頑張らないと……」
「瀬菜は頑張り過ぎて空回りするんだから、今ぐらいでいいよ!」
「そうそう! 瀬菜君ひとりで考え込むからね~」
二人の言葉にギクッとしながら、三人で吹き出してしまう。
「おーい、そこの姫君たち。そろそろ女子トークは終わりにして、少しは手伝え~」
環樹先輩が嫌味交じりに、料理をテーブルに並べた。このあと多澤と由良りん、村上と玉夫も来る予定だ。
大人数のパーティーには、料理はまだ足りなそうだ。料理人のように悠斗と佐伯さんは、次から次へと料理を作ってくれていれていた。
「環樹じゃ戦力にならないもんね!」
「アホ言え~。実千流よりはマシだ。だいたい手伝うからって早く来たんだろ? 喋っていてどうする」
「あー環樹君だっけ? ごめんね? なら僕も張り切って参戦しようかな!」
「……祐一、お前はもう先に飲ませてもらえ」
「ちょっと! 歩! 僕だって料理ぐらい!」
「いや、本当に止めてくれ。折角の新居を火事にしたくない」
「ククッ……そういうことなら。綺麗なお兄さん、僕がお注ぎしますよ~♪」
「あーー環樹またそうやって‼︎」
部屋の中に笑い声と、料理のいい匂いがしている。広いリビングも人が増えると賑やかだ。
楽しそうにワイワイしているみんなの姿を眺めているだけで、平和だなと自然と笑みが溢れてしまう。
0
お気に入りに追加
237
あなたにおすすめの小説
いとしの生徒会長さま
もりひろ
BL
大好きな親友と楽しい高校生活を送るため、急きょアメリカから帰国した俺だけど、編入した学園は、とんでもなく変わっていた……!
しかも、生徒会長になれとか言われるし。冗談じゃねえっつの!

花婿候補は冴えないαでした
いち
BL
バース性がわからないまま育った凪咲は、20歳の年に待ちに待った判定を受けた。会社を経営する父の一人息子として育てられるなか結果はΩ。 父親を困らせることになってしまう。このまま親に従って、政略結婚を進めて行こうとするが、それでいいのかと自分の今後を考え始める。そして、偶然同じ部署にいた25歳の秘書の孝景と出会った。
本番なしなのもたまにはと思って書いてみました!
※pixivに同様の作品を掲載しています

好きなあいつの嫉妬がすごい
カムカム
BL
新しいクラスで新しい友達ができることを楽しみにしていたが、特に気になる存在がいた。それは幼馴染のランだった。
ランはいつもクールで落ち着いていて、どこか遠くを見ているような眼差しが印象的だった。レンとは対照的に、内向的で多くの人と打ち解けることが少なかった。しかし、レンだけは違った。ランはレンに対してだけ心を開き、笑顔を見せることが多かった。
教室に入ると、運命的にレンとランは隣同士の席になった。レンは心の中でガッツポーズをしながら、ランに話しかけた。
「ラン、おはよう!今年も一緒のクラスだね。」
ランは少し驚いた表情を見せたが、すぐに微笑み返した。「おはよう、レン。そうだね、今年もよろしく。」
Take On Me 2
マン太
BL
大和と岳。二人の新たな生活が始まった三月末。新たな出会いもあり、色々ありながらも、賑やかな日々が過ぎていく。
そんな岳の元に、一本の電話が。それは、昔世話になったヤクザの古山からの呼び出しの電話だった。
岳は仕方なく会うことにするが…。
※絡みの表現は控え目です。
※「エブリスタ」、「小説家になろう」にも投稿しています。

モテる兄貴を持つと……(三人称改訂版)
夏目碧央
BL
兄、海斗(かいと)と同じ高校に入学した城崎岳斗(きのさきやまと)は、兄がモテるがゆえに様々な苦難に遭う。だが、カッコよくて優しい兄を実は自慢に思っている。兄は弟が大好きで、少々過保護気味。
ある日、岳斗は両親の血液型と自分の血液型がおかしい事に気づく。海斗は「覚えてないのか?」と驚いた様子。岳斗は何を忘れているのか?一体どんな秘密が?

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる