王子×悪戯戯曲

そら汰★

文字の大きさ
上 下
680 / 716
第25幕 伝えるということ

14

しおりを挟む
 悠斗の指が俺の頬に触れ、涙を拭ってくれる。

「瀬菜……愛してる」
「俺も……悠斗、愛してる」

 微笑みながら悠斗がそう囁き、同じように俺も答える。そっと触れ合うだけのキスを交わし、髪や頬を撫でる悠斗にうっとりとし瞳を閉じる。
 ゆったりとした時間に身体が溶け、このまま眠ってしまいたいと思っていた。

「瀬菜…………瀬菜……結婚しよ」

 眠りに誘われていた思考に歯止めが掛かり、閉じた瞳を見開き悠斗を驚愕の表情で見つめた。

「クスッ……そんな驚いた顔しないで?」
「いや……だって……今、なんて……」

 俺はなにを聞いたのだろうか。きっとあまりの心地よさに幻聴でも聞こえたのかもしれない。

「瀬菜と結婚したいって言った」

 悠斗は俺の手を取ると、指輪の上にキスを落としながらハッキリとそう口にした。

「……あのっ……えっと……そうだ! 取り敢えず抜いてくれッ!」

 真っ赤になりながら焦る俺の中から、悠斗はゆっくりと収めたままの陰茎を抜いてくれた。中からコポリと精液が溢れそうになり喉を鳴らすが、それどころではない。お尻をギュッと引きしめゆっくり立ち上がると、俺はぎこちない動きで悠斗から離れた。

「瀬菜?」
「……ちょっと……その、先に風呂だ!」
「ん? まぁ、そうだね」
「狭いしひとりで入る!」
「ふふっ、それはダメ。中まで綺麗にしなきゃ……ね?」

 ニヤリと微笑む悠斗。でも俺は悠斗のその微笑みに、混乱のあまり危険を感じ取ることはできなかった。



「瀬菜大丈夫? 身体中真っ赤だね」
「……誰の……せいだと……」
「だって、俺の掻き出そうとしたら、エッチな声で強請るから。愛する人の要望には応えるでしょ♡」
「そりゃどうもありがとう。……ベッドまで運んでくれ……歩けない」

 お風呂でも鳴かされた俺は、すっかりのぼせグッタリとしていた。今日一日が一年か? というほど、色々なことがあり過ぎて正直頭も身体もついていけずにいた。
 極めつけに悠斗のまさかのプロポーズに、どう反応したらいいのか頭が湯気を立てるのを通り越し、蒸発し考えは空気になってしまっていた。
 大事なことを先延ばしにするのはよくない。そう思う俺とは逆に悠斗は気にする訳でもなく、余裕たっぷりで俺のお世話を甲斐甲斐しくこなしていた。
 夜も深まり疲労困憊な俺は、悠斗のぬくもりに包まれながら静かに寝息を立て眠ってしまった。シングルベッドは付き合う前の昔のようで、二人で抱きしめ合う狭さが妙に心地よかった。



***



「……んッ……擽ったい……もうちょっと……」

 眠くて堪らない。
 こんなに熟睡したのは何日ぶりだろうか。

「お前のご主人様は、お寝坊さんだね?」
「ワウゥ~」
「ふふっ、前から朝は弱いからね。昨日は無理をさせたし、俺もまだこうしていたい」
「ウゥ~……」
「それは流石に……瀬菜に怒られちゃうよ?」
「バウ!」

 野太い声が耳元で聞こえ、重苦しさに眠りより苛立ちが増す。
 俺も昔ほど図太く眠ってはいられない。

「……ぅぅ~ッもう! なんだよお前! 重たいんだよッ‼︎」
しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

放課後教室

Kokonuca.
BL
ある放課後の教室で彼に起こった凶事からすべて始まる

キサラギムツキ
BL
長い間アプローチし続け恋人同士になれたのはよかったが…………… 攻め視点から最後受け視点。 残酷な描写があります。気になる方はお気をつけください。

いとしの生徒会長さま

もりひろ
BL
大好きな親友と楽しい高校生活を送るため、急きょアメリカから帰国した俺だけど、編入した学園は、とんでもなく変わっていた……! しかも、生徒会長になれとか言われるし。冗談じゃねえっつの!

花婿候補は冴えないαでした

いち
BL
バース性がわからないまま育った凪咲は、20歳の年に待ちに待った判定を受けた。会社を経営する父の一人息子として育てられるなか結果はΩ。 父親を困らせることになってしまう。このまま親に従って、政略結婚を進めて行こうとするが、それでいいのかと自分の今後を考え始める。そして、偶然同じ部署にいた25歳の秘書の孝景と出会った。 本番なしなのもたまにはと思って書いてみました! ※pixivに同様の作品を掲載しています

好きなあいつの嫉妬がすごい

カムカム
BL
新しいクラスで新しい友達ができることを楽しみにしていたが、特に気になる存在がいた。それは幼馴染のランだった。 ランはいつもクールで落ち着いていて、どこか遠くを見ているような眼差しが印象的だった。レンとは対照的に、内向的で多くの人と打ち解けることが少なかった。しかし、レンだけは違った。ランはレンに対してだけ心を開き、笑顔を見せることが多かった。 教室に入ると、運命的にレンとランは隣同士の席になった。レンは心の中でガッツポーズをしながら、ランに話しかけた。 「ラン、おはよう!今年も一緒のクラスだね。」 ランは少し驚いた表情を見せたが、すぐに微笑み返した。「おはよう、レン。そうだね、今年もよろしく。」

Take On Me 2

マン太
BL
 大和と岳。二人の新たな生活が始まった三月末。新たな出会いもあり、色々ありながらも、賑やかな日々が過ぎていく。  そんな岳の元に、一本の電話が。それは、昔世話になったヤクザの古山からの呼び出しの電話だった。  岳は仕方なく会うことにするが…。 ※絡みの表現は控え目です。 ※「エブリスタ」、「小説家になろう」にも投稿しています。

モテる兄貴を持つと……(三人称改訂版)

夏目碧央
BL
 兄、海斗(かいと)と同じ高校に入学した城崎岳斗(きのさきやまと)は、兄がモテるがゆえに様々な苦難に遭う。だが、カッコよくて優しい兄を実は自慢に思っている。兄は弟が大好きで、少々過保護気味。  ある日、岳斗は両親の血液型と自分の血液型がおかしい事に気づく。海斗は「覚えてないのか?」と驚いた様子。岳斗は何を忘れているのか?一体どんな秘密が?

合鍵

茉莉花 香乃
BL
高校から好きだった太一に告白されて恋人になった。鍵も渡されたけれど、僕は見てしまった。太一の部屋から出て行く女の人を…… 他サイトにも公開しています

処理中です...