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第20幕 最後の一日
06
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残りのケーキを全て食べ終えると、真意を探るべく振り返り目を細めた。
「明日ってさ……どうして?」
「あーほら、おばさん……居るし」
「キスなんていつもしてるだろ?」
「そうだけど……今回は違う」
「違うってなんだよ。俺、結構……我慢してたのに」
プスっと頬を膨らませる。
「瀬菜、お願いだからそれ以上可愛くしないで?」
「可愛くなんてしてない! エッチだって……全然していないしさ」
あぁ、だからなのか?
してない……じゃなくて、させなかった……だよな。
エッチできない俺は、用済みってことなのか?
なんかまた悲しくなってきた。
自業自得じゃん……カッコ悪……っ。
シュンと項垂れると舌先でチロチロとうなじを舐められ、ビクッと肩を縮こませる。傷を舐めるような優しい愛撫のはずなのに、心が凍ったように尖ったままだ。
「悠斗、やめろよ。そんな……しなくていい」
「……ん? ……どうして?」
「だって……俺のこと可哀想だと思ってるんだろ? 嫌なのにそんなことする必要ない」
ピタリと愛撫がやむと、唸る声が聞こえ、ゾワゾワと首筋に吐息がかかる。俯きそうになると、顎に手を掛けられ、後方に引き寄せられると同時にうなじをガブッと強く噛まれた。
「──ッ、いたっ……ぃ……なんで噛むんだよ‼︎」
「可哀想ってなに? 嫌いって?」
「だって……俺のこと、もう好きじゃないんだろ?」
「はぁ⁉︎ そんな風に思っていたの? 好きじゃない? どうしたらそんな考えに思い至るの? 馬鹿なの? 違うや、瀬菜は馬鹿だった。あぁーーヤダ。もう無理だよ。俺が今まで我慢していたのってなんだったの? 二ヶ月だよ? ねぇ、凄いと思わない? はぁぁ……今すぐ犯す……ご褒美にマジで犯す。可愛いからしょうがない……瀬菜が全部悪い」
やはり頭を強く打ったのが原因なのだろうか? 以前の記憶喪失の後遺症なのだろうか? ブツブツと矢継ぎ早によく分からないことを呟いている。
「……ゆっゆっ悠斗⁉︎ お前、本当に大丈夫なのか?」
「瀬菜!」
「えっ? はいっ!」
「大丈夫なように見える?」
背後から頬を両手でパチンと挟まれ上を向かせられると、覗き込む悠斗の視線と絡み合う。瞳はギラギラと揺らめき、まるで俺を抱いているときのように熱く滾っている。
見られているだけで身体中が犯されている感覚に、ズクリと下肢が疼いた。
「……エッチな顔で、そうやって何度も俺を試すんだ。毎日毎日……俺だって我慢していたよ? 受験終わるまでって……瀬菜、頑張ってたから。けど、瀬菜が許してくれるなら、勘違いされるぐらいなら、もう我慢しない。てか、許さなくても触るし、キスもエッチもする。おばさんにバレてもやめない。今日は疲れてるかなって思ってたけど元気そうだし、幸いにも学校にはもう行かなくていいし、我慢してた分と我慢させちゃってた分、覚悟はできているよね? 因みに手加減はできないから、先に謝っておくね♡」
先ほどの意味不明な呟きはそういうことを言いたかったのか。とてもわかりやすいストレートな思いの丈だ。ただし労っているのか無理を強いたいのかは、よく分からないが……でも……。
「俺もずっとしたかった。意地張ってごめん。触るなって言ってごめん」
「うん。好きだよ瀬菜」
「明日ってさ……どうして?」
「あーほら、おばさん……居るし」
「キスなんていつもしてるだろ?」
「そうだけど……今回は違う」
「違うってなんだよ。俺、結構……我慢してたのに」
プスっと頬を膨らませる。
「瀬菜、お願いだからそれ以上可愛くしないで?」
「可愛くなんてしてない! エッチだって……全然していないしさ」
あぁ、だからなのか?
してない……じゃなくて、させなかった……だよな。
エッチできない俺は、用済みってことなのか?
なんかまた悲しくなってきた。
自業自得じゃん……カッコ悪……っ。
シュンと項垂れると舌先でチロチロとうなじを舐められ、ビクッと肩を縮こませる。傷を舐めるような優しい愛撫のはずなのに、心が凍ったように尖ったままだ。
「悠斗、やめろよ。そんな……しなくていい」
「……ん? ……どうして?」
「だって……俺のこと可哀想だと思ってるんだろ? 嫌なのにそんなことする必要ない」
ピタリと愛撫がやむと、唸る声が聞こえ、ゾワゾワと首筋に吐息がかかる。俯きそうになると、顎に手を掛けられ、後方に引き寄せられると同時にうなじをガブッと強く噛まれた。
「──ッ、いたっ……ぃ……なんで噛むんだよ‼︎」
「可哀想ってなに? 嫌いって?」
「だって……俺のこと、もう好きじゃないんだろ?」
「はぁ⁉︎ そんな風に思っていたの? 好きじゃない? どうしたらそんな考えに思い至るの? 馬鹿なの? 違うや、瀬菜は馬鹿だった。あぁーーヤダ。もう無理だよ。俺が今まで我慢していたのってなんだったの? 二ヶ月だよ? ねぇ、凄いと思わない? はぁぁ……今すぐ犯す……ご褒美にマジで犯す。可愛いからしょうがない……瀬菜が全部悪い」
やはり頭を強く打ったのが原因なのだろうか? 以前の記憶喪失の後遺症なのだろうか? ブツブツと矢継ぎ早によく分からないことを呟いている。
「……ゆっゆっ悠斗⁉︎ お前、本当に大丈夫なのか?」
「瀬菜!」
「えっ? はいっ!」
「大丈夫なように見える?」
背後から頬を両手でパチンと挟まれ上を向かせられると、覗き込む悠斗の視線と絡み合う。瞳はギラギラと揺らめき、まるで俺を抱いているときのように熱く滾っている。
見られているだけで身体中が犯されている感覚に、ズクリと下肢が疼いた。
「……エッチな顔で、そうやって何度も俺を試すんだ。毎日毎日……俺だって我慢していたよ? 受験終わるまでって……瀬菜、頑張ってたから。けど、瀬菜が許してくれるなら、勘違いされるぐらいなら、もう我慢しない。てか、許さなくても触るし、キスもエッチもする。おばさんにバレてもやめない。今日は疲れてるかなって思ってたけど元気そうだし、幸いにも学校にはもう行かなくていいし、我慢してた分と我慢させちゃってた分、覚悟はできているよね? 因みに手加減はできないから、先に謝っておくね♡」
先ほどの意味不明な呟きはそういうことを言いたかったのか。とてもわかりやすいストレートな思いの丈だ。ただし労っているのか無理を強いたいのかは、よく分からないが……でも……。
「俺もずっとしたかった。意地張ってごめん。触るなって言ってごめん」
「うん。好きだよ瀬菜」
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