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第20幕 最後の一日
05
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────ぷちんっ。
……と、頭の中でなにかが弾ける音がする。
決して勉強のし過ぎとかではないのは、ご理解いただけるだろうか。
ゴトッ……と音が鳴る。
悠斗は床に頭を添わせ、驚愕の表情で俺を見上げていた。
「……せ……な?」
「──ッ、はぁはぁ…………クッゥ!」
明日ってなんなんだ……そう心の中で何度も呟く。馬乗りになり、悠斗の部屋着のトレーナーが皺になるほど、胸ぐらを強く握りしめていた。衣服で擦れる指先が痛むのも忘れ、全身が色々な感情で震える。
「──ぐぅッ……今日だッ! 今日じゃなきゃダメだッ!」
握った胸ぐらを引き寄せ悠斗の唇に獣のように齧りつくと、口を割開き舌を差し込む。歯列を舐め上顎を愛撫すると、弾力のある舌に自身の舌を絡めた。
クチュクチュと水音がし、鼻で息を吸い込みながら艷やかな声をあげる。願っていた欲しかった悠斗の唇に夢中になると、すぐに下肢が重くなっていく。兆しを見せ始めるモノがゴリッと刺激を受けると、ビクッと腰を跳ねさせ唇を離し身を起こした。
「……凄い……っ、強烈なんだけど」
「──ッ、あっごめ……っ、こんな……キモイこと……」
「いや、全然……少しビックリした」
言葉で伝える前に、行動が先立ってしまった自分が情けない。気不味い雰囲気の中、悠斗は立ち上がると俺の前を通り過ぎていった。
「あっ、待ってよ! 帰るなら……下まで送る」
扉の前で立ち止まる悠斗の背中を追いかけるつもりで立ち上がると、ゴンッ! と大きな音に驚く。見れば悠斗が扉に頭突きをしているではないか。扉に穴が空いたのではというほど大きな音だ。けれど悠斗は何事もなかったように、振り返りニコッと微笑んだ。
悠斗のサイコパスな行動に戸惑う俺。そんな俺をよそに、コタツに戻る悠斗。呆然とその様子を眺めていると、手招きされた。
「帰らないからこっちにおいで。寒いでしょ? それにケーキ食べちゃわないと溶けちゃう」
「えっ、いや……お前、大丈夫か?」
「ん? なにが?」
「なにって……」
どう見ても額が赤いではないか。痛くない訳がない。
じっと額に視線を向けていると、ずいっと口元にケーキを出された。反射的に口を開けてしまう。
甘いクリームと柔らかなスポンジが口の中に広がる。ゴクリと飲み込むと、また口の中に入ってくる。
「美味しい?」
「……う、うん」
まるで餌付けだ。数度ケーキを口にし、気づけば悠斗の膝の上でコタツに入りながら、イチャイチャしています。
悠斗の行動は普段通りであって、違和感を感じる。
「自分で食べられるよ」
「ん? ダーメ。ほら、あ~ん♡」
フォークに乗ったケーキを口元まで持ってこられ、口を開くと差し込まれる。
「ねぇ、機嫌悪いの? いいの? どっち? てかデコ……痛くねぇの?」
「機嫌はすこぶるいいよ? おでこは……気にしないで!」
ニコッと笑顔でそう言われるが、どうにも見繕っているようにしか見えないのだ。
気にしないほうがどうかしている。
……と、頭の中でなにかが弾ける音がする。
決して勉強のし過ぎとかではないのは、ご理解いただけるだろうか。
ゴトッ……と音が鳴る。
悠斗は床に頭を添わせ、驚愕の表情で俺を見上げていた。
「……せ……な?」
「──ッ、はぁはぁ…………クッゥ!」
明日ってなんなんだ……そう心の中で何度も呟く。馬乗りになり、悠斗の部屋着のトレーナーが皺になるほど、胸ぐらを強く握りしめていた。衣服で擦れる指先が痛むのも忘れ、全身が色々な感情で震える。
「──ぐぅッ……今日だッ! 今日じゃなきゃダメだッ!」
握った胸ぐらを引き寄せ悠斗の唇に獣のように齧りつくと、口を割開き舌を差し込む。歯列を舐め上顎を愛撫すると、弾力のある舌に自身の舌を絡めた。
クチュクチュと水音がし、鼻で息を吸い込みながら艷やかな声をあげる。願っていた欲しかった悠斗の唇に夢中になると、すぐに下肢が重くなっていく。兆しを見せ始めるモノがゴリッと刺激を受けると、ビクッと腰を跳ねさせ唇を離し身を起こした。
「……凄い……っ、強烈なんだけど」
「──ッ、あっごめ……っ、こんな……キモイこと……」
「いや、全然……少しビックリした」
言葉で伝える前に、行動が先立ってしまった自分が情けない。気不味い雰囲気の中、悠斗は立ち上がると俺の前を通り過ぎていった。
「あっ、待ってよ! 帰るなら……下まで送る」
扉の前で立ち止まる悠斗の背中を追いかけるつもりで立ち上がると、ゴンッ! と大きな音に驚く。見れば悠斗が扉に頭突きをしているではないか。扉に穴が空いたのではというほど大きな音だ。けれど悠斗は何事もなかったように、振り返りニコッと微笑んだ。
悠斗のサイコパスな行動に戸惑う俺。そんな俺をよそに、コタツに戻る悠斗。呆然とその様子を眺めていると、手招きされた。
「帰らないからこっちにおいで。寒いでしょ? それにケーキ食べちゃわないと溶けちゃう」
「えっ、いや……お前、大丈夫か?」
「ん? なにが?」
「なにって……」
どう見ても額が赤いではないか。痛くない訳がない。
じっと額に視線を向けていると、ずいっと口元にケーキを出された。反射的に口を開けてしまう。
甘いクリームと柔らかなスポンジが口の中に広がる。ゴクリと飲み込むと、また口の中に入ってくる。
「美味しい?」
「……う、うん」
まるで餌付けだ。数度ケーキを口にし、気づけば悠斗の膝の上でコタツに入りながら、イチャイチャしています。
悠斗の行動は普段通りであって、違和感を感じる。
「自分で食べられるよ」
「ん? ダーメ。ほら、あ~ん♡」
フォークに乗ったケーキを口元まで持ってこられ、口を開くと差し込まれる。
「ねぇ、機嫌悪いの? いいの? どっち? てかデコ……痛くねぇの?」
「機嫌はすこぶるいいよ? おでこは……気にしないで!」
ニコッと笑顔でそう言われるが、どうにも見繕っているようにしか見えないのだ。
気にしないほうがどうかしている。
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