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第19幕 鏡に映る心の奥底
03
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そうこうしているうちに教室に到着するが、廊下までやけに賑やかな声が響いていた。
「ちょっ! カナちゃん返して!」
「お前どんだけ変態だよ! なんで学校にこんな夢みたいなアイテム持って来てんだ!」
入り口で立ち竦み、悠斗と由良りんの攻防に呆然とする。多澤が呆れた様子で俺を呼び寄せ言った。
「おい、瀬菜。お前が原因なんだから、いい加減あいつら止めろ」
「なんで俺?」
「柳ちゃんのアイテム争奪戦ー♪」
「瀬菜が指示したんでしょ? もう、ずっとあんなだよ? あの二人」
村上はいつもの調子で面白おかしく言い、実千流は俺のせいだと二人を指差していた。教室で追いかけっ子を繰り広げ、その様子をクラス中が笑いながら傍観している。
悠斗が由良りんの腕をパシッと猫のように叩くと、由良りんの手の中からひらりひらりとなにかが宙に浮いていた。
こんな光景は、一日に何度も見られるものではないだろう。俺はとても貴重な体験をしているのかもしれない。そしてその浮遊物は、俺の頭上に舞い降りた。
俺を見ながらしまった顔で固まる二人を、俺もぼんやり見ながら頭上のソレに手を伸ばす。
「………………」
「瀬菜……これはその……」
「ユウが中々寄越さねぇからだぞ! おい……ヤナ?」
「……うぅぅ~~、お座りーーッ‼︎」
俺の怒号が教室中に響き渡ると、悠斗と由良りんだけでなく数名が床に膝をつき項垂れた。まるで調教師になったようで俺すげぇと自分に驚くが、すぐに怒りが湧き上がる。
床に正座をし大人しくなった悠斗が、怒られた犬のように耳を垂らしチラチラとこちらを窺っている。
由良りんは「なんで俺まで……」と不貞腐りながら、犬というより狼みたいにツンっとしながら姿勢正しく正座をしていた。
広げだソレは……年に一度はお見かけする、フリフリがいっぱいな純白の紐パンでした──。
「いいか? 今は準備期間でも授業中だ。パンツを振り回して教室で暴れるな!」
そう真面目っぽく言うと「ヤナだって授業中に、コンビニ行ったし……」と、不貞腐れ中の由良りんに言われてしまう。
「人助けだから俺はいいの! で、悠斗くん。君、なんでこんなもの持っているの?」
紐パンをグシャリと丸めポケットに仕舞い込むと、「あ~~俺のなのに……」と、全く反省せず変態発言を呟いていた。
ジロっと睨みつけると、当たり前のように抗議してくる始末だ。
「だって、毎年恒例だし。文化祭の必需品でしょ?」
「は? 俺今年は絶対女装しないって言ったよな⁉︎」
「えーー、けど去年だって結局したじゃん」
「うぅ……アレは……実千流も居たし仕方なくだ! それに、小人役の俺がなぜ、ひ、ひ……こんなもん履くと思ってるんだ!」
「紐パンの小人さんかぁ~。それはそれで……いいと──ッ」
「ドアホーー‼︎ とにかくこれは没収だ!」
「まぁ、取り敢えずパンツは奪えた訳だし、怒るなって。そろそろ足痺れてきたんだけど」
まだまだ説教をしたかったが、流石にずっとこうしてもいられない。悠斗の言い分は理解不能だが、ほかのクラスメイトの手前、文化祭の準備に取り掛かった。
「ちょっ! カナちゃん返して!」
「お前どんだけ変態だよ! なんで学校にこんな夢みたいなアイテム持って来てんだ!」
入り口で立ち竦み、悠斗と由良りんの攻防に呆然とする。多澤が呆れた様子で俺を呼び寄せ言った。
「おい、瀬菜。お前が原因なんだから、いい加減あいつら止めろ」
「なんで俺?」
「柳ちゃんのアイテム争奪戦ー♪」
「瀬菜が指示したんでしょ? もう、ずっとあんなだよ? あの二人」
村上はいつもの調子で面白おかしく言い、実千流は俺のせいだと二人を指差していた。教室で追いかけっ子を繰り広げ、その様子をクラス中が笑いながら傍観している。
悠斗が由良りんの腕をパシッと猫のように叩くと、由良りんの手の中からひらりひらりとなにかが宙に浮いていた。
こんな光景は、一日に何度も見られるものではないだろう。俺はとても貴重な体験をしているのかもしれない。そしてその浮遊物は、俺の頭上に舞い降りた。
俺を見ながらしまった顔で固まる二人を、俺もぼんやり見ながら頭上のソレに手を伸ばす。
「………………」
「瀬菜……これはその……」
「ユウが中々寄越さねぇからだぞ! おい……ヤナ?」
「……うぅぅ~~、お座りーーッ‼︎」
俺の怒号が教室中に響き渡ると、悠斗と由良りんだけでなく数名が床に膝をつき項垂れた。まるで調教師になったようで俺すげぇと自分に驚くが、すぐに怒りが湧き上がる。
床に正座をし大人しくなった悠斗が、怒られた犬のように耳を垂らしチラチラとこちらを窺っている。
由良りんは「なんで俺まで……」と不貞腐りながら、犬というより狼みたいにツンっとしながら姿勢正しく正座をしていた。
広げだソレは……年に一度はお見かけする、フリフリがいっぱいな純白の紐パンでした──。
「いいか? 今は準備期間でも授業中だ。パンツを振り回して教室で暴れるな!」
そう真面目っぽく言うと「ヤナだって授業中に、コンビニ行ったし……」と、不貞腐れ中の由良りんに言われてしまう。
「人助けだから俺はいいの! で、悠斗くん。君、なんでこんなもの持っているの?」
紐パンをグシャリと丸めポケットに仕舞い込むと、「あ~~俺のなのに……」と、全く反省せず変態発言を呟いていた。
ジロっと睨みつけると、当たり前のように抗議してくる始末だ。
「だって、毎年恒例だし。文化祭の必需品でしょ?」
「は? 俺今年は絶対女装しないって言ったよな⁉︎」
「えーー、けど去年だって結局したじゃん」
「うぅ……アレは……実千流も居たし仕方なくだ! それに、小人役の俺がなぜ、ひ、ひ……こんなもん履くと思ってるんだ!」
「紐パンの小人さんかぁ~。それはそれで……いいと──ッ」
「ドアホーー‼︎ とにかくこれは没収だ!」
「まぁ、取り敢えずパンツは奪えた訳だし、怒るなって。そろそろ足痺れてきたんだけど」
まだまだ説教をしたかったが、流石にずっとこうしてもいられない。悠斗の言い分は理解不能だが、ほかのクラスメイトの手前、文化祭の準備に取り掛かった。
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