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第19幕 鏡に映る心の奥底
02
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わっ、賄賂⁉︎
千円あげるから黙っていろと⁉︎
意外と安い秘密だなっ‼︎
『イヤ、別に誰にも言わないし!』
『は? なにを勘違いしているんです』
『へっ?』
『森山がああなったのは、お茶を溢したからですよ。まぁ、俺が仕掛けた……』
最後のほうは聞き取れなかったが、今後どう接したらいいかと悩む俺は、怪しいことをしている訳ではなかったことに詰めていた息を大きく吐きながらホッと胸を撫でおろす。
『……なんだよ。紛らわしいなお前ら』
『ええ、で……先輩、パンツ買って来てください』
◇◇◇
──と、そんなことがあり、森山君がまた誰かに勘違いされないためにも、急ぎパンツを買いに行かねばならない。千円で足りないのでは? と、教室に戻り自分の財布を取りに来たついでに、悠斗に尋ねたのだが。
「ヤナどこか行くのか?」
「うん、コンビニまで。なにかいる?」
「特にねぇけど、一緒に行くか?」
「あっ、ううん。ひとりで大丈夫。それよかさ、お願いがあるんだけど……」
「瀬菜のお願いなら俺が……」
そう悠斗が割って入るが、俺はそれをスルーした。
「ヤナが俺に頼みごとなんて珍しいな」
「うん! 俺が戻って来るまでに、悠斗から俺のパンツ奪っておいてな!」
由良りんに飛び切りの笑顔を向け、そう伝えると由良りんは驚いた顔をし、悠斗を軽蔑したような顔で睨んでいた。
コンビニで買うパンツとは意外と高いようだ。ブランド名のせいか、千円ではやはり足りなかった。自分のおやつと飲み物を一緒に購入し、店員さんに股間を冷ややかに見つめられ、心の中で『俺のじゃない! 後輩君のだよ!』と、意味もなく言い訳をし、支払いを済ませた。
その足で生徒会室へ直行すると、俺の行動でも見ていたのか通川君が扉を開けてくれた。
「ほら、頼まれたもの」
「ご苦労様です」
「うん、全然いいよ。それよか森山平気? なんかグッタリしてね?」
ぴょこんと通川君の隙間を縫って中を見ると、ソファーにもたれ掛かる森山君の姿が見えた。
「あぁ、問題無いですよ。はしゃぎ過ぎたんですかね? それよりも先輩の用事はこれですよね?」
「あっ、そうそう。てか、お前すげぇな! やっぱ超能力?」
手渡された封筒は俺がここに来た理由である。なにを言った訳でもなく書類を渡され、できる後輩は一味違うのだと、通川君を生徒会に勧誘したのは間違いなかったと自分も誇らしい。
「そんじゃ俺行くな」
「はい、お気を付けて」
そうして職員室に寄りながら教室に戻るのだが、疑問がいまさら生まれてしまう。
森山君は股間辺りにお茶を溢した。
俺はパンツを買いに行った。
制服のズボンは大丈夫なのか?
コテッと首を傾げるが、俺がどうこうできる訳でもないので気にしないことにした。しかしあの二人はいったいこの時間になにをしていたのだろうか? と、また頭を傾げる。
千円あげるから黙っていろと⁉︎
意外と安い秘密だなっ‼︎
『イヤ、別に誰にも言わないし!』
『は? なにを勘違いしているんです』
『へっ?』
『森山がああなったのは、お茶を溢したからですよ。まぁ、俺が仕掛けた……』
最後のほうは聞き取れなかったが、今後どう接したらいいかと悩む俺は、怪しいことをしている訳ではなかったことに詰めていた息を大きく吐きながらホッと胸を撫でおろす。
『……なんだよ。紛らわしいなお前ら』
『ええ、で……先輩、パンツ買って来てください』
◇◇◇
──と、そんなことがあり、森山君がまた誰かに勘違いされないためにも、急ぎパンツを買いに行かねばならない。千円で足りないのでは? と、教室に戻り自分の財布を取りに来たついでに、悠斗に尋ねたのだが。
「ヤナどこか行くのか?」
「うん、コンビニまで。なにかいる?」
「特にねぇけど、一緒に行くか?」
「あっ、ううん。ひとりで大丈夫。それよかさ、お願いがあるんだけど……」
「瀬菜のお願いなら俺が……」
そう悠斗が割って入るが、俺はそれをスルーした。
「ヤナが俺に頼みごとなんて珍しいな」
「うん! 俺が戻って来るまでに、悠斗から俺のパンツ奪っておいてな!」
由良りんに飛び切りの笑顔を向け、そう伝えると由良りんは驚いた顔をし、悠斗を軽蔑したような顔で睨んでいた。
コンビニで買うパンツとは意外と高いようだ。ブランド名のせいか、千円ではやはり足りなかった。自分のおやつと飲み物を一緒に購入し、店員さんに股間を冷ややかに見つめられ、心の中で『俺のじゃない! 後輩君のだよ!』と、意味もなく言い訳をし、支払いを済ませた。
その足で生徒会室へ直行すると、俺の行動でも見ていたのか通川君が扉を開けてくれた。
「ほら、頼まれたもの」
「ご苦労様です」
「うん、全然いいよ。それよか森山平気? なんかグッタリしてね?」
ぴょこんと通川君の隙間を縫って中を見ると、ソファーにもたれ掛かる森山君の姿が見えた。
「あぁ、問題無いですよ。はしゃぎ過ぎたんですかね? それよりも先輩の用事はこれですよね?」
「あっ、そうそう。てか、お前すげぇな! やっぱ超能力?」
手渡された封筒は俺がここに来た理由である。なにを言った訳でもなく書類を渡され、できる後輩は一味違うのだと、通川君を生徒会に勧誘したのは間違いなかったと自分も誇らしい。
「そんじゃ俺行くな」
「はい、お気を付けて」
そうして職員室に寄りながら教室に戻るのだが、疑問がいまさら生まれてしまう。
森山君は股間辺りにお茶を溢した。
俺はパンツを買いに行った。
制服のズボンは大丈夫なのか?
コテッと首を傾げるが、俺がどうこうできる訳でもないので気にしないことにした。しかしあの二人はいったいこの時間になにをしていたのだろうか? と、また頭を傾げる。
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