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第14幕 季節外れの天使ちゃん
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レジに向かうと、店員さんに「お会計済んでいますよ?」と言われてしまう。なにかの間違いではないかと確認しても、「そう言われましても……」と店員さんは眉を寄せていた。一瞬、違う席のお客さんが間違えて支払ってしまったのかもしれないと考えたが、俺はその場で迷わず電話を掛けた。
コールを鳴らすとすぐにその相手は電話に出る。
「……どこに居るんだよ……」
『ん? 瀬菜はどこ? 俺は天気もいいし、外で日向ぼっこ』
「あっそ……そこで待ってろ。もうひとりも逃すなよ……」
チラリと外を見渡せば、やけに目立つ長身が二つ。
ブチっと電話を切って深いため息を吐いた。
「……なに? お迎え?」
「そんな感じじゃね?」
「いいな~♪ ラブラブでぇ────ッ!」
羨ましそうに言う実千流と店の外に出ると、悠斗のうしろに、もうひとりが隠れるようにしながら、ガードレールに腰掛けひょっこり顔を出してきた。ハローとおちゃらけた態度で手ひらひらと振っていた。
「──環樹ッ、なななんでここに居るの⁉︎」
「やあ、奇遇だね~♪ 王子が寂しいって言うから、食事していたんだ~♪」
「僕は仕方なく付き合ったまでです」
「食事? 休日に出掛けるほど二人は仲良かったか?」
白々しく答える二人に、実千流は戸惑っていた。
「……どうして……俺、なにも言っていない……」
「ああ、聞いてはいないよ。けど……お前が姫乃ちゃんをいじめないか心配でさ~。保護者としては見過ごせないでしょ~」
「……いじめたことは瀬菜に謝った。また俺に説教でもするの」
ほのかに期待を示していた実千流は、すぐに笑顔をなくすと悪戯した子猫のように身体を竦ませる。
初日の生徒会室での出来事で、すっかりいじめっ子のレッテルを貼られてしまったようだ。
「先輩! 俺、すっかり実千流と仲良し♪ だから、実千流をいじめたら許さないからね! あと、ご馳走様です‼︎ 実はちょっと会計足りるか心配で……はははっ」
「ククッ……それにしても、お前らファミレスでこの金額……食べ過ぎ~。太るよ?」
ずいぶんと長いレシートを垂らして、苦笑いする環樹先輩。
それもそうだ。俺はメインは一人前だったが、実千流は三人前、そのあとにデザートを二人で二品ずつ平らげたのだ。
我ながら良く食べたものだと感心してしまう。
「実千流はいっぱい食べてオッパイに栄養──ッ‼︎」
「わぁぁ~~瀬菜! 余計なこと言うな! 天然も大概にしろ!」
おっぱいが小さいと嘆いていたではないか。
実千流は俺の口を慌てた様子で塞いできた。
「……王子~なんかアレだね~♪」
「クスッ……アレですね……」
そんな俺達の様子を肩を震わせ見守っていた。
「なに? あれって?」
「「内緒ー♪」」
そういうところだけは本当に気が合う。
「それじゃ、実千流また来週学校でな! あーでも、あの格好だと話するの難いかな?」
「俺から瀬菜に絡みに行くし♪ またな!」
実千流と環樹先輩は俺たちはとは逆方向に歩き出した。手を振り見送ると、実千流がピタッと立ち止まり、環樹先輩になにかを伝えていた。
コールを鳴らすとすぐにその相手は電話に出る。
「……どこに居るんだよ……」
『ん? 瀬菜はどこ? 俺は天気もいいし、外で日向ぼっこ』
「あっそ……そこで待ってろ。もうひとりも逃すなよ……」
チラリと外を見渡せば、やけに目立つ長身が二つ。
ブチっと電話を切って深いため息を吐いた。
「……なに? お迎え?」
「そんな感じじゃね?」
「いいな~♪ ラブラブでぇ────ッ!」
羨ましそうに言う実千流と店の外に出ると、悠斗のうしろに、もうひとりが隠れるようにしながら、ガードレールに腰掛けひょっこり顔を出してきた。ハローとおちゃらけた態度で手ひらひらと振っていた。
「──環樹ッ、なななんでここに居るの⁉︎」
「やあ、奇遇だね~♪ 王子が寂しいって言うから、食事していたんだ~♪」
「僕は仕方なく付き合ったまでです」
「食事? 休日に出掛けるほど二人は仲良かったか?」
白々しく答える二人に、実千流は戸惑っていた。
「……どうして……俺、なにも言っていない……」
「ああ、聞いてはいないよ。けど……お前が姫乃ちゃんをいじめないか心配でさ~。保護者としては見過ごせないでしょ~」
「……いじめたことは瀬菜に謝った。また俺に説教でもするの」
ほのかに期待を示していた実千流は、すぐに笑顔をなくすと悪戯した子猫のように身体を竦ませる。
初日の生徒会室での出来事で、すっかりいじめっ子のレッテルを貼られてしまったようだ。
「先輩! 俺、すっかり実千流と仲良し♪ だから、実千流をいじめたら許さないからね! あと、ご馳走様です‼︎ 実はちょっと会計足りるか心配で……はははっ」
「ククッ……それにしても、お前らファミレスでこの金額……食べ過ぎ~。太るよ?」
ずいぶんと長いレシートを垂らして、苦笑いする環樹先輩。
それもそうだ。俺はメインは一人前だったが、実千流は三人前、そのあとにデザートを二人で二品ずつ平らげたのだ。
我ながら良く食べたものだと感心してしまう。
「実千流はいっぱい食べてオッパイに栄養──ッ‼︎」
「わぁぁ~~瀬菜! 余計なこと言うな! 天然も大概にしろ!」
おっぱいが小さいと嘆いていたではないか。
実千流は俺の口を慌てた様子で塞いできた。
「……王子~なんかアレだね~♪」
「クスッ……アレですね……」
そんな俺達の様子を肩を震わせ見守っていた。
「なに? あれって?」
「「内緒ー♪」」
そういうところだけは本当に気が合う。
「それじゃ、実千流また来週学校でな! あーでも、あの格好だと話するの難いかな?」
「俺から瀬菜に絡みに行くし♪ またな!」
実千流と環樹先輩は俺たちはとは逆方向に歩き出した。手を振り見送ると、実千流がピタッと立ち止まり、環樹先輩になにかを伝えていた。
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