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第13幕 ひとりぼっち
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夢の中の悠斗の甘い囁きが、会いたい気持ちを膨らませる。ベッドの中ぐらいは我儘を言ってもバチは当たらないだろう。
無意識に想いを吐露すると、身体がマットレスに沈み込む。いきなりの衝動に混乱したまま薄っすら目を開けると、唇を奪われ荒々しく口腔を塞がれていた。
「──んぅっ~~!」
「んっンっ……」
なんで⁉ てかなに⁉
夢⁉ イヤイヤ、リアル過ぎるッ‼
「──ちょっ! 馬鹿っ! お前っ! やぁっ、やめっ!」
「んっ、やめない……んんっ……」
「あっ……アホっ! やっやっと帰って来たとっ! 離れろっ!」
散々蹂躙され顎を手のひらで掬い上げ、ゼイゼイと息を吐きながら目の前の人物を見上げる。
「こんなことする前に言うことあるだろ‼」
「大切なことだよ。さっきは会いたいって言ってくれたのに」
「も、もっと普通に会いに来れないのかよ! 散々ほったらかしにしておいて!」
「それは……ごめん。でも一秒たりとも瀬菜を忘れてはいないよ?」
悠斗の言葉にパクパクと唇を開閉させるが、これ以上愚痴を言うのをやめた。
「……ああ、そう……お帰り……」
「うん。ただいま……」
素っ気なく言う俺に、眉を落としながら笑顔でただいまと言う悠斗は、疲れ切った顔をしていた。ギュッと抱きしめられると、これが夢ではないと実感が湧いてくる。
「それから……十七歳のお誕生日おめでとう」
耳元で慈しむ優しい声で囁かれ、今日が自分の誕生日だったことを教えられた。悠斗のことが気がかり過ぎて、そんなことすらすっかり忘れていたのだ。
「サプライズ、なにもできなくてごめんね?」
手を取られ指先にキスを落とす悠斗は、謝罪を何度もしてくる。俺は俺でなにも言えないまま、目を広げて硬直していた。
「…………あ、あの……」
「ん? 気に入らない?」
「そうじゃなくて……」
「ピッタリで良かった」
悠斗は俺の指に嵌められたシルバーのリングにキスをする。指にぴったりと測った細身で厚みのあるリング。一瞬プロポーズなのだろうかと、ドキドキしてしまったのは内緒だ。
「……十分サプライズじゃん……」
「クスッ、普段は着けるの抵抗あると思うから、ブレスレットに装着できるようにしたんだ」
「もしかして作ったのか?」
「うん。今回はこれだけだけ。指輪とか重いかな?」
「いや、その……嬉しいよ。ありがとう」
右の人差し指に嵌められたリングを呆然と見つめ、そのまま胸に手を置きそれごと抱きしめる。
「ずっとごめん。詳しい話はまたあとでちゃんとする。……それじゃ、行こうか」
悠斗は俺のTシャツを脱がし奪い取る。
「……えっ? えぇっ⁉ ちょっと!」
いこうとは、どういういこうなのだろうか。素っ裸にされる俺は、慌てふためく。先ほどまでの甘い雰囲気からかけ離れた悠斗の大雑把な行動に、為す術もない俺でした。
無意識に想いを吐露すると、身体がマットレスに沈み込む。いきなりの衝動に混乱したまま薄っすら目を開けると、唇を奪われ荒々しく口腔を塞がれていた。
「──んぅっ~~!」
「んっンっ……」
なんで⁉ てかなに⁉
夢⁉ イヤイヤ、リアル過ぎるッ‼
「──ちょっ! 馬鹿っ! お前っ! やぁっ、やめっ!」
「んっ、やめない……んんっ……」
「あっ……アホっ! やっやっと帰って来たとっ! 離れろっ!」
散々蹂躙され顎を手のひらで掬い上げ、ゼイゼイと息を吐きながら目の前の人物を見上げる。
「こんなことする前に言うことあるだろ‼」
「大切なことだよ。さっきは会いたいって言ってくれたのに」
「も、もっと普通に会いに来れないのかよ! 散々ほったらかしにしておいて!」
「それは……ごめん。でも一秒たりとも瀬菜を忘れてはいないよ?」
悠斗の言葉にパクパクと唇を開閉させるが、これ以上愚痴を言うのをやめた。
「……ああ、そう……お帰り……」
「うん。ただいま……」
素っ気なく言う俺に、眉を落としながら笑顔でただいまと言う悠斗は、疲れ切った顔をしていた。ギュッと抱きしめられると、これが夢ではないと実感が湧いてくる。
「それから……十七歳のお誕生日おめでとう」
耳元で慈しむ優しい声で囁かれ、今日が自分の誕生日だったことを教えられた。悠斗のことが気がかり過ぎて、そんなことすらすっかり忘れていたのだ。
「サプライズ、なにもできなくてごめんね?」
手を取られ指先にキスを落とす悠斗は、謝罪を何度もしてくる。俺は俺でなにも言えないまま、目を広げて硬直していた。
「…………あ、あの……」
「ん? 気に入らない?」
「そうじゃなくて……」
「ピッタリで良かった」
悠斗は俺の指に嵌められたシルバーのリングにキスをする。指にぴったりと測った細身で厚みのあるリング。一瞬プロポーズなのだろうかと、ドキドキしてしまったのは内緒だ。
「……十分サプライズじゃん……」
「クスッ、普段は着けるの抵抗あると思うから、ブレスレットに装着できるようにしたんだ」
「もしかして作ったのか?」
「うん。今回はこれだけだけ。指輪とか重いかな?」
「いや、その……嬉しいよ。ありがとう」
右の人差し指に嵌められたリングを呆然と見つめ、そのまま胸に手を置きそれごと抱きしめる。
「ずっとごめん。詳しい話はまたあとでちゃんとする。……それじゃ、行こうか」
悠斗は俺のTシャツを脱がし奪い取る。
「……えっ? えぇっ⁉ ちょっと!」
いこうとは、どういういこうなのだろうか。素っ裸にされる俺は、慌てふためく。先ほどまでの甘い雰囲気からかけ離れた悠斗の大雑把な行動に、為す術もない俺でした。
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