405 / 716
第12幕 修学旅行はお遊びではありません
02
しおりを挟む
五人ぐらいとは例えを出されているが、多少増えても問題はない。チャンスは自ら招くもの。人気者を放置する女子達ではないのだ。
それでも悠斗は丁重に笑顔で「ありがとう。ごめんね」と断っていた。
「嘘クセェ笑顔だな。ユウいいんだぜ? たまにはほかの奴と交流したらどうだ?」
「カナちゃんから交流の文字が出てくるなんて驚きだよ。君こそほかに友達とか彼女作る機会じゃないの?」
「また始まったぜ」
「これもお馴染みになってきたねー」
「もう……とっとと用紙提出しないからだろ!」
用紙を副委員長からもらうと、俺はメンバーを書き込み代表者の欄に多澤の名前を記入した。
「おい、瀬菜。なんで俺を代表にしてるんだよ!」
「えっ? だって一番真面じゃね? 悠斗は変態だし、由良りんはひとりでどっか行っちゃいそうだし、村上は俺の面倒見るだろ?」
「すげぇ……柳ちゃんがちゃんと考えてる」
「瀬菜……変態って……。でも瀬菜にしては冷静だね」
「ああ、的を得てるな」
それぞれが責任を持ちたくないがために、俺に便乗する。
「ほぉ~……お前ら、俺を祀りあげたんだ。勝手したら分かっているよな?」
多澤が口角を上げ、言うこと聞かなければ……と醸し出し、みんなでニコッと笑顔を返す。俺から用紙を取り上げると、多澤は委員長に提出しに大人しく向かって行った。
それから修学旅行前日まで、俺達は放課後になれば集まり、日程調整に明け暮れた。今年は平年通りの梅雨明けが予想され、雨が降らないことを祈りつつ、俺は子供のように胸を高鳴らせていた。
***
「忘れ物ない?」
「うん。日本だし、財布とスマホがあればなんとかなる!」
「まぁそうだけどね」
今日から修学旅行。二泊三日と短めだが、待ちに待ったイベントだ。昨日の夜は忘れ物チェックと楽しみ過ぎて中々眠ることができなかった。行きの新幹線は四時間ちょい掛かるので、仮眠を取るのは丁度いい。
どういう訳か新幹線は各駅停車のこだまさんなのだ。学校がケチってるとは思いたくないが、学生割引がきっと大きいのだろう。
朝は遅刻には絶対安心の悠斗のお迎えで寝過ごすことはなかったが、安心であっても安全ではなかった。しばらくみんなと生活するからと、朝からスキンシップがそれはもう激しくて……身体の中まで思い切りグチャグチャにされまして……五時前から起こされる始末でした……。
若干腰が痛いです……はい。
そういうことをされましたよ。
これから長旅だというのにですよ?
悠斗くんてば鬼だと思いません?
「お前さ、旅行中はあんなこと禁止だからな」
「あんなことって?」
「今日の朝みたいなこと! 全部言わせる気が⁉」
「んー。いっぱい楽しもうね♪」
悠斗は適当に返事をすると、そっぽを向いてしまう。
なに……その曖昧な返事。
全然答えになってないけど……。
それでも悠斗は丁重に笑顔で「ありがとう。ごめんね」と断っていた。
「嘘クセェ笑顔だな。ユウいいんだぜ? たまにはほかの奴と交流したらどうだ?」
「カナちゃんから交流の文字が出てくるなんて驚きだよ。君こそほかに友達とか彼女作る機会じゃないの?」
「また始まったぜ」
「これもお馴染みになってきたねー」
「もう……とっとと用紙提出しないからだろ!」
用紙を副委員長からもらうと、俺はメンバーを書き込み代表者の欄に多澤の名前を記入した。
「おい、瀬菜。なんで俺を代表にしてるんだよ!」
「えっ? だって一番真面じゃね? 悠斗は変態だし、由良りんはひとりでどっか行っちゃいそうだし、村上は俺の面倒見るだろ?」
「すげぇ……柳ちゃんがちゃんと考えてる」
「瀬菜……変態って……。でも瀬菜にしては冷静だね」
「ああ、的を得てるな」
それぞれが責任を持ちたくないがために、俺に便乗する。
「ほぉ~……お前ら、俺を祀りあげたんだ。勝手したら分かっているよな?」
多澤が口角を上げ、言うこと聞かなければ……と醸し出し、みんなでニコッと笑顔を返す。俺から用紙を取り上げると、多澤は委員長に提出しに大人しく向かって行った。
それから修学旅行前日まで、俺達は放課後になれば集まり、日程調整に明け暮れた。今年は平年通りの梅雨明けが予想され、雨が降らないことを祈りつつ、俺は子供のように胸を高鳴らせていた。
***
「忘れ物ない?」
「うん。日本だし、財布とスマホがあればなんとかなる!」
「まぁそうだけどね」
今日から修学旅行。二泊三日と短めだが、待ちに待ったイベントだ。昨日の夜は忘れ物チェックと楽しみ過ぎて中々眠ることができなかった。行きの新幹線は四時間ちょい掛かるので、仮眠を取るのは丁度いい。
どういう訳か新幹線は各駅停車のこだまさんなのだ。学校がケチってるとは思いたくないが、学生割引がきっと大きいのだろう。
朝は遅刻には絶対安心の悠斗のお迎えで寝過ごすことはなかったが、安心であっても安全ではなかった。しばらくみんなと生活するからと、朝からスキンシップがそれはもう激しくて……身体の中まで思い切りグチャグチャにされまして……五時前から起こされる始末でした……。
若干腰が痛いです……はい。
そういうことをされましたよ。
これから長旅だというのにですよ?
悠斗くんてば鬼だと思いません?
「お前さ、旅行中はあんなこと禁止だからな」
「あんなことって?」
「今日の朝みたいなこと! 全部言わせる気が⁉」
「んー。いっぱい楽しもうね♪」
悠斗は適当に返事をすると、そっぽを向いてしまう。
なに……その曖昧な返事。
全然答えになってないけど……。
0
お気に入りに追加
237
あなたにおすすめの小説
いとしの生徒会長さま
もりひろ
BL
大好きな親友と楽しい高校生活を送るため、急きょアメリカから帰国した俺だけど、編入した学園は、とんでもなく変わっていた……!
しかも、生徒会長になれとか言われるし。冗談じゃねえっつの!

花婿候補は冴えないαでした
いち
BL
バース性がわからないまま育った凪咲は、20歳の年に待ちに待った判定を受けた。会社を経営する父の一人息子として育てられるなか結果はΩ。 父親を困らせることになってしまう。このまま親に従って、政略結婚を進めて行こうとするが、それでいいのかと自分の今後を考え始める。そして、偶然同じ部署にいた25歳の秘書の孝景と出会った。
本番なしなのもたまにはと思って書いてみました!
※pixivに同様の作品を掲載しています

好きなあいつの嫉妬がすごい
カムカム
BL
新しいクラスで新しい友達ができることを楽しみにしていたが、特に気になる存在がいた。それは幼馴染のランだった。
ランはいつもクールで落ち着いていて、どこか遠くを見ているような眼差しが印象的だった。レンとは対照的に、内向的で多くの人と打ち解けることが少なかった。しかし、レンだけは違った。ランはレンに対してだけ心を開き、笑顔を見せることが多かった。
教室に入ると、運命的にレンとランは隣同士の席になった。レンは心の中でガッツポーズをしながら、ランに話しかけた。
「ラン、おはよう!今年も一緒のクラスだね。」
ランは少し驚いた表情を見せたが、すぐに微笑み返した。「おはよう、レン。そうだね、今年もよろしく。」
Take On Me 2
マン太
BL
大和と岳。二人の新たな生活が始まった三月末。新たな出会いもあり、色々ありながらも、賑やかな日々が過ぎていく。
そんな岳の元に、一本の電話が。それは、昔世話になったヤクザの古山からの呼び出しの電話だった。
岳は仕方なく会うことにするが…。
※絡みの表現は控え目です。
※「エブリスタ」、「小説家になろう」にも投稿しています。

モテる兄貴を持つと……(三人称改訂版)
夏目碧央
BL
兄、海斗(かいと)と同じ高校に入学した城崎岳斗(きのさきやまと)は、兄がモテるがゆえに様々な苦難に遭う。だが、カッコよくて優しい兄を実は自慢に思っている。兄は弟が大好きで、少々過保護気味。
ある日、岳斗は両親の血液型と自分の血液型がおかしい事に気づく。海斗は「覚えてないのか?」と驚いた様子。岳斗は何を忘れているのか?一体どんな秘密が?

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる